2025年4月26日
労務・人事ニュース
中国先行き 求人倍率は1倍超えを維持も、賃上げ難航の中小企業で採用停滞が深刻化(令和7年3月調査)
- 介護職員/初任者研修/特別養護老人ホーム/デイサービス/日勤・夜勤両方
最終更新: 2025年5月1日 03:01
- 看護師/2025年5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 11:34
- 機械オペレーション/梱包/ライン作業 格安食堂完備 半導体の製造·検査 年休137日 社宅費全額補助
最終更新: 2025年5月1日 09:34
- 「夜勤なし」/准看護師/オンコールなし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
景気ウォッチャー調査(令和7年3月調査)― 中国(先行き)―(内閣府)
令和7年3月に実施された景気ウォッチャー調査における中国地域の先行き見通しは、多くの業種で物価上昇と賃上げのギャップが強く意識され、消費者の節約志向や企業活動の慎重姿勢が浮き彫りとなる内容でした。一部においてはイベントやインバウンドによる需要の増加が報告される一方で、生活関連業種や製造業、中小事業者ではコスト上昇への対応に苦慮しており、地域全体としての景況回復には時間を要することがうかがえます。特に企業の採用担当者にとっては、慢性的な人手不足に加えて、待遇改善の必要性と採用コストのバランスをどのように取るかが大きな課題となっている状況です。
小売業では、物価上昇により来店客数や購買点数の減少が続いているとの声が多く聞かれました。特にスーパーでは、米や生活必需品の価格が高止まりしており、政府による備蓄米の放出などの対策が講じられているにもかかわらず、消費者の買い控えが顕著になっています。あるスーパーの営業システム担当は、特売日に客が集中する傾向が強まっており、値上げの影響で売上は横ばいでも利益率は低下していると述べています。また、客単価の伸び悩みと、より価格の低い商品への購買シフトも報告されており、販売戦略の見直しが急務となっていることがうかがえます。
コンビニや家電量販店でも、運営コストの増加が深刻な課題となっており、特に電気料金や人件費の上昇により売上の改善だけでは経営を支えきれないとの意見がありました。消費者の動向も従来と異なり、長く使える商品や環境に配慮した製品への志向が見られる一方で、単価の高い商品に対する購買意欲は鈍化しており、価格に対する感度の高さが依然として影響しています。
観光業界では、春から初夏にかけての行楽シーズンと、ゴールデンウィーク前後の予約が堅調に推移しているとの報告がいくつか寄せられました。特に都市型ホテルでは、海外からの個人旅行客の利用が目立ち、首都圏空港や地方空港からの便を利用するインバウンド需要に期待が高まっています。また、大型イベントや芸術祭といった地域振興施策に伴い、宿泊予約が増加する傾向も見られました。ただし、料金の値上げによる予約キャンセルや利用頻度の低下が懸念されており、一定の価格帯に収めたプランの構築が求められているようです。
飲食業については、高級レストランや一般レストランの双方において、仕入価格の上昇と光熱費の負担増による影響が強調されており、価格転嫁が十分にできていない実情が浮き彫りとなっています。特に春先のイベント需要に伴う一時的な売上増が見込まれる中でも、価格改定に伴う客離れや客単価の低下を懸念する声があり、経営のかじ取りが難しい局面に差し掛かっていることが明らかです。
製造業では、輸送用機械器具製造業が春から夏にかけての繁忙期を見据えて稼働率を高めている一方で、米国の関税政策など国際的な不安要因が影を落としており、受注動向には警戒感が漂っています。非鉄金属業や輸送業では受注量の微増が見られましたが、鉄鋼業や電気機械器具製造業では価格転嫁の難しさとインフレの継続が景気の重荷となっており、回復の実感は薄いとの認識が共有されています。製造業全体としては、人手不足と設備投資の慎重化が重なり、生産計画に影響を及ぼしている状況です。
住宅関連業界では、コンクリートや設備工事の単価上昇により、販売価格が押し上げられ、購入希望者にとって手が届きにくい価格帯になっているとの指摘が複数ありました。住宅着工戸数に対しても不透明感が強く、建築基準法改正の影響がどの程度市場に波及するかが注視されています。特に、設計段階での予算オーバーが発生しやすくなっていることから、再設計や商談の長期化により業務効率の低下が懸念されています。
雇用関連では、民間職業紹介機関や人材派遣会社からの報告において、ゴールデンウィーク明け以降に求職者の動きが活発化する見込みはあるものの、求人と求職のマッチングに苦戦しているという意見が目立ちます。特に中小企業では、賃上げによるコスト増加が採用活動の抑制要因となっており、「人は必要だが採用に踏み切れない」という状況が常態化しています。一方で、求人倍率は依然として高水準で推移しており、構造的な人手不足の解消には至っていない現状が見て取れます。
教育機関や職業安定所からは、例年4月に増加する求職登録に期待が寄せられているものの、賃金上昇が物価高に追いついていない現状では、求職者側の消費マインドも依然として冷え込んだままであり、就職活動の長期化や希望条件とのミスマッチによって、企業側の採用戦略にも柔軟性が求められている状況です。
このように、中国地域の景気先行きは、観光業を中心とした一部の分野で明るい兆しが見られる一方、生活関連支出の増大や物価高騰の継続、採用環境の厳しさなどを背景に、全体としては依然として厳しい環境にあるといえます。企業の採用担当者にとっては、短期的な採用ニーズへの対応に加えて、中長期的な人材育成と職場定着施策の強化が求められており、また労働市場の変化に迅速に適応するための社内制度の再整備が急務といえるでしょう。
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