2025年4月16日
労務・人事ニュース
令和6年度11月の医療費は4.0兆円、高齢者医療の比率40%超で人材需要が加速
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最終更新: 2025年4月30日 22:32
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最近の医療費の動向-MEDIAS- 令和6年度11月 最近の医療費の動向[概算医療費](厚労省)
令和6年度11月までの医療費に関する最新の動向が厚生労働省より発表され、日本の医療財政における実態と変化の兆しが明らかとなった。医療費は年々微増を続けており、高齢化の進行や受診機会の多様化といった社会的背景と密接に関連している。今回公表された統計によると、令和6年度11月単月の概算医療費は4.0兆円に達し、前年同月と比較して1.8%の増加となった。また、令和6年度4月から11月までの累計医療費は31.8兆円に上り、前年同期比で1.3%増加している。このような増加傾向は、過去数年間と比較しても穏やかながら確実な上昇であり、医療提供体制の持続可能性と財源確保に対する新たな課題を浮き彫りにしている。
特に注目されるのは、「一日当たりの医療費」の伸びである。令和6年11月の一日当たり医療費は前年同月比で0.5%増加しており、4月から11月の累計でも0.8%の増加が確認された。これは、医療機関における診療単価の安定性を示す一方で、受診件数や治療内容が大きく変動していないことを意味している。つまり、医療費の増加は受診数の増加による側面が強く、診療内容自体の大幅な変化や高額化が主因ではないという見方ができる。
実際に「受診延べ日数」のデータからも、同様の傾向が読み取れる。11月の受診延べ日数は前年同月比で1.3%の増加、4月から11月の期間でも0.5%増にとどまっており、外来患者や入院患者の数が緩やかに増加していることを裏付けている。これは特に高齢者を中心とした定期的な医療利用が増えていること、ならびに地域医療や在宅診療の活用が進んでいる可能性を示唆している。
診療種類別に見ると、医科入院に関する医療費は前年同月比で3.2%増加しており、入院需要の高まりや治療内容の多様化が背景にあると考えられる。一方で、医科の外来診療については1.2%減少しており、ここ数年の傾向と一致して外来の抑制やセルフメディケーションの推進が一定の成果を上げていることがうかがえる。歯科診療に関しては5.4%の増加となっており、予防歯科の意識向上や高齢者の口腔ケアへの取り組みが進展している可能性がある。また、調剤部門も2.1%の伸びを見せており、処方薬の適正使用と新薬導入の影響が反映されていると推察される。
このような傾向は、企業の採用活動にも大きく関わる。とりわけ医療業界や製薬業界では、需要の高まりに対応するための人材確保が急務となっている。特に入院医療や歯科診療、調剤業務における専門職の採用ニーズは顕著であり、経験者はもちろん、育成を前提としたポテンシャル採用にも積極的な姿勢が求められる。また、医療の効率化やICT化が進む中で、データ分析や業務効率の改善に携わる職種も注目を集めており、これまで医療とは縁遠かった業種からの転職者にも門戸が開かれている。
加えて、令和6年度の制度別概算医療費を見ると、75歳以上の高齢者に係る医療費が12.9兆円と全体の約40%を占めており、今後の人口動態を踏まえればこの割合はさらに高まることが予想される。このことからも、高齢者医療に対応できる介護職、看護師、在宅医療スタッフといった職種に対する需要はますます拡大していくであろう。また、受診延べ日数の増加に伴い、医療現場のマンパワー不足がより顕在化することも懸念されている。
一方で、1人当たり医療費の伸びは比較的抑制されている。4月から11月の期間では対前年同期比で1.8%の増加にとどまり、費用対効果を意識した医療提供の現状がうかがえる。これにより、医療費全体の持続可能性を確保しながらも、必要な医療を必要な人に適切に提供する体制が一定程度機能していると言えるだろう。しかしながら、地方と都市部での医療資源の偏在、医療従事者の地域間格差といった構造的課題は依然として残されており、政府や自治体、そして医療機関による協働が不可欠である。
このような医療費の動向を受けて、今後企業の人材戦略はますます重要性を増していく。特に医療・福祉業界では、求職者に対する職場環境の見える化や、キャリア形成支援の取り組みが採用活動の成否を左右する。また、データ分析や医療事務のIT化を推進できる人材を確保することで、限られた資源を効率的に運用できる組織づくりが求められる。
令和6年度の医療費動向からは、単なる支出の増減だけでなく、医療の質、利用者の行動変化、制度設計のあり方など多角的な要素が複雑に絡み合っていることが明らかとなった。今後も定期的な統計データを踏まえた人材戦略と制度設計が、持続可能な医療社会の実現に向けた鍵となることは間違いない。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ