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2024年9月3日

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鹿児島の求人倍率1.13倍に減少、業種別で見る雇用の不均衡

鹿児島労働局定例記者会見資料 令和6年8月分(鹿児島労働局)

鹿児島労働局が令和6年7月の雇用失業情勢について発表しました。このレポートでは、県内の雇用市場が依然として厳しい状況にあることが明らかにされています。特に注目すべきは、7月の有効求人倍率が1.13倍と、前月より0.02ポイント減少し、3か月連続で低下している点です。全国の有効求人倍率は1.24倍と、鹿児島県の数字を上回っていますが、全国順位では鹿児島県は33位で、九州内では6位となっています。このことから、鹿児島県内の雇用状況は他の地域に比べてやや遅れていることが示されています。

新規求人数についても、前月から減少傾向が続いており、特に運輸・郵便業やサービス業において顕著です。これに対して、建設業や卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業などでは増加が見られ、産業間での求人数の変動が激しい状況が浮き彫りになっています。特に、卸売業・小売業では前年同月比で17.7%の増加があり、建設業でも11.2%の増加が見られました。これに対して、運輸・郵便業は9.9%の減少となっており、業種間での景気の影響が異なることが分かります。

新規求職申込件数も前年同月比で3.1%増加しており、求職者の数が増えていることが確認されています。特に、建設業や製造業などでの求職者数が増加しており、雇用市場においては依然として求人と求職のミスマッチが存在していることが示唆されます。

また、鹿児島県内の安定所別有効求人倍率の推移を見ても、地域ごとに大きな違いがあることが分かります。例えば、姶良市や奄美市では有効求人倍率が比較的高く、1.61倍や1.35倍といった数字が見られますが、反対に伊佐市や曽於市では0.88倍と低い数値に留まっています。このように、地域ごとの産業構造や経済状況が求人倍率に影響を与えていると考えられます。

正社員に限定した有効求人倍率も注目すべき点です。令和6年7月の正社員有効求人倍率は1.05倍で、前年同月と同じ倍率を維持していますが、新規求人数は前年同月比で9.7%増加しており、正社員への需要は引き続き高いことが分かります。しかしながら、新規求人数に占める正社員の割合はやや減少傾向にあり、求職者が増加していることと相まって、正社員への転職が容易でない現状が示されています。

この報告からは、鹿児島県内の雇用市場が厳しい状況に直面していることが読み取れます。物価上昇や景気の不透明感が雇用に与える影響が引き続き注視されるべきであり、特に新規求人の減少が今後の課題となるでしょう。業種間での求人動向の違いや地域ごとの求人倍率の差異が浮き彫りになっており、県内全体でのバランスある雇用政策が求められています。また、正社員求人が増加している一方で、求職者の増加により競争が激化していることから、求職者のスキル向上や企業側の採用戦略の見直しが必要となるかもしれません。

これらのデータをもとに、鹿児島県内の企業や労働者に対する支援策が今後どのように展開されていくのかが注目されます。特に、求人倍率が低い地域や業種に対しては、さらなる支援が必要となるでしょう。鹿児島県全体の経済活性化に向けた施策が急務であり、雇用の安定と求人の拡大が図られることが期待されます。

鹿児島県の求人倍率1.13倍に低下、地域間の経済格差が浮き彫りに

鹿児島県の労働市場における最近の動向は、県内外の経済情勢に大きな影響を受けていることがうかがえます。特に、7月の有効求人倍率が1.13倍と3か月連続で低下していることは、県内の雇用市場の停滞を示唆しています。この減少傾向は、物価上昇や景気の不透明感が背景にあり、特に中小企業やサービス業が打撃を受けている可能性があります。

求人倍率の低下は、企業側の新規採用への慎重姿勢を反映しており、経済の先行き不透明感が雇用に対する需要を減退させていることが考えられます。鹿児島県内では、特に運輸・郵便業やサービス業での新規求人が減少しており、これらの業種が県内経済の弱さを象徴しています。このような状況は、雇用者の不安定さを助長し、失業率の上昇につながるリスクがあります。

一方で、建設業や卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業などの分野では求人が増加しているため、これらの産業は依然として労働者を必要としていることがわかります。特に、観光業が盛んな鹿児島県において、宿泊業・飲食サービス業の求人増加は観光需要の回復を反映している可能性があり、地域経済の回復に寄与しています。

地域ごとの求人倍率の違いも大きな課題です。鹿児島県内では、例えば奄美市や姶良市での求人倍率が高い一方で、伊佐市や曽於市などでは求人倍率が低いという現象が見られます。これは、地域ごとの産業構造や経済活動の活発さの違いによるものであり、地域間の経済格差が広がる懸念があります。このような地域格差は、県全体の経済成長を阻害する要因となり得るため、バランスの取れた地域経済政策が求められます。

また、正社員に対する求人が増加している一方で、求職者数も増加しているため、正社員の競争が激化していることも見逃せません。特に若年層や高齢者層にとって、正社員としての就職が困難になることが予想され、これが長期的な雇用の不安定さを引き起こす可能性があります。このような状況は、地域経済の持続可能性にも影響を及ぼし、労働者のスキルアップや再教育が一層重要になるでしょう。

さらに、物価上昇の影響も無視できません。インフレが進行する中で、企業はコスト増に直面し、これが新規採用の抑制につながっています。また、消費者の購買力が低下することで、サービス業や小売業などの需要が減少し、これがさらに求人減少を招く悪循環が生まれています。これらの要因は、鹿児島県全体の経済に広範な影響を及ぼしており、雇用市場の回復には時間がかかると予想されます。

このように、鹿児島県の労働市場は、物価上昇や景気の不透明感、地域格差など複数の要因が重なり、厳しい状況に置かれています。県内の企業や労働者がこの状況を乗り越えるためには、労働市場の流動性を高める施策や、地域ごとの経済支援策が不可欠です。また、企業側も新たな採用戦略の導入や、労働者のスキル向上に向けた投資を積極的に行う必要があるでしょう。

⇒ 詳しくは鹿児島労働局のWEBサイトへ

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