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2024年10月3日

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非正規雇用から正社員へ、全産業での転換率59.9%が示す新たな雇用トレンド

令和5年若年者雇用実態調査の概況 事業所調査 正社員への転換について(厚労省)

若年雇用に関する調査結果をもとに、日本国内における雇用動向や正社員転換制度の実施状況について説明されています。特に、正社員以外の労働者を対象とした正社員転換制度の普及率や、その背景にある業界別の状況が詳細に記載されています。

まず、正社員転換制度を導入している事業所の割合は全体で59.9%となっており、これは前回調査時(平成30年)の53.4%から増加していることがわかります。一方、正社員転換制度がない事業所は36.9%で、これも前回調査時の39.6%から減少しています。このデータからも、日本企業全体において正社員転換制度が徐々に浸透していることがうかがえます。

業界別で見ると、「複合サービス事業」においては87.8%もの高い割合で正社員転換制度が存在しており、これは他業界と比較して非常に高い数値です。また、「宿泊業、飲食サービス業」では70.4%、「金融業、保険業」では69.9%と、これらの業界でも正社員転換制度の導入が進んでいることが確認されます。逆に、電気・ガス・水道業ではわずか20.2%にとどまっており、他の業界に比べて正社員転換制度の導入が遅れていることが分かります。このように、業界ごとの特性によって、正社員転換制度の導入率には大きな差が見られます。

さらに、事業所規模による違いも明らかになっています。1000人以上の大規模事業所では73.7%が正社員転換制度を導入しており、これは小規模事業所に比べて高い水準です。一方、5~29人の小規模事業所では58.0%にとどまっており、規模が小さいほど制度の導入が進んでいない現状が見られます。これらのデータは、企業の規模が正社員転換制度の実施にどのような影響を与えるかを示す重要な指標となっています。

このような背景の中、企業が若年層の雇用を増やすためには、正社員転換制度の導入や拡充が重要な要素となっています。特に、非正規雇用が多い業界では、労働者のモチベーション向上や定着率向上のために、正社員転換制度の普及が不可欠です。また、若年層にとっても、安定したキャリアパスを提供する企業は魅力的であり、採用活動において競争力を高めるためにも、この制度は重要な役割を果たすでしょう。

さらに、若年層の雇用促進に向けた政策として、政府や自治体が企業支援を強化している点も見逃せません。特に、若者を積極的に正社員として採用しようとする企業に対しては、助成金制度や税制優遇措置が提供されるケースも増えており、これらの政策を活用することが、企業の経営戦略において有効です。

また、若年層における就業形態の多様化が進む中で、労働市場全体が柔軟な働き方を求めている現状も反映されています。例えば、短時間正社員制度やフレックス制度の導入も、企業の採用活動を支援するための有効な手段として注目されています。これにより、育児や介護と仕事を両立させたい若者にも対応できる体制を整えることが、企業の競争力を高めるポイントとなるでしょう。

正社員転換制度の導入により、企業は長期的に優秀な人材を確保することが可能となります。特に、若年層は将来的に企業の中核を担う存在であり、その育成には時間とコストがかかるため、早い段階での正社員化は、企業にとっても重要な投資です。これに加え、正社員としてのキャリアパスを明確に提示することで、労働者の安心感を高め、離職率の低下にもつながります。

一方で、正社員転換制度を導入していない事業所については、制度導入のコストや運営上の課題があることが考えられます。特に、中小企業においては、制度の導入にかかる経費や管理の複雑さがネックとなり、なかなか踏み切れないケースが多いでしょう。こうした課題を解決するためには、政府や自治体からのサポートがさらに必要とされるでしょう。

最後に、今後の展望として、企業がより一層若年層の雇用を促進するためには、柔軟な働き方の導入や、労働環境の改善が求められることは言うまでもありません。また、正社員転換制度を導入することにより、労働者に安定した職業生活を提供するだけでなく、企業自体の成長にもつながるという認識が広まっていくことが期待されます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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