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2025年4月19日

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令和7年2月の岩手県有効求人倍率は1.18倍、求人数減少でも新規求人倍率は1.89倍に上昇

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岩手県内の一般職業紹介状況(令和7年2月分)について(岩手労働局)

令和7年2月における岩手県の一般職業紹介状況が明らかになりました。発表内容によると、県内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は1.18倍となり、前月と同水準であることが確認されました。この数字は、全国平均の1.24倍および東北平均の1.21倍をやや下回るものの、求人数が求職者数を上回る構図が引き続き維持されていることを意味しています。しかし、景気の回復感にはやや陰りが見られ、物価高騰など外部要因による影響も加味した慎重な対応が求められているのが現状です。

新規求人数は8,593人で、前月比345人減少、率にして3.9%のマイナスでした。また、前年同月と比較しても988人、10.3%の減少となり、労働市場における採用意欲がやや弱まっていることがうかがえます。新規求職者数も同様に4,549人となり、前月から335人、6.9%の減少、前年同月比では623人、12.0%の減少となっています。求職者の動きも鈍化しており、労働市場全体の活性度は低下している印象を受けます。

特筆すべきは新規求人倍率で、これは1.89倍となり、4か月連続で前月を上回る結果となっています。前月比では0.06ポイントの上昇となっており、求人企業数に対する新規求職者数の比率が高まっていることから、一部の業種・職種では人材不足がより深刻化している可能性が考えられます。

産業別にみると、建設業では前月比で79人(8.6%)の減少、製造業では148人(13.4%)の減少が見られました。特に製造業においては、食料品製造業が18.2%減、家具・装備品製造業では91.7%の大幅減と、各業種の採用計画に急ブレーキがかかっていることが分かります。一方で、情報通信業は前月比で38人増(55.9%増)と大幅に伸びており、デジタル分野での人材需要が急増している兆しを見せています。

地域別の求人倍率を見ると、北上市が1.51倍で県内トップ、続いて花巻市が1.42倍、水沢市が1.22倍などとなっています。一方、久慈市は0.80倍、宮古市は0.95倍と1.0を下回る地域もあり、地域間格差が引き続き存在している状況です。特に沿岸部の有効求人倍率は0.97倍と、内陸部の1.28倍を大きく下回っており、復興需要が落ち着きを見せる中で雇用環境に課題を抱えていることが推測されます。

正社員に関しては、有効求人倍率が0.93倍と1.0を下回っている一方で、前年同月比では0.07ポイント上昇しています。正社員新規求人における構成比は39.1%と、全体の4割近くを占めており、正規雇用への期待が高まっていることが示唆されます。ただし、新規就職件数に占める正社員の割合は33.8%にとどまり、求人と就職のミスマッチが依然として課題であることが浮き彫りとなっています。

産業別の正社員求人に占める割合では、医療・福祉分野が最も多く、1,876件中1,212件(64.6%)が正社員求人でした。製造業では960件中781件(81.3%)が正社員求人と高水準を維持していますが、情報通信業では106件中101件(95.3%)が正社員と非常に高い比率となっており、これらの分野では安定した雇用を求める人材にとって有利な環境といえるでしょう。

求職者側の動向としては、有効求職者数が20,276人、前月比387人(1.9%)減少、前年同月比では1,339人(6.2%)の減少となっており、求職者の数が縮小していることが分かります。就職件数も前年同月比で22.4%の減少と大きく落ち込んでおり、求職者が希望する職場を見つけるのに時間がかかっている現状が見受けられます。

総じて、岩手県における2025年2月時点での雇用情勢は、表面上は求人数が求職者数を上回る「売り手市場」を維持しているものの、実態としては業種・地域による格差、正規・非正規のミスマッチなど、複数の課題が同時進行で存在しています。採用担当者にとっては、地域性を加味した柔軟な雇用戦略が求められるとともに、自社が属する産業の求人動向を正確に把握することが重要です。また、求人条件の見直しや採用チャネルの多様化、リスキリングや定着支援など、多面的な対応が不可欠となるでしょう。

⇒ 詳しくは岩手労働局のWEBサイトへ

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