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2025年3月27日

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介護業界の受給者数が前年比5.9%増(介護給付費等実態統計月報 令和6年9月審査分)

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介護給付費等実態統計月報(令和6年9月審査分)(厚労省)

令和6年9月の介護給付費等実態統計月報の結果が公表された。この統計は、日本全国の介護予防サービスおよび介護サービスの利用状況や費用額を分析し、介護制度の現状を把握するための重要な指標となっている。今回のデータでは、受給者数が前年同月比で増加傾向にあることや、費用額の上昇が確認された。この動向は、介護業界に関わる企業や施設の経営戦略に影響を及ぼす可能性があるため、詳しく内容を見ていく。

まず、全国の受給者数の動向を分析すると、介護予防サービスを利用した人の数は945,000人に達し、前年同月比で5.9%の増加が見られた。一方で、介護サービスの受給者数は4,732,300人となり、こちらも前年同月比で1.6%増加している。特に、要支援1および要支援2の受給者が増えていることが特徴的で、要支援1では6.2%、要支援2では5.6%の増加が記録された。これは、高齢者の健康寿命が延び、軽度の支援を受けながら生活する人が増えていることを示唆している。また、要介護1および要介護2の受給者数も増加傾向にあり、要介護1では1.7%、要介護2では3.1%の伸びが確認された。要介護度が高い利用者の中では、要介護3と要介護4の受給者数がそれぞれ1.5%および1.2%増加しており、介護サービスの需要は引き続き拡大していることが分かる。ただし、要介護5の受給者数は前年比0.9%減少しており、重度の介護を必要とする高齢者の減少がわずかに見られた。

次に、費用額の動向について詳しく見ていく。介護予防サービスにかかる費用額は263億4,800万円となり、前年同月比で6.5%増加している。一方で、介護サービスの総費用額は9,745億3,000万円となり、前年同月比で3.8%の増加が見られた。受給者1人当たりの費用額を比較すると、介護予防サービスでは27,900円(前年同月比0.6%増)、介護サービスでは205,900円(前年同月比2.2%増)といずれも増加傾向にある。この背景には、高齢化の進行に伴い介護サービスの需要が高まり、利用回数やサービスの質が向上したことが考えられる。特に、訪問介護や通所介護(デイサービス)の利用者が増えていることが費用増加の要因の一つとされている。

介護施設ごとの受給者数の内訳を見ると、居宅サービスの利用者が3,480,000人と最も多く、前年同月比で2.1%増加している。次いで、地域密着型サービスの利用者は929,100人となり、1.4%の増加が見られた。一方で、施設サービスの利用者数は964,200人で、前年同月比で0.3%の微増にとどまっている。この傾向は、在宅介護を選択する高齢者が増えていることを示しており、今後の介護サービス提供のあり方に影響を与える可能性がある。

介護サービスの利用者が増加する中、介護業界にとっては人材確保がますます重要な課題となる。特に、介護職員の不足が全国的に深刻化しており、多くの施設や訪問介護事業所が人手不足に直面している。現在、介護職員の需要は高まり続けており、新規採用だけでなく、既存職員の定着率向上が経営戦略の重要なポイントとなっている。企業としては、給与水準の引き上げや職場環境の改善、キャリアアップ制度の充実などを通じて、優秀な人材を確保することが求められている。

また、介護サービスの費用が増加していることから、自治体や介護事業者にとっては財政負担の増加も懸念される。介護保険制度の持続可能性を考える上で、今後、費用対効果の高い介護サービスの提供や、ICT(情報通信技術)を活用した業務効率化が求められるだろう。例えば、介護ロボットやAI(人工知能)を導入することで、介護業務の負担軽減を図る動きが加速している。これにより、介護スタッフの負担軽減が期待されるとともに、利用者の満足度向上にもつながる可能性がある。

このように、令和6年9月の介護給付費等実態統計月報のデータからは、介護サービスの需要が引き続き拡大していること、費用額が増加傾向にあること、そして介護業界における人材確保の重要性が浮き彫りになった。今後、介護業界は高齢化の進展とともにさらなる変化を迎えることになるが、企業や自治体がどのように対応していくかが注目される。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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