2025年4月10日
労務・人事ニュース
京阪電鉄が運賃12.4%引き上げ、令和7年10月に初乗り180円へ改定実施決定
- 看護師/2025年5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 11:34
- 機械オペレーション/梱包/ライン作業 格安食堂完備 半導体の製造·検査 年休137日 社宅費全額補助
最終更新: 2025年5月1日 09:34
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京阪電気鉄道株式会社の旅客の運賃の上限変更認可について(国交省)
令和7年3月25日、国土交通省は京阪電気鉄道株式会社が申請していた鉄道運賃の上限変更を正式に認可したことを公表しました。今回の認可は、鉄道事業法第16条に基づき、運輸審議会の諮問を経て実施されたものであり、運賃の改定内容は令和7年10月1日から適用される予定です。運賃改定は鉄道会社にとって経営の安定化や安全投資のための重要な手段であると同時に、利用者にとっては日常生活に直結する重要な情報であり、その透明性と公平性が問われるテーマでもあります。
鉄道運賃の上限変更にあたっては、効率的な経営のもとで算出された適正な原価に、適切な利潤を加えた水準を超えないことが法律で求められており、今回の改定もその基準に基づいて認可されています。京阪電鉄は令和6年12月3日に本申請を行い、それに対する運輸審議会の答申が令和7年3月4日に「認可することが適当である」とされたことで、国土交通省が正式に認可を下したという経緯になります。
この運賃改定の背景には、京阪電鉄が直面する厳しい経営環境があります。近年、少子高齢化による沿線人口の減少、コロナ禍による利用者減少の定着、新たな生活様式の浸透などにより、旅客収入の回復が鈍化しています。加えて、バリアフリー設備の整備、安全輸送のための車両や変電所の更新、さらに自然災害対策やカーボンニュートラルといった社会的課題にも取り組む必要があり、これらすべてが経営を圧迫しています。さらに、昨今の電気料金や物価の高騰、人手不足による人件費上昇など、外部的な要因も重なり、コスト負担は一層深刻化しています。
京阪電鉄はこのような環境下でも、業務効率化や構造改革によってコスト削減に努めてきましたが、それだけでは持続的な輸送サービスの維持が困難であると判断し、今回の運賃改定申請に至りました。改定の主な内容としては、平均改定率が12.4%(バリアフリー料金含まず15.8%)であり、普通旅客運賃では11.7%(15.5%)、定期旅客運賃については通勤が14.4%(17.5%)、通学が8.8%(同率)とされています。具体的には、京阪線の初乗り運賃がこれまでの160円(バリアフリー料金を含めると170円)から180円に引き上げられ、大津線では5キロまでの初乗り運賃が170円から200円へと改定されることになります。
この改定は単なる価格改定ではなく、安全かつ安定した輸送サービスを維持し、必要な設備更新や社会的要請に応えるための財源確保という側面を持っています。また、運賃収入の適正化によって、将来的な投資や持続可能な運営体制の確立にもつながります。特に近年では、カーボンニュートラル対応として鉄道車両の電動化や施設の省エネ化など、環境負荷の低減に向けた取り組みが急速に進められており、それらにも相応のコストがかかるため、運賃収入の安定は避けて通れない要素となっています。
さらに注目すべきは、今回の認可において、改定後の運賃水準が永続的に維持されるものではなく、令和8年度から10年度までの3年間の総収入と総括原価の実績を精査し、令和13年3月31日までにその妥当性が確認される点です。これは国が一定期間内における収支バランスや事業運営の健全性を検証し、必要に応じた是正措置を講じるための制度的枠組みであり、企業としての経営努力を継続的に促すための重要な要素です。
実際の数値を見てみると、令和5年度の収入実績は515億円、原価は498億円で、収支率は103.4%と黒字でした。しかし、今回の改定後3年間の推定平均収入は561億円に対し、原価は564億円と見込まれており、改定後であっても収支率は99.5%にとどまり、ギリギリの運営が続くことが予想されます。こうした収支バランスの推移からも、改定が収益のためだけでなく、最低限の維持運営を図るための措置であることがうかがえます。
このような公共交通機関の財務構造や運賃制度の見直しは、企業の採用担当者にとっても無関係ではありません。とりわけ、インフラ運営や公共性の高い事業に携わる企業では、価格形成や制度改定に関する知見、社会的説明責任を果たす姿勢、さらにはコストマネジメント能力など、求められる人材像がより多様化しています。例えば、運賃制度を支える財務・法務・計画部門では、データ分析能力や行政との調整能力、またCSR(企業の社会的責任)への理解も重要視されます。また、広報や人事部門においても、価格改定などのデリケートな情報を適切に社内外へ伝達し、理解を促すためのリテラシーが問われています。
さらには、公共交通の未来に関心を持ち、インフラを支える使命感と課題解決意欲を持った若い人材の採用は、鉄道事業を含む交通産業全体にとって喫緊の課題です。人口減少社会において、通勤・通学・観光といった利用者ニーズの多様化に柔軟に対応し、持続可能な地域交通を実現するためには、イノベーション人材や地域に根差した発想を持つ人材の育成と確保が不可欠です。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ