2024年9月3日
労務・人事ニュース
香川労働局が発表、245事業場のうち123事業場で違法な時間外労働を確認!
【香川版】長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表します(香川労働局)
令和5年度に香川労働局が実施した監督指導の結果が公表され、長時間労働が疑われる事業場に対する取り組みが明らかになりました。この報告は、県下の労働基準監督署が対象とした245の事業場に対して行われた監督指導の結果を取りまとめたものです。調査の対象となった事業場は、主に月80時間を超える時間外・休日労働が常態化していると考えられる場所や、過労死に関連する労災請求が行われた場所が中心でした。これらの事業場のうち、50.2%にあたる123の事業場で違法な時間外労働が確認され、是正や改善を求める指導が行われました。
さらに詳細な調査結果によれば、123の事業場の中で実際に月80時間を超える時間外・休日労働が確認されたのは53事業場であり、これに該当する事業場の割合は43.1%です。また、月100時間を超える労働が確認された事業場は29事業場、月150時間を超える労働が確認された事業場は5事業場となっています。一方で、月200時間を超える労働が確認された事業場はありませんでした。
また、賃金不払残業が確認された事業場は全体の6.9%にあたる17事業場で、過重労働による健康障害防止措置が未実施の事業場は18.0%にあたる44事業場でした。これらの結果を受けて、香川労働局は引き続き長時間労働の是正に向けた取り組みを強化するとともに、11月に予定されている「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行う予定です。
監督指導の対象となった事業場は、主に中小企業であり、具体的には1〜9人の労働者を雇用する事業場から300人以上の労働者を抱える事業場まで幅広く分布していました。特に、商業や製造業、建設業といった業種で多くの違反が確認されています。具体的には、商業においては55事業場が調査され、そのうち32事業場で違法な時間外労働が確認されました。また、製造業では60事業場が調査され、48事業場で違法な労働が確認されています。
労働時間の適正な把握に関する指導も行われており、26事業場が不適正な労働時間の管理を指摘され、改善指導を受けました。具体的には、自己申告制による労働時間の把握が適正に行われていないケースや、始業・終業時刻の記録が不十分なケースが確認されています。
香川労働局の発表によれば、令和5年度の監督指導の結果は前年度と比較しても大きな変動が見られませんが、一部の違反率において増加傾向が見られます。例えば、違法な時間外労働を行っていた事業場の割合は前年度の45.9%から50.2%へと増加しています。これは、長時間労働が依然として深刻な問題であることを示しています。一方で、賃金不払残業の発生率は前年度の14.2%から6.9%へと減少しており、これは一部の改善が見られることを示しています。
しかし、過重労働による健康障害防止措置が未実施の事業場の割合は前年度の22.8%から18.0%へと減少しているものの、依然として多くの事業場が適切な対応をしていないことが明らかになっています。香川労働局はこれらの結果を踏まえ、今後も労働時間の適正化や健康障害防止措置の徹底を図るための指導を継続して行う方針です。
監督指導の結果、事業場における労働時間の管理方法にも改善が必要であることが分かりました。監督指導が行われた事業場では、労働時間の管理方法としてタイムカードやICカード、PCの使用時間記録などが利用されていますが、一部の事業場では自己申告制による管理が行われており、その信頼性が問題視されています。自己申告制を採用している事業場においては、労働者が実際の労働時間を正確に申告しないケースがあり、これが長時間労働の温床となるリスクが指摘されています。労働時間の適正な把握と管理は、労働者の健康と安全を守る上で不可欠であり、今後も厳格な監督が求められます。
長時間労働の是正に向けた取り組みは全国的にも重要な課題であり、厚生労働省も全国的な監督指導の結果を公表しています。これにより、全国の事業場での労働時間管理の実態が明らかになり、各地での取り組みが進められています。特に、月80時間を超える長時間労働が常態化している事業場に対しては、より厳しい監督が行われるとともに、健康障害防止のための措置が強化されています。
今後も香川労働局は、長時間労働の是正と労働者の健康保護を目的とした監督指導を積極的に進めていく予定です。労働基準法や労働安全衛生法の遵守を徹底させることで、労働環境の改善と労働者の安全を確保することが求められています。
⇒ 詳しくは香川労働局のWEBサイトへ