2024年9月3日
労務・人事ニュース
鹿児島労働局、令和5年度の総合労働相談件数13,113件で4年連続の高水準
令和5年度個別労働紛争解決制度及び雇用均等関係法令にかかる施行状況について公表します(鹿児島労働局)
令和5年度の鹿児島労働局による「個別労働紛争解決制度」および「雇用均等関係法令」の施行状況について、以下のように報告されました。
まず、令和5年度の総合労働相談件数は13,113件で、これは前年度から3.6%の減少を示しています。とはいえ、4年連続で1万3千件を超える相談が寄せられており、鹿児島労働局における労働問題への関心が依然として高いことが伺えます。これらの相談のうち、民事上の個別労働紛争に関するものが3,709件あり、前年度から1.8%増加しています。この中で「自己都合退職」に関する相談が最も多く、838件が報告されました。さらに、「いじめ・嫌がらせ」に関する相談が782件あり、これら2つの問題が全体の半数近くを占めています。
次に、雇用均等関係法令に基づく相談件数は2,081件で、こちらは前年度より22.5%の減少を記録しました。特に、労働施策総合推進法に関する相談が最も多く1,043件であり、全体の50.1%を占めました。また、育児・介護休業法に関する相談が730件(35.1%)で、これら2つの法令に関する相談が全体の85.2%を占めています。ハラスメントに関する相談は1,360件あり、そのうち職場における「パワーハラスメント」が1,043件で、ハラスメント関連相談の約76.7%を占めています。
さらに、個別労働紛争解決制度の運用状況についても注目すべき点があります。助言・指導の申出件数は50件で、前年度より31.5%減少しました。この制度は、労働局長が紛争当事者に対して解決の方向を示すことで、自主的な解決を促進するものです。申出内容としては、「自己都合退職」や「いじめ・嫌がらせ」が含まれ、事例に応じて対応が行われました。
また、紛争調整委員会によるあっせんの申請件数は20件で、こちらも前年度から25.9%減少しています。あっせん内容としては「雇止め」に関するものが最も多く5件報告されています。これらの紛争解決において、労使双方が合意に至るよう調整が行われ、その結果、紛争の円滑な解決が図られました。
雇用均等関係法令に基づく是正指導の件数も1,166件に達し、前年度から増加しています。特に、育児・介護休業法やパートタイム・有期雇用労働法に関する是正指導が多数行われており、労働施策の適正な運用が強化されています。ハラスメント防止措置や労働条件の改善に向けた指導も行われ、職場環境の改善に寄与しています。
さらに、令和5年度の事例として、雇止めにかかる助言や、解雇に対するあっせん、ハラスメントに関する調停などが紹介されています。これらの事例からは、労働局が紛争解決において果たす重要な役割が浮き彫りとなっています。例えば、雇止めに関する事例では、労働局の助言により、事業主が雇止めを撤回し、雇用継続が実現されました。また、解雇に関するあっせんでは、労使双方が歩み寄り、解雇を撤回し、会社都合退職として解決金を支払うことで合意が形成されました。これにより、円満な解決が図られています。
総じて、鹿児島労働局は、労働者と事業主間の紛争を解決するための重要な窓口として機能しており、その施行状況は労働環境の改善に大きく寄与しています。今後も、労働局の積極的な介入と適切な対応が期待されるところです。企業にとっても、こうした制度を理解し、適切に活用することが、健全な労働環境を維持する上で重要となるでしょう。
⇒ 詳しくは鹿児島労働局のWEBサイトへ