2024年8月23日
労務・人事ニュース
静岡県の最低賃金が過去最大の50円引き上げ、令和6年度に時給1,034円へ
令和6年度 静岡県最低賃金の改正にかかる答申について(静岡労働局)
令和6年8月5日、静岡地方最低賃金審議会は、静岡労働局長に対し、令和6年度の静岡県最低賃金の改正についての答申を行いました。この答申によると、現行の最低賃金である時間額984円を50円引き上げ、時間額1,034円とすることが提案されています。この改正は、令和6年10月1日に発効される予定です。
静岡地方最低賃金審議会は、令和6年6月28日に静岡労働局長からの諮問を受け、静岡県内の経済状況や雇用状況を慎重に審議しました。その結果、今回の答申がまとめられました。今回の引き上げ幅である50円は過去最大の額であり、引き上げ率5.1%も平成14年度以降最大の引き上げ率となります。昭和57年以来となる5%台の引き上げが実現される見込みです。
静岡県における最低賃金制度は、昭和47年度に地域別最低賃金制度として創設され、当初は時間額とともに日額も設定されていました。しかし、平成14年度以降、日額の設定は廃止され、現在では時間額のみが規定されています。過去最大の引き上げは、昭和49年度の改正であり、当時は時間額163円から213円へと50円の引き上げが行われ、引き上げ率は30.7%にも達しました。
今回の改正では、静岡県の経済や労働市場の現状を踏まえた上で、最低賃金の引き上げが必要と判断されました。経済の安定成長とともに、雇用者が適切な賃金を得られる環境を整えることが目的とされています。最低賃金の引き上げは、地域経済の活性化や労働者の生活の質向上にも寄与すると期待されています。
静岡県の最低賃金額および対前年引き上げ率、引き上げ額の推移を見てみると、令和元年度には最低賃金が885円で、対前年引き上げ率は3.1%でした。その後、令和3年度には944円に引き上げられ、対前年引き上げ率は3.2%、令和4年度には984円となり、引き上げ率は3.4%となっています。そして令和5年度にはさらに40円引き上げられ、984円となり、引き上げ率は4.2%となりました。今回の令和6年度の改正では、これまでの引き上げ傾向を超える大幅な引き上げが行われることとなり、その影響が注目されています。
また、今後の手続きとしては、この答申内容について異議申出の公示が行われ、その後、正式な決定が下される予定です。企業にとっては、この新たな最低賃金の改正に伴い、人件費の見直しや労働環境の再構築が必要となる可能性があります。労働者にとっては、最低賃金の引き上げによって、収入の増加や生活の安定が期待されます。
静岡労働局の担当者は、この改正について、地域経済の現状や物価上昇の影響を考慮した上での慎重な判断であると述べています。今回の引き上げが、地域全体の経済にどのような影響を及ぼすか、また労働市場にどのような変化をもたらすかについては、今後も注視されるところです。
今回の最低賃金改正は、静岡県内の企業や労働者にとって重要な転機となるでしょう。企業においては、人件費の増加が懸念される一方で、従業員のモチベーション向上や採用競争力の強化につながる可能性もあります。労働者側から見ると、賃金の引き上げは生活の安定化や消費活動の活発化を促進する要因となり得ます。
このように、最低賃金の引き上げは、地域経済や労働市場全体に大きな影響を与える重要な政策であり、企業の採用戦略や労働者の生活環境にも直結する課題です。今後も、各企業や労働者はこの動向に注目し、適切な対応を行っていくことが求められます。
⇒ 詳しくは静岡労働局のWEBサイトへ