労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • コンテナ取扱総数105万TEUに到達、東京港が前年比6.5%増で物流拠点化進む(港湾統計速報 令和7年1月分)

2025年4月11日

労務・人事ニュース

コンテナ取扱総数105万TEUに到達、東京港が前年比6.5%増で物流拠点化進む(港湾統計速報 令和7年1月分)

Sponsored by 求人ボックス

港湾統計速報(令和7年1月分)(国交省)

2024年1月、国内主要港湾における外国貿易貨物のコンテナ取扱個数が公表された。今回明らかになったのは、東京港、川崎港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港という日本の国際物流の中核を担う6港における外国貿易コンテナの取扱状況であり、これは全国の港湾動向を先行的に捉える上で重要な指標である。港湾統計速報によれば、令和7年1月の総コンテナ取扱数は1,056,769TEUとなり、前年同月比で1.8%の増加を記録した。ここでいうTEUとは、20フィートコンテナ換算の単位であり、国際貨物取扱量を比較する際の標準指標である。

まず注目すべきは、輸出と輸入の内訳である。総数のうち輸出は468,913TEUとなり、前年同月比では3.5%の減少となった一方、輸入は587,856TEUで同6.5%の増加となった。このように、輸入の増加が輸出の減少を補い、全体としては微増という結果に落ち着いた。これは、世界経済の回復基調の中で、国内需要の高まりに伴う輸入増が顕著になっていることを示しており、製造業や小売業にとっては国内消費を見越したサプライチェーン構築の必要性が高まっているといえる。

東京港は、今回の統計でも最も多くのコンテナを取り扱っており、総数は330,297TEUで前年同月比6.5%の増加となった。輸出は133,481TEUで前年から1.0%減少したものの、輸入は196,816TEUで12.3%の大幅増となっており、東京湾岸部が輸入物流の要所として機能していることが明白である。企業にとっては、首都圏における物流拠点の整備や人材配置が、今後さらに重要性を増すことが予測される。

川崎港の取扱数は7,294TEUで全体として6.1%増となった。中でも輸入は4,048TEUで14.6%増と、急伸したのが印象的である。川崎港は比較的小規模ではあるものの、製造業の部材調達や化学品の取り扱いで強みを持っており、専門性の高い貨物の取り扱いが輸入主導で拡大している傾向が見られる。これにより、港湾周辺の技術者や管理職の人材ニーズが強まることが予測され、採用計画においては即戦力人材の確保がより重視される局面が続くだろう。

横浜港では、総取扱数が198,762TEUで前年同月比0.9%の増加となり、輸出は95,459TEU(4.5%減)、輸入は103,303TEU(6.5%増)という構成となった。横浜港は伝統的に自動車部品や精密機器の輸出拠点としての性格を持つが、近年は輸入食品や生活雑貨の取り扱いも拡大しており、多様な貨物に対応する総合的な港湾機能の重要性が増している。港湾運営企業や通関業者、さらには荷捌き業務における多能工化が求められていることから、人材の多様なスキル保有が競争力に直結する状況にある。

名古屋港の取扱数は194,244TEUで前年比0.1%増と、ほぼ横ばいであった。しかし輸出が87,570TEUで8.5%の減少、輸入が106,674TEUで8.5%の増加と、輸出入で大きな動きが見られる。中部圏の製造業は自動車産業を中心に国際競争力が高いが、ここにきて海外の需要鈍化や物流コストの上昇などが輸出を抑制している可能性がある。一方で、原材料や部材などの輸入は堅調であり、現場では原料調達から生産管理に至るまでの一貫した人材配置の戦略が重要となる。

大阪港は167,812TEUで前年より1.4%減となった。輸出は71,083TEUで0.3%減、輸入は96,729TEUで2.3%減と、双方で微減傾向が続いている。近畿圏では他港との競合や需要の変化により、港湾間の役割分担や効率化が課題となっており、今後の港湾再編も視野に入れた物流最適化が求められる。企業の観点では、現場オペレーションに加えて港湾政策を理解するマネジメント層の育成がポイントとなる。

神戸港は158,360TEUで前年比0.7%減少したが、輸入については80,286TEUで1.9%増となり、緩やかな回復基調が見られる。神戸港はアジア・オセアニア航路の中継点としての機能が高く、今後の国際貿易拡大とともに再び注目が集まる可能性がある。採用面では、外国語対応が可能なオペレーターや輸出入業務経験者など、国際業務に強い人材の確保が鍵を握る。

今回の速報値を通じて浮かび上がったのは、日本の港湾物流が総じて輸入主導の形で回復基調にある一方で、輸出の減速が一部港で顕著になっているという現実である。これにより、企業のサプライチェーン戦略や在庫管理手法、輸送手段の多様化といった課題が再認識される必要がある。また、港湾ごとに異なる課題や特性を理解し、それぞれの地域の物流ニーズに合わせた採用戦略を立てることが、企業競争力の維持・向上に直結する。

今後の物流産業においては、港湾施設の高度化やデジタル技術の導入に対応できる人材の育成、持続可能な輸送手段に対応するノウハウ、国際規制への理解といった広範なスキルが必要とされるだろう。企業はそれに先立ち、既存人材の再教育や新規採用の強化を通じて、自社の物流力を底上げしていくことが求められる。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ