2025年5月13日
労務・人事ニュース
令和7年3月奈良県の有効求人倍率1.16倍、採用戦略の見直しが必要な理由とは
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最終更新: 2025年5月12日 22:35
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奈良県の一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)について(奈良労働局)
令和7年3月に奈良労働局から発表された最新の一般職業紹介状況によると、奈良県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.16倍となり、前月と同水準を維持しました。全国平均の有効求人倍率は1.24倍であり、近畿地方平均は1.18倍であることから、奈良県は引き続き全国平均を下回るものの、近畿圏内では安定した位置を保っています。また、就業地別の有効求人倍率は1.34倍となり、こちらも前月と同水準で推移しています。求職活動に対する企業側の求人意欲は底堅く、全体的に求人が求職を上回る状況が続いていますが、物価上昇や経済動向に伴う影響については、今後も注意が必要とされています。
奈良県における3月の有効求人数(季節調整値)は20,503人で、前月比で0.5%減少しました。一方、有効求職者数は17,684人で前月比0.4%減と、求人求職双方で小幅な減少傾向が見られます。新規求人数は7,213人で前月比2.1%減、新規求職者数は3,730人で前月比2.5%増となり、新規求人倍率(季節調整値)は1.93倍と前月より0.09ポイント低下しました。これらのデータから、求人はやや減少傾向にあるものの、新規求職者数の増加により、労働市場の流動性が高まっていることが伺えます。
産業別に新規求人状況を見ると、医療・福祉分野が2,577人で前年同月比6.4%増加しており、引き続き高い需要があることが明らかです。建設業も362人で5.5%の増加を記録しました。運輸業・郵便業は385人で3.8%増と堅調に推移しています。一方、宿泊業・飲食サービス業は450人で前年同月比7.6%減少、製造業も775人で5.8%減と、観光関連および製造業における採用意欲の鈍化が見られました。特にサービス業(他に分類されないもの)や卸売業・小売業でも、それぞれ14.8%減、5.6%減と減少幅が目立っており、これらの業種では採用活動の抑制が続いています。
正社員に関するデータでは、正社員有効求人倍率(原数値)が1.01倍となり、前年同月比で0.10ポイント上昇しました。正社員新規求人数は3,038人で前年同月比2.9%増加しており、新規求人に占める正社員求人割合は43.8%となっています。職業別では、管理的職業や専門的・技術的職業で正社員求人倍率が高く、事務的職業では倍率が低い傾向が見られました。正社員求人倍率が1倍を超えたことは、求職者にとっては選択肢が広がりつつあることを示していますが、企業側にとっては優秀な人材の確保がますます難しくなる可能性があることを意味しています。
就職件数については、3月全体で1,367件となり、前年同月比で11.3%の減少となりました。このうち正社員就職件数は363件で、前年同月比15.6%減となり、特に正社員での就職における厳しさが浮き彫りになりました。一般フルタイム就職件数は598件、パートタイム就職件数は769件で、それぞれ前年同月比で9.1%減、12.9%減となっています。就職件数に占める正社員の割合は26.6%であり、前年同月から1.3ポイント減少しており、就職市場全体における正社員ポジションの獲得が難化している状況が見て取れます。
奈良県内の就業地別有効求人倍率は1.34倍で、受理地別の1.16倍を上回っており、実際の勤務場所を基準とした求人状況は、より活発であることが分かります。特に建設業や医療・福祉業界では、積極的な人材採用が続いており、今後もこの傾向が継続することが予想されます。一方で、宿泊業・飲食サービス業、製造業、卸売業・小売業などでは求人が減少しており、産業構造の変化が雇用に与える影響も見逃せません。
離職者の動向に関しては、事業主都合による離職者が471人、自己都合離職者が1,521人となり、それぞれ前年同月比で微減しました。新規求職者(常用)は1,132人で前年同月比1.7%増となり、在職者の転職意欲がやや高まっていることを示しています。景気の先行き不透明感から、より良い条件を求めて転職活動を行う労働者が増加していることが背景にあると考えられます。
今後の雇用情勢については、物価上昇や国際情勢の変化に伴う景気動向が大きな影響を与える可能性があり、注意が必要です。企業においては、採用活動を継続的に見直し、より柔軟かつ魅力的な労働条件の提示が求められる局面にあります。また、特定産業に依存しすぎない多様な人材活用や、リスキリング(職業スキルの再教育)支援なども、競争力強化のために不可欠となってきます。採用担当者にとって、今後は単なる求人活動にとどまらず、中長期的な人材育成戦略の重要性がますます高まると考えられます。
奈良県の雇用情勢は、全体としては安定基調を維持しているものの、業種ごとのばらつきや正社員就職率の低下など、注意すべきポイントも少なくありません。特に若年層や中高年層、女性、外国人労働者など、さまざまな層へのアプローチを強化することで、多様な人材の活用を進めることが、今後の奈良県経済を支える鍵となるでしょう。企業にとっては、この局面をいかにチャンスと捉え、自社の魅力を高める施策を講じるかが問われるタイミングとなっています。
⇒ 詳しくは奈良労働局のWEBサイトへ