2025年6月13日
労務・人事ニュース
介護予防サービス受給者が96万人超に拡大、前年比5.4%増が示す新たな人材ニーズ(令和7年2月)
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初任者研修/介護職員・ヘルパー/有料老人ホーム/日勤・夜勤
最終更新: 2025年7月14日 23:32
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/デイサービス/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年7月14日 22:39
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「車通勤OK」/正看護師/介護施設/研修が充実で安心
最終更新: 2025年7月14日 22:39
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「夜勤なし」/正看護師/有料老人ホーム/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年7月14日 22:39
介護給付費等実態統計月報(令和7年2月審査分)(厚労省)
令和7年2月における介護給付費等実態統計の審査結果がまとまり、厚生労働省からその概要が発表されました。高齢化社会の進行に伴い、介護サービスに関する需要と利用実態は年々変化しています。今回の発表では、介護予防サービスおよび介護サービスの受給者数や費用額が前年同月と比較してどのように推移しているのか、具体的な数字を交えて明らかにされています。これらの統計は、介護業界で働く人材の確保や、自治体・民間企業によるサービスの提供体制整備においても重要な指標となるため、採用担当者にとっても大きな関心が寄せられる内容です。
まず、令和7年2月の審査結果における全国の介護予防サービスの受給者数は96万2,900人となり、前年同月から5.4%の増加となりました。このうち、要支援1に該当する人は38万5,200人、要支援2は57万3,700人となっており、いずれも前年同月と比較して約5〜6%の増加が見られました。介護予防サービスとは、高齢者が要介護状態になることを防ぐために提供される支援であり、地域包括ケアの一環として重要な位置付けがなされています。特に要支援1・2の段階で適切な支援が行われることにより、将来的な要介護度の進行を抑制する効果が期待されています。
一方、介護サービスの受給者数は473万9,600人で、前年同月と比較して0.9%の増加にとどまりました。増加率は介護予防サービスより低いものの、実数としては依然として多くの高齢者が介護サービスを必要としていることがわかります。要介護1の受給者数は127万3,400人で前年比1.8%増、要介護2は114万5,600人で2.0%の増加、要介護3は90万8,400人とわずか0.7%の伸びに留まりました。要介護5に至っては前年比で2.1%の減少が見られ、重度要介護者の数がやや減少傾向にあることも確認されました。これは医療や介護サービスの質の向上、あるいは介護予防が奏功している可能性を示しています。
次に、費用面について見てみると、介護予防サービスにかかる総費用は268億5,300万円で、前年同月と比べて6.8%増加しました。一方、介護サービスにかかる費用は9,607億7,100万円に達し、前年同月比で3.6%の増加となっています。受給者1人あたりの費用は、介護予防サービスで27,900円、介護サービスで202,700円という結果になり、それぞれ前年よりも1.4%、2.7%の増加です。これらの増加は、サービス利用の頻度や単価の上昇、高度化するケア内容など、さまざまな要因が影響していると考えられます。
このように、要支援段階での支援が拡大している一方で、要介護者数の伸びが緩やかになっていることや、重度要介護者の減少など、介護の現場には新たな潮流が生まれているといえるでしょう。この動きは、介護業界の人材ニーズにも影響を与えることになります。たとえば、介護予防分野では比較的軽度の支援ニーズに対応できる柔軟なサービスが求められるため、リハビリ専門職や生活支援に強い人材の需要が高まることが予想されます。また、介護サービスにおいては、要介護度ごとに必要なケア内容が異なるため、それに応じた専門性のある人材の育成と確保が欠かせません。
企業の採用担当者にとって、こうした統計データは単なる数値ではなく、人材戦略を考える上での基盤となる情報です。介護予防サービスの利用が増えていることは、地域密着型の柔軟な働き方やパートタイム勤務、在宅勤務支援など、多様な雇用形態の導入にも追い風となるでしょう。一方で、介護サービス全体としての受給者数が堅調に増加していることは、安定した雇用需要が続くことを意味し、長期的な人材投資の重要性も示唆しています。
さらに、費用の増加傾向は介護事業者にとって、収益の拡大チャンスであると同時に、コスト管理とサービスの質の両立という課題にも直面していることを意味します。効率的なサービス提供体制の構築には、現場を理解したマネジメント人材や、データに基づく運営改善を行えるスタッフの採用が不可欠です。特に、1人あたり費用が20万円を超える介護サービスにおいては、限られた財源を有効活用する工夫が求められ、経営感覚に優れた人材のニーズも今後一層高まっていくでしょう。
このような背景を踏まえ、介護業界における人材採用は、今後ますます多角的かつ戦略的な視点が求められます。採用活動においては、求職者に対する魅力的なキャリアパスの提示や、働きやすい職場環境の整備が重要であり、加えて、研修制度や資格取得支援などの教育投資も大きな差別化要素となります。地域社会に根ざした介護を実現するには、その地域の特性に応じた人材育成が不可欠であり、それを支える人事戦略こそが、今後の介護事業者の競争力を左右する鍵となるのです。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ