2024年9月3日
労務・人事ニュース
鳥取県の新規高卒者求人が1.2%減少、就職希望率は18.0%に
令和7年3月新規高等学校卒業予定者の求人・就職希望状況(7月末現在)について(鳥取労働局)
令和7年3月に卒業予定の新規高等学校卒業者に関する鳥取労働局の最新の報告では、新規高卒求人数が前年同期比で1.2%減少し、2,170人となったことが明らかになりました。この減少は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた業界再編や労働市場の変動など、さまざまな要因が考えられます。しかし、全体の求人倍率は2.61倍となり、前年の2.54倍をわずかに上回る結果となりました。これは、求人の減少に対して就職希望者数がさらに減少したため、相対的に求人倍率が上昇したことを示しています。
具体的に就職希望者の動向を見てみると、令和6年7月末時点での就職希望者数は830人であり、前年同期から3.9%減少しました。この中で、県内就職を希望する者は661人で、こちらも前年同期から3.1%の減少を記録しています。就職希望者の割合、いわゆる就職希望率は18.0%であり、前年の18.8%を0.8ポイント下回っていますが、県内就職希望率は79.6%と、前年同期の78.9%を0.7ポイント上回る結果となりました。これにより、県内での就職を志向する傾向がわずかに強まっていることが示唆されます。
県内の業種別求人動向に目を向けると、学術研究や専門・技術サービス業で前年同期比31.3%、卸売業や小売業で9.2%、建設業で7.6%の求人増加が見られました。一方で、製造業では6.5%、宿泊業や飲食サービス業で27.3%、運輸業・郵便業で17.6%と大きな減少が見られ、特に観光業界や製造業が厳しい状況に置かれていることがわかります。
鳥取労働局は、これらの現状を踏まえ、新規高卒者に対する就職支援策を引き続き強化する方針を打ち出しています。具体的には、7月に実施した「新規高卒求人事業所説明会」に加え、10月には未内定者を対象とした追加の説明会を開催する予定です。さらに、ハローワークによる個別の就職相談を通じて、希望者一人ひとりに対してきめ細かな支援を行う方針です。
また、新規高卒者の就職活動を支援するための取り組みとして、夏休み期間中から採用選考開始期日までの間に職場見学会が積極的に行われています。この取り組みは、就職希望者が実際の職場環境や仕事内容を理解することを促進し、適切な職業選択をサポートするものです。特に、地域における雇用機会の減少が見られる状況下では、こうした体験型の支援が一層重要となります。
総じて、鳥取労働局の報告は、新規高卒者に対する求人が依然として厳しい状況にあることを示しており、特に製造業や観光業といった一部の業種での求人減少が顕著です。しかし、地域内での就職を希望する若者が一定数存在することから、地域経済を支えるための就職支援策が今後さらに重要となるでしょう。鳥取労働局は、これらの状況を踏まえて、若者の地元定着を促進するための施策を強化することが求められています。
⇒ 詳しくは鳥取労働局のWEBサイトへ