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2025年4月12日

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サンマの公海漁獲枠を12万1,500トンに削減、資源回復へ国際合意

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「北太平洋漁業委員会(NPFC)第9回年次会合」の結果について(水産庁)

令和7年3月27日、北太平洋漁業委員会(NPFC)第9回年次会合が閉幕し、国際的な漁業資源管理において重要な合意が得られました。今回の会合は、3月24日から27日までの4日間、大阪市の難波御堂筋ホールを主会場としつつ、オンライン参加も可能な形式で開催され、日本を含む計9つの国と地域が参加しました。日本からは福田工・水産庁資源管理部審議官を代表とし、農林水産省の顧問でありNPFC議長を務める太田氏、水産庁や外務省の担当者、さらには研究機関や漁業団体の関係者も出席しました。

NPFCは、2015年7月に発効した「北太平洋における公海の漁業資源の保存及び管理に関する条約」に基づいて設立された地域漁業管理機関です。加盟国は、日本、カナダ、ロシア、中国、韓国、アメリカ、バヌアツ、台湾、そして欧州連合(EU)です。この機関は、北緯20度以北の北太平洋公海において、サンマやマサバなどの水産資源を対象に、その保存と持続可能な利用の確保を目的とした管理措置を行っています。東京海洋大学内に事務局を構えており、科学的根拠に基づく漁業管理と国際的な協力を基盤とした運営がなされています。

今回の第9回会合では、とくに注目すべき成果として、サンマおよびマサバの資源管理措置に関する合意がありました。サンマについては、前年に合意された漁獲管理規則に基づき、2025年の公海における漁獲上限を13万5,000トンから1割削減し、12万1,500トンに設定することが決まりました。さらに、公海を含めた分布域全体での年間漁獲量は、従来の22万5,000トン以内から2万2,500トン減となる20万2,500トン以内に制限されることとなりました。このルールは、資源の持続性を確保する観点から、毎年の漁獲上限の変動幅を前年比1割以内に抑える仕組みが導入されており、科学的データに基づいた管理が進んでいることを象徴しています。

一方でマサバについては、より厳しい措置が取られました。公海における漁獲上限を従来の10万トンからおよそ3割削減し、7万1,000トンに設定する合意がなされました。この決定は、近年マサバの資源量が減少傾向にあることが明らかになったことや、気候変動による影響を含めた資源変動リスクを勘案した結果とみられています。今後の持続的な水産業の発展のためには、このような資源保護に対する国際的合意が不可欠であり、日本としても責任ある漁業国としての立場を堅持していく必要があります。

また、NPFCが対象とする水域では、まぐろ類やさけ・ますなど、他の国際条約で管理される資源は含まれておらず、サンマやマサバ、クサカリツボダイ、アカイカといった種類が中心となっています。これらの魚種は、日本の水産業においても重要な位置を占めており、とくにサンマは秋の味覚として消費者の間でも馴染み深い魚です。そうした背景から、資源の急激な減少は国内の流通や価格動向にも影響を与えるため、国際的な漁獲枠の設定や監視体制の強化は、漁業経営だけでなく、食品産業全体に波及効果をもたらします。

今回の合意には、資源回復の道筋を科学的に示しつつも、各国の漁業実態や経済的背景にも配慮した柔軟な調整が求められました。特に中国やロシアといった資源利用の中心国との意見調整は難航する場面もありましたが、日本の外交努力と議長国としてのリーダーシップが発揮され、合意形成に至った点は評価されるべきです。

企業の採用担当者にとっても、このような国際的な漁業管理の動向は、一次産業や食品加工業、ロジスティクス関連のビジネスにおける人材ニーズや事業展開に影響を及ぼします。たとえば、今後の資源量に応じて漁獲規模が制限されることが続けば、加工拠点の見直しや業態転換を迫られる企業もあるかもしれません。その際、資源循環やサステナビリティを重視する人材の確保は、企業価値の向上につながる投資となります。また、国際的なルール形成に関与できる人材、つまり政策提言力や多国間交渉の素養を持つ人材が、水産業界にも求められる時代が到来していると言えるでしょう。

このように、北太平洋漁業委員会の年次会合は、単なる技術的な調整の場ではなく、世界の食料供給と海洋環境を守るための国際協力の最前線でもあります。今回の合意が今後も継続的に実施され、資源の回復と漁業経済の安定が両立することを期待しつつ、日本としても科学と国際協調を基盤に据えた水産政策を進めていくことが求められます。

⇒ 詳しくは水産庁のWEBサイトへ

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