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2024年5月31日

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韓国と台湾の実例から学ぶ 日本の外国人労働者受け入れ政策改善のための2024年最新調査報告

韓国・台湾の外国人労働者受入制度と実態 ―非熟練を中心に―(JILPT)

2024年5月22日、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)は、韓国と台湾における外国人労働者の受け入れ制度に関する詳細な調査結果を発表しました。この調査は、特に非熟練労働者に焦点を当て、現地の実態を明らかにすることを目的としています。調査結果は、今後の日本における外国人労働者受け入れ政策の見直しに役立てられる予定です。

この調査の背景には、令和5年11月に「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」が最終報告書をまとめたことがあります。それを受け、政府は令和6年2月9日に「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」を開催し、日本人と外国人が共に安心して暮らせる社会の実現を目指し、地方や中小企業における人材確保を考慮した新方針を決定しました。具体的には、現行の技能実習制度を見直し、人手不足の分野での人材育成を目的とする「育成就労」制度の創設が提案されました。

これに基づき、東南アジアから多くの外国人労働者を受け入れている韓国と台湾の受け入れ制度を現地で調査しました。調査の目的は、現行制度、マッチングプロセス、在留管理上の手続きや問題、外国人労働者の処遇などについて詳細に把握することです。

韓国では、外国人労働者の受け入れは主に公的機関が行っています。外国人労働者を雇用するためには、送出し国での選抜試験に合格し、求職者プールに登録される必要があります。雇用主は、まず韓国人向けの求人を行い、それでも人材が確保できなかった場合に外国人労働者の雇用許可を申請します。外国人労働者は韓国に到着後、就業教育を受け、職場に配置されます。しかし、実際には多くの労働者が事業場を変更しています。その理由は、友人と一緒に働きたい、低賃金、劣悪な労働環境などです。また、農業や漁業での低賃金から製造業への転職を希望する労働者も多いですが、異なる業種への転職は認められていません。

台湾では、外国人労働者の受け入れは主に人材仲介会社を通じて行われています。雇用主はまず受け入れ対象業種としての資格を取得し、台湾国内での求人活動を行います。その後、台湾と送出し国の人材仲介会社が協力して候補者を選考します。採用が決まった労働者は、台湾の外交部領事事務局に「居留ビザ」を申請し、取得します。台湾でも、外国人労働者が高額な仲介手数料を支払うことなく働けるように、手数料の上限が設定されています。また、仲介会社を通さない「直接雇用総合サービスセンター」も設置されていますが、その利用は限定的です。

韓国では、外国人労働者が事業場を変更する問題への対策が求められています。人材確保に向けて、受け入れ人数や許容業種の拡大、送出し国の追加などが検討されています。一方、台湾では、仲介会社を通した受け入れ制度の見直しが難しいとされる中で、送出し国と連携して悪質な仲介会社の排除や「直接雇用総合サービスセンター」の機能拡大が求められています。労働市場に影響を与えない範囲で受け入れを拡大し、外国人労働者が安心して働ける環境の確保が重要です。

この調査結果は、日本の外国人労働者受け入れ政策の見直しに向けた重要な基礎資料となります。外国人労働者が安心して働ける環境を整えることは、日本の労働市場の安定と発展に寄与するでしょう。具体的な改善策としては、受け入れ人数の拡大や新しい制度の創設が挙げられます。労働市場のニーズに応じた柔軟な対応が求められる中、外国人労働者の受け入れ制度の見直しは急務です。特に地方や中小企業における人材確保のためには、現行制度の改善が不可欠です。

また、外国人労働者が日本で安心して働けるようにするためには、住居や生活支援、労働環境の整備が必要です。例えば、韓国では外国人労働者に住居を提供し、就業教育を行っています。日本でも同様の取り組みが求められます。さらに、外国人労働者の人権を尊重し、適切な処遇を提供することが重要です。これは、日本が国際的に魅力ある働き先として選ばれるための大切な要素です。

今後、日本は外国人労働者の受け入れ制度を見直し、より多くの労働者が安心して働ける環境を整えることが必要です。これは、日本の労働市場の安定と発展に大きく貢献するでしょう。外国人労働者の受け入れに関する政策の改善が進むことで、日本の経済成長と地域活性化が期待されます。

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ