2024年8月1日
労務・人事ニュース
高齢化社会対応、2026年度に240万人の介護職員必要、2040年度には272万人
第372回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料1-3 介護人材の現状と対応等について(厚労省)
日本の人口は減少傾向にあり、特に75歳以上の高齢者の割合が増加しています。この状況は、2040年には65歳以上が全人口の35%を占め、2070年には全人口の約39%に達する見込みです。これに伴い、介護職員の必要数も増加しており、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人が必要とされています。
国は介護職員の処遇改善、多様な人材の確保・育成、離職防止・定着促進・生産性向上、介護職の魅力向上、外国人材の受入環境整備などの総合的な介護人材確保対策を講じています。具体的には、介護職員の賃金改善やキャリアアップ支援、多様な働き方の導入、介護ロボットやICTの活用推進、保育施設の設置支援などが含まれます。
介護職員の処遇改善については、賃金の引き上げが継続的に行われており、例えば、平成24年度の介護報酬改定では月額6000円、平成27年度には月額13000円、令和元年10月には月額18000円の賃金改善が実施されました。さらに、令和4年10月には月額平均9000円相当の賃金引き上げが行われています。
また、介護職員のキャリアパスについても、専門性の向上や多様なキャリアの選択が可能となるよう支援されています。例えば、認知症ケアや看取りケアの専門性を高めることや、地域全体の介護力向上を目指す取り組みが推奨されています。
介護福祉士修学資金貸付事業も重要な施策の一つです。これは、介護福祉士養成施設に通う学生に対して授業料や就職準備金を貸し付けるもので、資格取得後に一定期間介護業務に従事することで返済が免除される仕組みです。この貸付事業により、地域の福祉・介護人材の育成と確保が図られています。
さらに、介護に関する入門的研修の実施も行われており、介護未経験者に対して基礎的な知識や技能を提供することで、介護分野への参入を促進しています。この研修は、1日で完了する短期間のものから、数日かけて行うものまで様々な形態で実施されています。
介護助手の普及も進められており、介護現場での多様な就労を促進するため、介護助手等の普及推進員が市町村社会福祉協議会等を巡回して周知活動を行っています。これにより、介護職の業務の機能分化を図り、掃除や配膳、見守りなどの周辺業務を担う人材の確保が進められています。
このように、国や地方自治体、各種団体が連携して、介護人材の確保と育成、処遇改善、キャリア支援を行うことで、高齢化社会に対応した介護体制の強化が図られています。これにより、介護職員が安心して働き続けられる環境が整備され、利用者に対する質の高い介護サービスの提供が実現されることが期待されています。
参考:資料1-3 介護人材の現状と対応等について
よくある質問Q&A
Q1:日本の人口が減少傾向にある中、特に増加が見込まれている年齢層はどの年齢層ですか?
A1:75歳以上の高齢者の割合が増加すると見込まれています。
Q2:2040年には65歳以上の高齢者が全人口の何%を占めると予想されていますか?
A2:65歳以上の高齢者が全人口の35%を占めると予想されています。
Q3:介護職員の必要数は2026年度にどれくらい増加すると見込まれていますか?
A3:2026年度には約240万人の介護職員が必要と見込まれています。
Q4:国が実施している介護人材確保対策にはどのようなものがありますか?
A4:介護職員の処遇改善、多様な人材の確保・育成、離職防止・定着促進・生産性向上、介護職の魅力向上、外国人材の受入環境整備などがあります。
Q5:介護職員の賃金改善は令和元年10月にどれくらい引き上げられましたか?
A5:令和元年10月には月額18000円の賃金改善が行われました。
Q6:介護福祉士修学資金貸付事業の返済免除要件は何ですか?
A6:介護福祉士の資格取得後、5年間介護業務に従事することです。
Q7:介護に関する入門的研修の目的は何ですか?
A7:介護未経験者に対して基礎的な知識や技能を提供し、介護分野への参入を促進することです。
Q8:入門的研修はどのような形態で実施されていますか?
A8:1日で完了する短期間のものから、数日かけて行うものまで様々な形態で実施されています。
Q9:介護助手普及推進の目的は何ですか?
A9:介護職の業務の機能分化を図り、掃除や配膳、見守りなどの周辺業務を担う人材の確保を促すことです。
Q10:介護助手等普及推進員の役割は何ですか?
A10:市町村社会福祉協議会等を巡回して周知活動を行い、介護助手等希望者の掘り起こしを行うことです。
Q11:介護職員の処遇改善加算は令和4年10月にどれくらいの賃金引き上げが行われましたか?
A11:月額平均9000円相当の賃金引き上げが行われました。
Q12:介護職員のキャリアパス支援ではどのような取り組みが推奨されていますか?
A12:認知症ケアや看取りケアの専門性を高めることや、地域全体の介護力向上を目指す取り組みが推奨されています。
Q13:令和6年度の介護報酬改定ではどのような変更が行われる予定ですか?
A13:介護職員の処遇改善加算を一本化し、加算率を引き上げる予定です。
Q14:外国人材の受入れ環境整備にはどのような支援が含まれますか?
A14:介護福祉士資格取得支援、学習支援、多言語の学習教材の提供、国家試験対策講座の開催などが含まれます。
Q15:介護ロボットやICTの導入推進の目的は何ですか?
A15:介護現場の生産性向上を図ることです。
Q16:介護福祉士修学資金貸付事業の対象者は誰ですか?
A16:介護福祉士養成施設に通う学生が対象です。
Q17:入門的研修を修了すると何が得られますか?
A17:研修修了者に対して修了証明書が発行されます。
Q18:介護職員の賃金引き上げはどのように行われてきましたか?
A18:平成24年度から継続的に賃金改善が行われており、月額6000円から18000円までの引き上げが行われてきました。
Q19:介護職の多様な働き方の導入例を挙げてください。
A19:週休3日制や介護助手としての就労、副業・兼業などの多様な働き方が導入されています。
Q20:令和6年度の介護報酬改定で加算率はどのくらい引き上げられる予定ですか?
A20:介護現場で働く方々にとって、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへとつながるよう加算率が引き上げられる予定です。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ