2025年5月11日
労務・人事ニュース
令和7年3月の就業者数6770万人、32か月連続増加に見る人材市場の今
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労働力調査(基本集計) 2025年(令和7年)3月分結果(総務省)
総務省統計局が令和7年5月2日に公表した「労働力調査(基本集計)2025年3月分結果」によれば、日本の就業状況は着実な回復基調を示しています。今回の発表では、就業者数が6770万人に達し、前年同月と比較して44万人増加したことが報告されました。この増加は32か月連続であり、長期的にみても安定した雇用拡大が続いていることがわかります。
さらに、雇用者数は6138万人に達し、前年同月比で58万人の増加を記録しました。雇用者の内訳をみると、正規の職員・従業員数は3642万人で40万人の増加、非正規の職員・従業員数は2151万人で20万人の増加となっています。特に正規雇用の増加は17か月連続となっており、安定的な雇用環境の拡充が進んでいることがうかがえます。これは、企業が将来の成長に向けて中長期的な人材確保を重視している傾向を反映しているものと考えられます。
就業率についても改善が見られました。15歳以上人口に占める就業者の割合である就業率は61.7%となり、前年同月比で0.5ポイント上昇しました。特に15歳から64歳までの労働適齢期層における就業率は79.1%に達し、こちらも前年同月比で0.4ポイント上昇しています。男性の就業率は84.2%、女性の就業率は74.0%となっており、女性の就業率の上昇幅が男性を上回っています。これは、女性活躍推進政策や柔軟な働き方の浸透が背景にあると見られます。
一方で、完全失業者数は180万人となり、前年同月比で5万人減少しました。減少は2か月連続となり、失業状況も改善傾向にあります。完全失業率は2.5%で、前月に比べて0.1ポイント上昇しましたが、依然として低水準を維持しており、雇用市場全体としては底堅さが見られます。特に求職理由別に見ると、「勤め先や事業の都合による離職」が3万人減少し、「自発的な離職(自己都合)」も1万人減少、「新たに求職」も4万人減少しており、離職による失業よりも就業維持や安定志向が強まっている様子が読み取れます。
産業別にみると、就業者数が増加した主な分野には「教育・学習支援業」「サービス業(他に分類されないもの)」「不動産業・物品賃貸業」が挙げられます。特に不動産業・物品賃貸業においては、前年同月比で13万人増加しており、活発な動きが目立ちます。一方、製造業や建設業、情報通信業などでは減少が見られました。これは、各産業の景気循環や業態変化、さらには人口動態の影響を受けていると推測されます。
また、非労働力人口は4019万人となり、前年同月に比べ62万人の減少となりました。非労働力人口の減少は37か月連続であり、多くの人々が労働市場に再参加している傾向が続いています。この背景には、経済活動の正常化と、労働市場の多様化に対応した働き方改革の進展が影響していると考えられます。
季節調整値でみた場合、就業者数は6808万人で前月に比べ8万人の減少、雇用者数も6161万人で15万人減少しました。ただし、完全失業者数は173万人で前月比5万人増加し、完全失業率も2.5%に0.1ポイント上昇しています。特に男性の完全失業率は2.7%となり、前月から0.2ポイント上昇した一方で、女性の完全失業率は2.2%で前月比0.1ポイント低下しました。このような動きから、性別や年齢層ごとに労働市場の動向に差が生じていることがうかがえます。
労働市場の状況を俯瞰すると、引き続き堅調な回復基調にあるものの、産業間や地域間、男女間の格差が存在している点には注意が必要です。企業にとっては、ターゲット人材を明確に設定し、多様な働き方に対応できる環境整備が今後さらに求められるでしょう。特に採用戦略においては、正規・非正規雇用のバランス、女性や高齢者の活躍促進、中小企業の魅力発信など、多角的な取り組みが重要になります。
⇒ 詳しくは総務省統計局のWEBサイトへ