2025年1月6日
労務・人事ニュース
青森県 障害者雇用率が2.49%に低下、法定達成企業は51.6%にとどまる(令和6年6月1日時点)
令和6年 障害者雇用状況の集計結果(青森労働局)
青森労働局が発表した令和6年の障害者雇用状況に関する集計結果をもとに、青森県における障害者雇用の現状と課題を詳細に解説します。この集計結果は、障害者雇用促進法に基づき、令和6年6月1日時点での身体障害者、知的障害者、精神障害者の雇用状況を調査したものです。同法では、企業や公的機関が常時雇用する労働者の一定割合以上の障害者を雇用することが義務付けられており、その割合を示す法定雇用率が令和6年4月1日から引き上げられました。具体的には、民間企業では2.5%、公的機関では2.8%、県教育委員会では2.7%となっています。
令和6年時点で青森県内の民間企業1,121社を対象とした調査では、障害者の雇用者数は3,837人で、前年に比べ27人、割合にして0.7%減少しました。実雇用率も前年の2.55%から2.49%に低下しており、法定雇用率を達成した企業の割合は51.6%と、前年の57%から5.4ポイント低下しました。特に知的障害者と精神障害者の雇用数がそれぞれ25人と19.5人減少している点が顕著です。一方で、身体障害者の雇用は17.5人増加しており、この増加が全体的な減少を部分的に補っています。
産業別にみると、「医療・福祉」分野が最も多く、1,252.5人、全体の32.6%を占めています。その次に「製造業」が934.5人、「卸売業・小売業」が579人で続きます。法定雇用率を上回る産業は限られており、「生活関連サービス業・娯楽業」が3.38%と最も高い実雇用率を示しました。これに対して、「情報通信業」や「不動産業」などは雇用者数が極めて少なく、実雇用率も低い状況です。
企業規模別にみると、従業員100~200人未満の企業が最も高い実雇用率3.20%を記録しています。一方で、従業員数40~100人未満の企業では1.85%と法定雇用率を大きく下回り、規模の小さい企業における雇用促進が課題として浮き彫りになっています。また、法定雇用率を達成していない企業の76.8%が0.5~1人分の不足である一方、全体の66.1%が障害者を1人も雇用していないという現状が明らかになりました。
公的機関に目を移すと、県の機関では障害者雇用者数が156人、実雇用率が2.93%で、前年から0.11ポイント上昇しています。県教育委員会では221.5人が雇用され、実雇用率は2.35%と前年の2.27%から改善が見られました。しかし、全体的には法定雇用率未達成の機関が依然として多く、特に市町村等の機関では62機関中29機関が法定雇用率を達成していません。独立行政法人においては、雇用者数が10人と前年に比べて28.6%減少し、実雇用率が2.01%と低下しています。
令和6年から法定雇用率が引き上げられたことで、企業や公的機関がその基準を達成するための負担が増加していると考えられます。法定雇用率の引き上げが目指す目標は、障害者の就業機会を増やし、社会全体での多様性と包摂性を促進することです。しかし、この変化に適応するためには、各企業や機関が積極的に対応策を講じる必要があります。具体的には、障害者が働きやすい職場環境を整備し、障害者雇用を支援する制度や助成金を活用することが求められます。また、精神障害者や知的障害者の雇用機会を増やすためには、専門的なサポート体制を整備し、職場内での受け入れ態勢を強化することが重要です。
結論として、青森県内の障害者雇用の現状は、一定の進展を見せる一方で、法定雇用率未達成企業や機関が依然として多く、改善の余地が大きいことを示しています。障害者雇用を成功させるためには、法定基準を遵守するだけでなく、障害者が長期的に働き続けられる環境を提供することが重要です。この取り組みを通じて、企業や社会全体が障害者雇用の促進を実現し、持続可能な社会の形成に貢献することが期待されます。
⇒ 詳しくは青森労働局のWEBサイトへ