2025年4月20日
労務・人事ニュース
令和7年2月の奈良県で有効求人倍率1.16倍を記録、雇用市場の需要と供給の最新動向を読み解く
- 機械オペレーション/梱包/ライン作業 格安食堂完備 半導体の製造·検査 年休137日 社宅費全額補助
最終更新: 2025年5月1日 09:34
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最終更新: 2025年5月1日 11:34
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最終更新: 2025年5月1日 09:34
建設業の新規求人が前年比28.2%減、奈良県令和7年2月の統計から考察する建設業界の課題
令和7年2月分の奈良県における一般職業紹介状況に関する報告では、労働市場に関する複数の指標が明らかになっており、地域の雇用動向を把握するうえで極めて重要なデータが示されています。奈良県の有効求人倍率は季節調整値で1.16倍となり、前月から0.04ポイントの低下が見られました。この値は、全国平均の1.20倍および近畿地域全体の1.14倍と比較してもやや低下傾向にあるものの、求人が求職者数を依然として上回っている状況に変わりはありません。
具体的には、奈良県における有効求人数は20,597人で、前月と比べて763人減少し、3.6%の減少率を記録しました。一方で、有効求職者数は17,750人であり、こちらも前月に比べて72人の減少となり、0.4%のマイナスでした。これにより、求人倍率が前月よりもやや下がる結果となりました。求人数と求職者数がともに減少したことで、需給のバランスに微妙な変化が生じていることがうかがえます。
また、新規求人倍率については2.02倍となり、前月より0.06ポイント低下しました。これは、新規求人数が7,366人で前月より328人減少したこと(4.3%減)、新規求職者数が3,640人で60人減少したこと(1.6%減)に起因しています。このように、新たな雇用機会の創出が鈍化している一方で、求職者の減少も進んでおり、双方の減少が新規求人倍率の微減として現れています。
産業別の新規求人状況を見てみると、もっとも多くの求人があったのは医療・福祉分野で2,613人、次いで製造業が945人、運輸業・郵便業が920人と続きます。前年同月比で最も大きな増加が見られたのは宿泊業・飲食サービス業で、13.3%増の468人でした。一方、建設業は334人で前年同月比28.2%減、公務(他に分類されるものを除く)・その他は577人で35.5%減と、大幅な求人減少が確認されています。これらの動向から、労働市場における職種ごとの求人の偏在や、経済環境の影響が各産業に与える差異が浮き彫りとなっています。
求職者の属性にも変化が見られました。新規求職者のうち、離職者は2,145人で前年同月比8.7%の減少、在職者は1,190人で12.4%の減少となっています。離職者の内訳を見ると、自己都合離職者は1,475人で10.1%の減少、事業主都合離職者は443人で6.9%の減少でした。このように、求職活動における離職の背景にも変化が見られ、経済の回復傾向や雇用の安定性が反映されていると考えられます。
また、就業地別の有効求人倍率は1.34倍で、こちらも前月から0.04ポイント低下しています。地域別に見ると、奈良県の新規求人倍率は2.02倍と依然として高水準にあり、全国平均の2.22倍および近畿地域の2.08倍と比較しても、やや低めながらも堅調な推移を示しています。業種別にみれば、宿泊・飲食、製造、運輸業などが比較的活発に求人を行っている一方で、建設や公務などの分野で求人数が縮小していることから、求職者がどの業種に志望を定めるかによって就職のしやすさに差が生じる状況が続いているといえるでしょう。
奈良県の雇用情勢全体としては、求人が求職者数を引き続き上回る状態にあり、全体としては持ち直しの兆しがあると判断されています。ただし、物価上昇やエネルギー価格の不安定さなど、マクロ経済的な要因が今後の雇用に与える影響については十分な注視が必要です。労働市場の変化に応じた柔軟な対応と、職業訓練やキャリア形成支援の充実が、引き続き求められる政策課題となっています。
今後も、奈良県における労働市場の動向を的確に捉えるためには、求人数や求人倍率の変化に加え、産業構造の変化や求職者の意識の移り変わりを定期的に観測することが重要です。事業者にとっては、これらのデータをもとに人材確保の戦略を見直すとともに、求職者にとって魅力的な労働環境の整備が欠かせません。特に、求職者の関心が高い分野である医療・福祉や、景気の回復に連動する宿泊・飲食サービス業などにおいては、今後もさらなる人材需要が見込まれると考えられます。企業は労働市場のデータを的確に把握し、自社の採用活動に活かす姿勢が求められています。
⇒ 詳しくは奈良労働局のWEBサイトへ