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2025年4月21日

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令和7年2月高知県の有効求人倍率は1.12倍、求職者増加で9か月ぶりに減少

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高知県の運輸業・金融業で求人増加、2025年2月は雇用環境に業種差が顕在化

高知県における令和7年2月の雇用失業情勢は、統計データから慎重に読み取るべき特徴が多数見受けられます。全体としては、求人と求職のバランスにやや変化が見られる月となっており、雇用環境における現状と今後の課題の両方を浮き彫りにしています。有効求人倍率(季節調整値)は1.12倍で、前月と比べて0.01ポイント低下し、これは9か月ぶりの減少という結果となりました。これは一見すると小さな変動に思えるかもしれませんが、統計上は重要な意味を持っており、需要と供給のバランスに変化が生じていることを示しています。

求人数については、同月の有効求人数(季調値)は14,395人で、前月から80人増加し0.6%の上昇を示しています。一方、有効求職者数は12,834人で、前月に比べ183人増加し1.4%の上昇となりました。求人数と求職者数が共に増加した中で、有効求人倍率が微減していることは、求職者の増加ペースの方がやや上回ったことを示しています。

また、新規求人倍率についても注目すべき動向が見られます。同月の新規求人倍率(季調値)は1.81倍で、前月比で0.14ポイントの低下となりました。新規求人数は5,207人で、130人(2.4%)の減少。一方で新規求職者数は2,869人と、前月より135人(4.9%)増加しており、こちらも3か月連続の増加傾向が続いています。これらの数値から読み取れるのは、企業の採用意欲が一部で鈍化している一方で、仕事を求める人の数は確実に増加しているという状況です。

さらに、正社員有効求人倍率(原数値)も分析すると、0.89倍となっており、前年同月から0.09ポイント上昇し、8か月連続の増加となっています。これは、正社員を求める求人の増加が続いている一方で、それに見合った求職者数が不足している可能性を示しています。この傾向は、企業にとって正社員の確保が一段と難しくなっていることを意味し、採用戦略の見直しが求められる場面も増えてきていると考えられます。

新規求人数(原数値)は6,075人で、前年同月に比べ400人(6.2%)の減少と、2か月ぶりの減少となりました。産業別では、運輸業・郵便業が前年同月比で71人(60.7%)の増加、金融業・保険業が34人(51.5%)の増加、教育・学習支援業が71人(16.3%)の増加といったように、限られた業種で求人が伸びています。一方で、卸売業・小売業では155人(15.2%)の減少、学術研究・専門・技術サービス業では58人(33.3%)の減少、公務・その他では145人(14.0%)の減少と、求人の減少が多くの業種で広がっている状況も顕著です。

新規求職者数(原数値)は3,250人で、前年同月比で43人(1.3%)の増加となっており、こちらは7か月ぶりの増加です。この増加は、求職活動に乗り出す人の意欲が高まっていることの表れであり、企業にとってはより多くの人材と出会う機会が増える一方で、採用の競争が激しくなることを意味しています。

一方、就職件数は911件で、前年同月より23件(2.5%)減少しました。これは3か月ぶりの減少であり、就職率も28.0%と、前年同月より1.1ポイント低下しています。求職活動の活発化が進んでいるにもかかわらず、就職に至らないケースが増えている点は、ミスマッチの存在や企業側の採用ハードルの高さを反映している可能性があります。

雇用保険の状況にも注目すべきポイントがあります。被保険者数は189,146人で、前年同月比で2,483人(1.3%)減少し、これで63か月連続の減少となりました。これは長期的な雇用減少傾向が続いていることを示し、地域全体の雇用構造の変化が進行している可能性があることを示唆します。

安定所別の有効求人倍率を見ると、高知所が1.43倍、須崎所が1.19倍で前年同月を上回りましたが、四万十所は0.84倍、安芸所は1.04倍、いの所は0.74倍と、それぞれ前年同月を下回っており、地域間での雇用情勢の差が浮き彫りになっています。地域ごとに対策の方向性や必要な支援策を見直す必要があり、特に倍率が1倍を下回る地域では、より積極的な雇用創出策が求められるでしょう。

就業地別の統計でも、有効求人倍率は1.18倍で、2か月連続で前月と同水準を維持しました。新規求人倍率は1.88倍と、前月比で0.17ポイント減少し、こちらも採用の勢いに一部で陰りが見られます。

こうした多角的なデータを踏まえると、高知県の雇用市場は一見安定しているようでありながら、実際には産業構造や地域差、正社員・非正規の需給バランスなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っていることがわかります。企業の採用担当者にとっては、単なる倍率の上下だけではなく、産業別の動向や地域差、求職者の属性といった情報も加味した上で、より柔軟かつ戦略的な人材採用が求められる時代であると言えるでしょう。

⇒ 詳しくは高知労働局のWEBサイトへ

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