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2025年4月28日

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トラックドライバー不足解消に向けた中継拠点整備、全国に波及する雇用創出の可能性

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「物流拠点の今後のあり方に関する検討会」における報告書を公表 ~物流拠点に関する今後の政策の方向性についてとりまとめました~(国交省)

令和7年4月9日、国土交通省は「物流拠点の今後のあり方に関する検討会」報告書を公表しました。この報告書は、近年注目される「物流2024年問題」や、災害の激甚化による影響、さらには地域産業インフラとしての物流拠点の重要性を踏まえた上で、今後の政策的な方向性と支援策を整理したものです。企業の採用担当者にとって、この報告書は単なる物流政策の枠を超え、労働環境の変化や地方拠点の整備方針、ひいては人材戦略そのものに影響を与える重要な情報となります。とくに、トラックドライバーの労働時間規制に伴う輸送体制の変化は、人材配置や業務体制の再構築にも関わる要素であり、採用活動の観点からも見逃せないポイントです。

物流拠点を取り巻く現状には、5つの主要課題が指摘されています。まず1つ目は、物流拠点の整備や配置が個々の企業判断に委ねられていることで、全国的な全体最適が図られていない現実があります。現時点では、地域ごとの物流拠点の配置状況を正確に把握する仕組みが整っておらず、重複や空白地帯が発生している恐れがあるため、今後は需給の見える化を含めた政策的な拠点整備が求められています。次に、2つ目の課題として挙げられているのがトラック輸送の変容です。2024年4月からドライバーの時間外労働に年960時間の上限が適用され、長距離輸送が困難になる中、中継輸送拠点の必要性が急速に高まっています。これは、企業の物流体制のみならず、ドライバーの勤務形態や募集条件にも直接影響を及ぼし、採用担当者にとっては人材獲得や配置の方針転換が求められる局面といえます。

3つ目の課題は、物流拠点の老朽化です。多くの営業倉庫やトラックターミナルは高度経済成長期に建設され、今や築数十年が経過しています。しかしながら、老朽化した施設を建て替えるには相応の資金と土地の確保が必要であり、特に都市部では高度利用や複合化が求められるケースも多くなっています。現行の支援制度では倉庫税制などにとどまっており、より多様なニーズに応えるための制度整備が急務とされています。続く4つ目の課題は、都市部沿岸部における供給量不足です。とりわけ、食料品や輸出入貨物を取り扱う物流拠点では、倉庫の占有率が高止まりしており、緊急時の備蓄体制にも影響を与える恐れがあります。これは、災害時の物流の寸断や、食料安全保障といった観点からも見過ごせない問題です。

そして最後に、地域との合意形成の難しさが挙げられています。物流拠点は、産業振興だけでなく、防災拠点や地域の賑わい創出にも貢献する可能性を秘めていますが、整備にあたっては騒音や交通量の増加などへの懸念から、住民の理解を得ることが難しい場合もあります。こうした課題を踏まえ、今後の政策の方向性として、国が物流拠点整備の方針を明確に示すとともに、基幹拠点や公共性の高い施設については、地方自治体と連携した整備スキームの構築が提案されています。具体的には、自動運転トラックやダブル連結トラックといった次世代技術への対応、地域産業との融合、防災機能の強化など、多機能で柔軟な拠点整備が求められています。

企業の採用担当者にとって注目すべきは、これらの政策変化が現場レベルの業務運用、人材の働き方、そして採用戦略に直結しているという点です。たとえば、中継輸送拠点の整備が進めば、これまで長距離移動を担っていたドライバーの働き方は大きく変わります。従来のように1人のドライバーが関東から関西まで走行するのではなく、中間地点でトレーラーの受け渡しを行うことで、勤務時間の短縮と労働負荷の軽減が可能になります。これは、若年層や女性ドライバーの参入障壁を下げ、多様な人材の活用を促進する要素ともなり得ます。

また、物流拠点の再構築が進む中で、地域密着型の雇用が創出されることも期待されます。老朽施設の解体や新設に伴い、建設業やメンテナンス業務、さらには施設内での荷役作業や管理業務といった職種が新たに発生することになり、これらの求人ニーズにどう応えるかが企業の成長戦略における重要な課題となります。さらに、企業が地方に拠点を置く際には、周辺地域の物流インフラの整備状況が、従業員の働きやすさや業務効率に直結します。採用活動においても、勤務地周辺のインフラ情報を的確に把握し、応募者に対して安心感を与える説明ができるかどうかが、採用成功の鍵を握ります。

このように、今回の報告書は、物流拠点をめぐる政策の転換点を示すだけでなく、企業の採用・雇用に深く関わる実務的なインパクトを持っています。採用担当者は、自社の事業領域だけにとどまらず、産業構造全体の変化を見据えた人材戦略を構築する必要があり、国の政策動向を的確にキャッチアップする姿勢が求められます。変化の時代において、企業がどのようにして人材を惹きつけ、育成し、定着させていくかは、経営の持続可能性に直結するテーマであると言えるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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