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2025年5月11日

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令和7年3月北海道の有効求人倍率0.97倍、厳しい市場環境下で企業が取るべき採用戦略

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令和7年3月の雇用失業情勢について(北海道労働局)

令和7年3月の北海道における雇用情勢が厚生労働省北海道労働局から発表されました。今回の統計によると、道内の有効求人倍率は0.97倍となり、前年同月の0.99倍を0.02ポイント下回る結果となりました。これは持ち直し基調に一部弱さが見られることを示しており、今後の採用活動においても慎重な判断が求められる状況です。

まず求人の動向を詳しく見ていくと、新規求人数は29,336人で前年同月比2.4%の減少となりました。これで25か月連続で前年同月を下回る結果となり、特に建設業、製造業、医療・福祉業などの主要産業において求人減少が続いています。月間有効求人数も80,538人で前年同月比5.2%減少し、こちらも24か月連続で前年同月を下回りました。特に医療・福祉分野では前年同月比7.6%減と大きな落ち込みを見せており、介護や医療関連職種における人材不足が懸念されます。

一方で、情報通信業や運輸業・郵便業、宿泊業・飲食サービス業などでは前年同月比で求人が増加しており、情報通信業では前年同月比18.7%増、運輸業・郵便業では14.6%増、宿泊業・飲食サービス業では4.6%増となりました。特に旅客運送業では35.7%増加しており、観光需要の回復が求人市場にも影響を与えていることがわかります。

正社員の有効求人倍率は0.83倍であり、前年同月の0.80倍から0.03ポイント上昇しました。正社員求人の新規求人数は14,971人であり、全新規求人に占める割合は51.0%となっています。これは前年より1.2ポイント増加しており、企業側が正社員採用を重視する傾向を強めていることを裏付けています。

求職者の動きについて見ると、新規求職申込件数は16,454件で前年同月比6.0%減少しました。これにより8か月連続で前年同月を下回ることとなり、労働市場における新規参入者数が減少していることが示されています。月間有効求職者数は83,094人で前年同月比3.2%減少しましたが、依然として求職者数は有効求人数を上回っており、企業にとっては人材確保が容易ではない環境が続いています。

地域別の状況を見ると、最も有効求人倍率が高かったのは浦河地区で1.81倍、根室地区が1.67倍、岩内地区が1.61倍、稚内地区が1.60倍と続きました。一方で、札幌市内やその周辺では有効求人倍率が0.74倍から0.94倍と、1倍を下回る地域も多く見られました。特に札幌東地区では0.74倍と、求職者数が求人件数を大きく上回っており、都市部特有の求人難が顕著になっています。

産業別の動向に目を向けると、建設業では総合工事業が前年比2.2%増加した一方で、職別工事業や設備工事業ではそれぞれ16.8%減、5.5%減と大きく減少しました。製造業では食料品製造業が2.4%減、金属製品製造業が9.3%減となり、13か月連続で前年同月を下回る状況が続いています。医療・福祉分野では13か月連続の減少であり、特に医療業が10.7%減、社会保険・社会福祉・介護事業が5.4%減となりました。

また、職種別の求人状況を見ると、建築・土木・測量技術者では有効求人倍率6.31倍と非常に高く、引き続き人材確保が困難な状況が続いています。看護師、保健師等では1.50倍、医療技術者、栄養士等では1.81倍、保育士、福祉相談員等では2.14倍と、いずれも高い倍率を維持しています。一方で一般事務員の有効求人倍率は0.39倍と低迷しており、求人数に対して求職者数が多い厳しい競争環境にあることがわかります。

このようなデータから見ても、北海道の雇用情勢は全体として安定はしているものの、業種や地域によっては依然として厳しい状況が続いています。特に都市部では求職者数が求人件数を上回る傾向が続いており、企業にとっては効果的な求人施策を講じることが求められます。一方、地方部においては求人倍率が高く、求職者獲得競争が激化しているため、給与条件や福利厚生面での差別化が一層重要となってくるでしょう。

これからの北海道における採用活動では、地域ごとの雇用情勢を踏まえた上で、柔軟かつ戦略的な人材確保策が不可欠です。企業は労働市場の細かな動向に注目し、積極的に魅力ある職場環境を整備するとともに、デジタルツールを活用した採用活動の強化が急務となっています。

⇒ 詳しくは北海道労働局のWEBサイトへ

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