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2024年11月13日

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静岡県の最新雇用状況発表!44か月連続1倍台の有効求人倍率が続く

職業安定業務月報(令和6年9月分)(静岡労働局)

静岡労働局が発表した最新の雇用情勢報告(令和6年9月分)によれば、県内の雇用状況は引き続き厳しい状況が続いています。特に、物価上昇や景気の不透明感が雇用市場に影響を与えており、雇用の改善には時間がかかる見込みです。今回の報告では、有効求人倍率や求職者数、求人状況が詳細に報告されており、これらのデータから県内の労働市場の現状と課題が浮かび上がっています。

まず、有効求人倍率(季節調整値)は1.12倍となり、前月と同水準を保っていますが、全国平均の1.24倍を下回る状況が続いています。静岡県内では44か月連続で1倍台を維持しているものの、全国平均との差は依然として縮まっていません。有効求人数は61,848人で前月比0.9%減少し、3か月ぶりに減少に転じました。一方、有効求職者数も55,226人で前月比1.0%の減少が続いており、求職者数も減少傾向にあります。

地域別では、東部、中部、西部のすべての地域で有効求人倍率が前年同月を下回りました。具体的には、東部は1.10倍(前年同月比▲0.05ポイント)、中部は1.23倍(▲0.03ポイント)、西部は1.01倍(▲0.14ポイント)となっています。特に西部地域での求人倍率の低下が顕著であり、地域ごとの経済活動や産業構造の違いが影響を及ぼしていることが示唆されます。

次に、職業別の有効求人倍率を見てみると、介護関連職や建設・採掘の職業において求人倍率が高い一方、事務職や運搬・清掃・包装等の職業では求人倍率が低いことがわかります。介護関連の職業では、特に高齢化社会を背景に人手不足が深刻化しており、求人倍率が全国的にも高い水準で推移しています。逆に、事務職では供給過多の傾向が見られ、求職者にとっては競争が激しい分野となっています。

さらに、正社員の有効求人倍率は1.04倍で、全国平均の1.01倍を上回る状況が続いています。これは2か月連続のことですが、正社員の有効求人数は33,301人となり、前年同月を下回っています。これは雇用の不安定さや企業の採用意欲がまだ完全には回復していないことを示唆しています。正社員の求人割合は54.0%となり、前月と同じ水準を維持していますが、今後の雇用情勢の変動に注視する必要があります。

新規求人についても報告されており、特に運輸業・郵便業では増加傾向にありますが、建設業、製造業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉、サービス業では新規求人が減少しています。新規求人倍率は1.85倍となり、前月比で0.40ポイント低下しました。全国平均の2.22倍を下回り、新規求人の動きも鈍化しています。新規求人数は19,884人で前年同月比11.9%の減少となり、特にパート求人数の減少が目立ちます。これにより、非正規雇用の求人数が減少していることが確認されました。

産業別に見ると、製造業や卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉の分野で求人が減少しており、これらの産業は景気の影響を受けやすい傾向が見られます。製造業では、特に食料品製造業や化学工業、輸送用機械器具製造業で求人が大幅に減少しており、供給チェーンの変動や生産体制の見直しが影響していると考えられます。一方、運輸業や郵便業では人手不足が続いており、新規求人が増加しています。

事業所規模別の新規求人状況を見ても、規模の大きな事業所ほど求人が減少している傾向があります。特に100人以上の規模の事業所では前年同月を下回る求人が続いており、大規模企業の採用活動が鈍化していることが示されています。一方で、30人以下の規模の事業所では、比較的求人が安定している傾向が見られ、中小企業による採用が活発であることがわかります。

求職者の動向についても注目すべき点があります。新規求職者数は10,546人で前年同月比4.5%減少しており、求職者の数も減少しています。特に常用求職者の減少が顕著であり、労働市場全体の動きが鈍化していることが示されています。また、離職者数のうち事業主都合による離職者は10.2%減少しており、企業側も人員整理を控えている状況が伺えます。

以上のように、静岡県内の雇用情勢は全体として改善の兆しが見られるものの、依然として弱さが残る状況です。物価上昇や景気の不透明感が影響を与えており、特に大規模企業においては採用活動が慎重に進められています。介護職や運輸業など一部の職業では求人が活発ですが、製造業やサービス業では求人が減少しており、産業によるばらつきが顕著です。求職者数も減少傾向にあり、今後の雇用市場の動向には引き続き注視が必要です。

⇒ 詳しくは静岡労働局のWEBサイトへ

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