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2025年5月14日

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令和7年3月和歌山県の有効求人倍率1.12倍、医療・福祉分野採用成功のために必要な対応策

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一般職業紹介状況(令和7年3月分)(和歌山労働局)

和歌山労働局が令和7年5月に発表した令和7年3月分の一般職業紹介状況によると、県内における有効求人倍率(季節調整値)は1.12倍となり、前月から0.01ポイント上昇しました。この数字は、全国平均の1.26倍および近畿地方平均の1.16倍を下回るものの、和歌山県内では着実に雇用情勢が持ち直していることを示しています。なお、有効求人倍率が上昇した背景には、求職者数が減少する一方で求人が高い水準を維持していることがあり、企業の採用意欲が依然として旺盛であることが伺えます。

有効求人数は16,274人で、前月比で0.1%減少しましたが、有効求職者数は14,492人で前月比1.3%減少しており、求人数・求職者数ともにわずかに減少した結果、有効求人倍率が上昇する形となりました。新規求人倍率(季節調整値)は2.03倍で、前月から0.11ポイント上昇しており、新規求人件数も5,774件と前月比4.3%の増加を示しました。新規求職申込件数は2,845件で、こちらは前月比1.4%減少しており、求職活動の動きがやや落ち着いた様子が見られます。

産業別に新規求人の動向を見ると、医療・福祉分野の求人が前年同月比で3.5%増加し、引き続き高い人手需要が続いています。建設業では13.0%の大幅増加を記録し、インフラ整備や都市開発需要に伴う求人拡大が背景にあると考えられます。教育・学習支援業も前年同月比22.0%の増加と著しい伸びを見せ、学習塾や子ども向け教育サービスの拡大が影響しているものとみられます。一方で、卸売業・小売業は前年同月比12.0%減、複合サービス事業では同39.1%減、公務・その他サービスでは25.3%減少しており、業種ごとに求人意欲に大きな差が出てきているのが現状です。

正社員に関しては、有効求人倍率(原数値)が0.92倍となり、前年同月比で0.06ポイント上昇しました。正社員の有効求人数は7,413人で前年同月比2.4%増加、有効求職者数は8,054人で3.9%減少しており、正社員採用市場では引き続き売り手市場の傾向が強まっています。このため、企業側にとっては正社員人材の確保が一層難しくなっており、採用戦略の見直しが急務となっています。

就業地別有効求人倍率は1.24倍となり、受理地別の1.12倍を上回る水準です。実際に勤務する場所を基準とした場合には、さらに高い水準の求人倍率が維持されていることから、和歌山県内でも地域による求人需給の差が拡大していることがわかります。特に建設業や医療・福祉分野では、県内各地域で人材確保のための競争が激化しており、企業側には迅速かつ的確な対応が求められる状況となっています。

また、雇用保険の受給状況をみると、基本手当の受給者数は1,276人で前年同月比で減少しており、受給率も0.89%に低下しています。これらのデータからも、失業者数が抑制されており、総じて雇用市場が安定して推移していることが伺えます。もっとも、景気減速懸念や物価上昇の影響を受け、今後の雇用環境に不確実性が増す可能性もあるため、引き続き警戒が必要です。

和歌山県における新規求人全体に占める医療・福祉分野の割合は28.7%と、引き続き最大のシェアを占めています。次いで製造業が12.4%、卸売業・小売業が11.3%、宿泊業・飲食サービス業が9.2%を占めています。これらのデータからも、和歌山県内での人材需要は医療・福祉、製造、流通、小売、観光業といった産業に集中していることが明らかです。企業の採用担当者にとっては、これら重点分野への対応を強化し、他社との差別化を図ることが今後の採用活動において重要な課題となります。

今後の見通しとしては、特に建設、医療・福祉、教育といった分野では引き続き求人ニーズが高い一方で、卸売・小売、複合サービス事業、公務分野では人員縮小傾向が続くと見込まれます。企業にとっては、採用戦略をより業種別、地域別に細分化し、必要な人材像を明確にした上で効率的な採用活動を展開する必要が高まっています。また、多様な働き方への対応や、外国人労働者、シニア人材の活用など、採用ターゲットの幅を広げることも、労働力確保の重要な施策となるでしょう。

和歌山県における令和7年3月時点の労働市場は、全体としては安定基調を維持していますが、業種間や地域間での格差が広がりつつあるため、企業にとっては今後さらに戦略的な対応が求められます。単に求人を出すだけではなく、企業文化や職場環境の魅力を積極的に発信し、求職者とのマッチング精度を高める取り組みが不可欠となっています。特に採用広報の強化、リスキリング支援制度の導入、柔軟な勤務体制の整備などが今後の鍵となり、これらを実行することで競争優位性を築くことができるでしょう。

⇒ 詳しくは和歌山労働局のWEBサイトへ

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