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2024年4月11日

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高年齢者の社会活動と雇用形態の関係性についての考察

高年齢者の多様な就業と生活 ―中高年者縦断調査を用いた二次分析―(JILPT)

中高年者の働き方と生活に関する包括的な調査を基に、その生活の質に影響を与えるさまざまな要因を探るものです。厚生労働省が実施した中高年者縦断調査のデータを基に、人的資源管理、教育訓練、家庭生活、社会活動といった多角的な視点から分析を行いました。

まず、高年齢者の雇用延長が仕事のやりがいや能力活用にどのように影響するかを見たところ、専門職や管理職として働き続ける人は、そうでない人に比べて、より高い満足度を得ていることが分かりました。しかし、仕事を継続するかどうかだけでは、2012年から2013年にかけての満足度の変化には大きな影響を与えていないことが示されました。再雇用や勤務延長制度がある職場では、これらの制度がない場合と比べて、仕事の満足度が高くなる傾向がありました。

次に、50代後半の正社員における能力開発や資格取得の傾向を調査しました。結果として、女性や高学歴の人、またホワイトカラーの職に就いている人ほど、これらの経験が多いことが明らかになりました。特に、大企業や官公庁に勤務する54歳から56歳の人々は、他の年齢層や企業規模と比較して、より多くの経験をしていました。

また、介護が60歳以降の男性の就業にどのような影響を与えるかについても検討しました。59歳時点で介護を担うことになった男性は、そうでない男性に比べて、無業になる可能性が高くなることが分かりました。ただし、大企業に勤務する男性の場合は、中小企業に勤める男性と比べて、介護提供の影響が就業に及ぼす差は見られませんでした。

最後に、就業が高齢期の地域参加に与える影響を分析しました。55歳から59歳の段階では就業が地域参加に大きな影響を与えていないものの、60歳を超えると、特に男性で就業が地域参加を抑制する傾向があることが示されました。就業形態によっても差があり、中小企業や非正規雇用で働く人々は、より地域参加しやすい傾向にありました。

この研究は、中高年者の仕事と生活の質に関する洞察を提供し、高齢社会における労働政策や教育訓練制度の改善に寄与する重要な情報を提供しています。

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ