2025年5月23日
労務・人事ニュース
令和7年5月 景気は、緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる。(5月月例経済報告)
- 薬剤師
最終更新: 2025年5月23日 04:11
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最終更新: 2025年5月22日 21:30
5月月例経済報告(内閣府)
令和7年5月に発表された月例経済報告によると、日本経済は全体として緩やかな回復基調を保っているものの、外部環境の不確実性がその進展に影を落としていることが明らかとなった。特に、米国の通商政策を巡る動向は、企業活動や家計のマインドに直接的な影響を及ぼすリスク要因として浮上しており、企業の経営判断や人材戦略にも今後影響を及ぼす可能性が高い。
まず注目すべきは、2025年1〜3月期の実質GDP成長率が前期比0.2%減(年率換算で0.7%減)と4四半期ぶりにマイナス成長へ転じた点である。一方で、名目GDPは前期比0.8%増と6四半期連続のプラス成長を維持している。これらの数字は、経済の実態としては内需や在庫投資の伸びが限定的であり、同時に外需の減退が経済活動を下押ししている状況を示している。
企業活動においても、設備投資は持ち直し傾向にあるものの、その背景には省力化対応や業績の底堅さといった一時的要因があることが見て取れる。2024年10〜12月期の設備投資は前期比0.6%増、うち製造業は0.7%増、非製造業は0.5%増となっており、全体としての投資姿勢には一定の前向きさが見られる。しかし、先行きについては米国の関税引き上げによるサプライチェーンへの波及や建築工事費の弱含みといったリスク要素も残されており、慎重な動向が求められる。
雇用情勢に目を向けると、改善の兆しが続いている。完全失業率は3月時点で2.5%とわずかに上昇したものの、就業率の緩やかな上昇や実質総雇用者所得の回復傾向が続いており、特に正社員の求人は小幅ながら増加している。企業の人手不足感も高水準で推移しており、日銀短観の雇用人員判断DIは全産業で−37、非製造業では−46と、慢性的な労働力不足を背景に、人材確保が引き続き経営課題として重視されている。
一方で、個人消費については雇用・所得環境の改善が継続している中でも、消費者マインドの弱含みが依然として回復の重しとなっている。実質総雇用者所得の改善はあるものの、「消費動向指数(CTI)」によると、世帯消費は前月比0.8%減、小売業販売額も1.2%減と、一部で消費の鈍化が確認された。これには、物価上昇が家計に与える負担や、消費行動の慎重化といった要因が影響していると見られる。
企業収益に関しては、全体としては改善基調が続いている。2025年1〜3月期の上場企業の決算において、非製造業の経常利益は前年比で増益を記録し、製造業は減益となったものの、売上高全体では上期で前年比0.9%、下期で0.8%の増加が見込まれている。企業の業況判断についても、日銀短観では「全規模全産業」で横ばいと、極端な悪化は避けられているが、「景気ウォッチャー調査」では現状と先行きの両方でやや慎重な姿勢が見られた。
物価動向では、消費者物価が全体として上昇を続けており、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の前年比上昇率は2.7〜2.9%と高水準を保っている。また、物価上昇を予想する世帯の割合も依然として高く、5%以上の上昇を予想する層が全体の60%を超えている。このような環境下では、賃上げが継続されるか否かが家計消費の回復に大きな影響を与えると考えられる。
金融市場の動向については、日経平均株価が34,200円台から37,500円台へと上昇し、企業や投資家の期待が一定程度反映されていることが示されている。円相場は一時147円台まで円安が進んだ後、145円台までやや円高に振れた。金利面では、長期金利が1.2%台から1.5%台に上昇しており、今後の資金調達コストにも影響が出る可能性がある。
こうした経済全体の流れの中で、企業の採用担当者にとっては、雇用の安定と質の高い人材の確保がいっそう重要となってくる。人手不足の深刻化、賃金上昇圧力、働き方改革の推進といったトピックが複合的に影響する現在、どのように採用戦略を練り、企業の持続的成長に貢献する人材を惹きつけるかが問われている。特に、今後の設備投資やIT関連への投資増加に備えた専門人材の獲得や、地域・職種間でのミスマッチ解消が鍵を握るだろう。
以上のように、日本経済は外的要因によるリスクを孕みつつも、回復への道を模索する段階にある。企業における人材戦略の構築は、こうした経済の動きと密接に関係しており、今後のマクロ環境を正確に捉えた上での判断が求められる。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ