2025年7月10日
労務・人事ニュース
【令和6年度】いじめ・嫌がらせ相談5.4万件、職場トラブル最多で企業の対応が急務
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「時短勤務可」/准看護師・正看護師/内科/循環器内科/クリニック/車で通えます
最終更新: 2025年7月9日 23:04
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歯科衛生士/アットホーム 完全週休2日制 無料駐車場あり 開業後30/一般歯科 予防歯科 矯正歯科 小児歯科 インプラント ホワイトニング・審美歯科 訪問歯科
最終更新: 2025年7月9日 21:00
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「駅チカ」/准看護師・正看護師/小児科/アレルギー科/クリニック/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年7月9日 23:04
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「残業ゼロ」/准看護師・正看護師/内科/小児科/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年7月9日 23:04
「令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します(厚労省)
令和7年6月25日、厚生労働省が公表した「令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況」は、日本の職場環境におけるさまざまなトラブルの実態と、それに対する国の対応状況を明らかにしました。この制度は、労働者と事業主の間で生じるトラブルを未然に防止し、発生した場合には迅速な解決を図ることを目的として運用されています。制度の核を成すのは、「総合労働相談」「助言・指導」「あっせん」という三つの対応手段で、全国379か所の相談コーナーがその窓口となっています。
今回の統計によると、令和6年度に全国の総合労働相談コーナーに寄せられた相談件数は120万1,881件となり、5年連続で120万件を超えました。これは日本における労働問題の多さ、あるいはその相談ニーズの高さを如実に表しています。その中で「法制度の問い合わせ」が全体の60.3%にあたる81万4,454件を占めており、働く人々や企業が法律に対する正しい理解を求めていることが伺えます。
一方で、労働基準法等の違反の疑いがあるものは20万7,619件、民事上の個別労働関係紛争に関する相談は26万7,755件となっており、実際に何らかのトラブルを抱えている労働者も非常に多いことがわかります。民事上の個別労働関係紛争とは、労働条件や解雇、ハラスメントなど、法令違反に該当しないが重大なトラブルとなり得る事象であり、企業のリスク管理に直結する分野です。
特に注目すべきは、「いじめ・嫌がらせ」に関する相談が54,987件で13年連続で最多となっている点です。これは全体の17.4%を占めており、職場内の人間関係が依然として大きな問題であることを示しています。なお、令和4年度から施行された改正労働施策総合推進法により、パワーハラスメントに関する相談は別途集計されており、この数字には含まれていません。つまり、実態としてのハラスメント関連の相談はさらに多いと推察されます。
また、「労働条件の引下げ」に関する相談も前年度より2.0%増加し、30,833件となりました。加えて、同様の内容に対して「助言・指導」の申出が1,103件(7.8%増加)、「あっせん」の申請が399件(5.0%増加)と、すべての段階で増加傾向にあります。これは経済情勢の変化や企業経営の厳しさの影響を反映しており、企業が従業員の理解を得ないまま労働条件を変更するリスクが高まっていることを意味します。
その一方で、「解雇」に関するあっせん申請件数は792件で最多となっており、依然として雇用終了に関わるトラブルが大きな問題となっています。あっせんの申請者のうち98.6%が労働者側であり、申請内容の多くが労働者による納得のいかない雇用終了への不満に起因しています。事業主側が申請を行う例はわずか1.3%にとどまりました。
助言・指導制度の運用状況を見ると、計8,865件の申出があり、うち95.3%にあたる8,256件で実際に助言または指導が行われました。その大半が1か月以内に対応されており、制度の迅速性がうかがえます。一方、紛争調整委員会によるあっせんは、申請件数が3,866件で、前年より4.9%増加しました。解決に至ったケースは全体の30.2%で、打ち切りや参加拒否が約45%を占めるなど、課題も残ります。
また、申請人の就労形態別に見ると、正社員が47.4%、短時間労働者が19.5%、有期雇用労働者が19.9%と、多様な雇用形態にまたがる相談が見られます。これは企業が非正規人材を含めた全体的な人事管理において、トラブル回避のための施策を講じる必要があることを示しています。
企業の採用担当者にとって、これらのデータは極めて重要です。採用後のミスマッチや早期離職を防ぐためには、労働条件の明確化やハラスメント対策、そして労使コミュニケーションの強化が不可欠です。また、個別対応に追われることを避けるためにも、就業規則や契約条件の適正化、相談体制の整備が求められています。特に、「退職勧奨」「雇止め」「出向・配置転換」といった分野にも多くの相談が寄せられており、企業は一方的な人事措置を行うリスクについて再認識する必要があります。
働き方が多様化する現代において、職場でのトラブルを未然に防ぐための体制整備と、柔軟で公平な対応が企業に求められています。今後もこの制度を通じて示される動向を注視し、労務リスクの最小化に取り組むことが、安定的な人材確保と定着に繋がっていくでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ