2024年10月3日
労務・人事ニュース
非正社員として働く若者19.2%、正社員希望者は減少傾向に?その理由を徹底解説
令和5年若年者雇用実態調査の概況 個人調査 これまでの就業状況(厚労省)
日本の若年労働者の就業状況に関する調査結果によると、最終学校を卒業してからの1年間で、若年労働者の大多数が正社員または非正社員として就業していることが分かりました。具体的には、正社員として働いた若年労働者の割合は76.2%で、非正社員として働いたのは19.2%、働いていなかったのは4.2%となっています。この傾向は性別や最終学歴によっても異なり、男性では正社員として働いた割合が78.7%、女性では73.9%でした。学歴別に見ると、大学を卒業した労働者は正社員として働いた割合が最も高く、逆に中学卒業者ではこの割合が低いことが特徴的です。
雇用形態の違いによっても結果に差があり、正社員であった若年労働者の87.9%が正社員として働いている一方で、非正社員であった若年労働者では正社員として働いた割合は41.2%に留まっており、46%が非正社員として働いています。この結果は、若年労働者の多くが正社員を目指しているものの、実際に正社員として就職することができるかどうかが、その時点での雇用状況や学歴、性別によって大きく影響を受けていることを示唆しています。
非正社員として働いた若年労働者が正社員を希望しなかった理由も多岐にわたります。最も多い理由は「元々、正社員を希望していなかった」という回答で19.6%を占め、次いで「正社員求人に応募したが採用されなかった」が18.2%、「自分の希望する条件に合わなかったので正社員として勤務しなかった」が12.9%となっています。これらのデータから、若年労働者の中には、正社員として働くことに対して明確な希望を持っていないか、あるいは正社員になることが難しいと感じている人が少なからず存在することがわかります。
また、若年労働者が初めて勤務した会社で現在も働いているかどうかに関する調査では、全体の55.5%が「勤務している」と回答し、42.7%が「勤務していない」と回答しました。この結果は、労働者が長期間にわたって同じ会社に留まることが困難である現状を反映していると言えるでしょう。性別では、男性が59.4%、女性が52%が現在も初めて勤務した会社で働いていると答えており、男性の方が若干高い割合を示しています。学歴別では、最も学歴の高い大学院卒業者の68.9%が現在も同じ会社で働いている一方で、最も低い学歴の中学卒業者では43.9%と大きな差があります。
さらに、初めて勤務した会社を辞めた主な理由としては、「労働時間や休日、休暇の条件がよくなかった」が28.5%と最も多く、次いで「人間関係がよくなかった」が26.4%、「賃金の条件がよくなかった」が21.8%と続いています。これらの理由は、特に短期間で辞めるケースにおいて顕著であり、1年未満の労働者の中では「人間関係がよくなかった」という回答が最も多くなっています。1年から10年未満の労働者では「労働時間や休日、休暇の条件がよくなかった」という回答が多く見られ、長期にわたる労働者の中では、労働環境や人間関係が離職の要因として大きな役割を果たしていることがわかります。
この調査結果から、若年労働者が労働市場において直面する多くの課題が浮き彫りになっています。特に、正社員としての就業を希望しているにもかかわらず、採用に至らなかったり、希望する条件に合わなかったりするケースが多いことが指摘されています。さらに、初めての職場での定着率が低いことは、企業側にとっても大きな問題であり、離職を防ぐための労働環境の改善や人間関係の構築が求められていると言えます。
特に重要なのは、若年労働者の雇用に関する取り組みを強化し、企業が適切な労働環境を提供することで、長期的な定着を促進することです。現在、企業における人材確保の競争が激化している中で、若年労働者の離職を防ぎ、安定した雇用を提供することが、企業の持続的な成長にとって不可欠です。この調査結果を参考に、企業は若年労働者のニーズを理解し、労働条件の見直しや職場環境の改善に努めることが求められます。
また、学歴や雇用形態によって就業状況が異なることを踏まえ、個々の労働者の背景に応じた柔軟な対応が必要です。特に、正社員としての雇用を希望している若年労働者に対しては、採用プロセスを改善し、より多くの若者が正社員としてのキャリアを築けるようなサポートが重要です。企業は、若年労働者の能力を引き出し、適切な職務に就かせることで、組織の生産性向上にもつながるでしょう。
このような取り組みを通じて、若年労働者の雇用環境を改善し、企業と労働者の双方にとって持続可能な関係を築くことが、今後の日本経済の成長にとって重要な鍵となります。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ