2025年4月25日
労務・人事ニュース
中国 求人数は上昇も応募者数は停滞、人材派遣会社がマッチングに苦慮(令和7年3月調査)
- 「夜勤なし」/准看護師/オンコールなし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 「駅チカ」/准看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 機械オペレーション/梱包/ライン作業 格安食堂完備 半導体の製造·検査 年休137日 社宅費全額補助
最終更新: 2025年5月1日 09:34
- 「時短勤務可」/准看護師・正看護師/介護施設/駅から近くて通いやすい
最終更新: 2025年4月30日 22:32
景気ウォッチャー調査(令和7年3月調査)― 中国(現状)―(内閣府)
令和7年3月に実施された景気ウォッチャー調査の結果から、中国地方における経済状況は、観光・サービス業を中心とした一部の分野で回復の兆しが見られるものの、全体としては物価高の影響を強く受け、個人消費の鈍化や採用活動の停滞が続いている実態が明らかになりました。とりわけ生活必需品の価格上昇が家計を圧迫し、消費者の節約志向が広がるなか、多くの業界が売上や来客数の回復に苦慮しており、企業の採用活動にも変化が求められる局面に差し掛かっています。
まず、宿泊・観光業では、インバウンドや春の旅行シーズンによる需要回復の影響が大きく、都市型ホテルではツインやダブルの客室販売が増加し、客室単価も上昇。結果として売上の増加が確認されました。一部の施設では宿泊・飲食の予約が3か月前より約5%増加しており、欧米からのツアー客によって稼働率が支えられているとの報告もあります。さらに、競艇場では女子レースの開催により売上が確保され、舟券販売時間の延長が通常レースの売上を押し上げたという好例も見られました。
小売業では、コンビニや和菓子店、土産物店など観光客向けの業種で来客数が増加傾向にあり、特に外国人観光客の回復による効果が顕著です。ある土産物店では、寒さによる花畑の開花遅れで観光客が3月に集中し、バスツアーの立ち寄り客が増加したことで売上に好影響が出たとの報告もありました。また、家電量販店では冷蔵庫や洗濯機、エアコンの売上が前年比120%と好調に推移したケースもあり、春の新生活需要が特需をもたらしている側面も見られます。
一方、スーパーや衣料品店、商店街といった生活密着型の業種では、物価高の影響が強く出ており、来客数や買上点数の減少が深刻です。とくに米や野菜の価格高騰により、日用品や食料品に対する節約意識が高まり、週末のまとめ買いや特売日以外の来店が減少する傾向が続いています。あるスーパーでは、来客数は前年並みながら売上は単価上昇によりやや上回っているものの、消費者は価格に対して極めて慎重であるとの実感が寄せられています。衣料品専門店でも物価高が消費者の購買意欲を冷やしており、賃上げがあっても衣類に充てる予算は増えないとする経営者の声もありました。
飲食業では、春のイベント需要で週末の予約が10%以上増加したとの報告がある一方、インバウンドの団体予約は前年比で2割減、国内の個人客も1割減少するなど、全体としての外食頻度は減少傾向です。飲食店の運営者からは、米の価格上昇が収益を圧迫しており、価格転嫁が難しい中で経営が苦しいとの切実な声も寄せられました。
乗用車販売では、3月の販売量が前年比78%と大幅に減少し、中旬以降の動きが止まっているとの報告が目立ちます。来客も最低限の点検や車検のみを目的に来るケースが多く、新車販売に対する消費者の慎重な姿勢が色濃く反映されています。また、自動車備品店では、春商材の動きが鈍く、米国の関税問題の影響による買い控えも発生しているという報告があり、輸出関連産業への影響も無視できません。
製造業に目を向けると、輸送用機械器具製造業や食料品製造業では前年を上回る業績を確保している企業がある一方、金属製品製造業や一般機械器具製造業では受注減や販売不振が顕著です。特に価格転嫁が消費者離れを招いているケースも見られ、海外向けの需要も円安や米国の関税政策の影響で減少傾向にあります。建設業では受注があるものの、人材不足や資材高騰の影響で工事の進捗が遅れているとの報告が目立ち、予定していた大型案件が技術者の配置などで進まず、リスクが高まっているとの指摘も見受けられました。
雇用情勢については、民間職業紹介機関で求職者からの問い合わせ数が前月比165%、登録数は166%と大幅に増加していますが、求人を出しても応募が少ない、あるいは登録者数が思うように増えないという声も根強くあります。短期大学では求人数が例年より若干増加している一方、人材派遣会社では、時給や求人数の上昇にもかかわらず登録者が伸びておらず、ギグワーク型のサービスに需要を奪われているとの見方も出ています。また、求人があってもすぐに就業先が決まる傾向にあり、競争は激化。一方で、求人数が2か月連続で前年割れする企業もあり、業績好調による増員ではなく、交代要員のみの採用が中心になっているケースも見られました。
このように、中国地方における景気の実情は、インバウンドや春のイベントによる一時的な需要増を除けば、物価上昇や消費者心理の冷え込みが経済活動全体を抑制している印象が強く、企業の採用担当者にとっては、即戦力人材の確保と同時に長期的な職場定着を前提とした採用戦略が一層求められる時期といえます。特に、価格志向が強まる市場環境下では、処遇や働き方、企業文化といった無形の価値も含めて人材確保を図る工夫が必要不可欠です。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ