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2025年5月11日

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令和7年3月宮城県の有効求人倍率1.25倍、改善基調で企業が取るべき採用施策とは

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- 宮城県の一般職業紹介状況(令和7年3月分)について -(宮城労働局)

令和7年5月2日に宮城労働局より発表された「一般職業紹介状況」によると、宮城県における令和7年3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.25倍となり、前月を0.05ポイント上回りました。この数字は、求職者数に対して求人件数が依然として多い状況を表しており、企業にとって人材確保がやや難しい状況が続いていることを示しています。有効求人数は44,358人で、前月比2.9%増加、有効求職者数は35,589人で、前月比1.2%減少しました。この動きにより、有効求人倍率の上昇に至ったことがわかります。一方、新規求人倍率は2.04倍で、前月から0.01ポイント下回りました。新規求人数は16,284人、前月比6.2%増、新規求職者数は7,980人、前月比6.8%増という結果になっており、新たな求職活動の動きが活発化していることも読み取れます。

令和6年度通期で見ても、宮城県の有効求人倍率は1.23倍で、前年度より0.11ポイント低下しました。これは、求人数が減少し、求職者数がわずかに増加したためと考えられます。有効求人数は44,912人で前年度比7.7%減、有効求職者数は36,412人で同0.5%増、新規求人倍率は2.00倍で、前年度から0.11ポイント下回りました。このような数値は、求人市場における企業側の慎重な姿勢や、求職者の選別眼の高まりを示しているといえるでしょう。

産業別に新規求人動向を見ると、製造業では前年同月比19.7%増、卸売業・小売業も11.0%増加し、公務・その他分野も25.5%の増加を示しました。これに対し、宿泊業・飲食サービス業では22.3%減、サービス業では5.0%減、情報通信業では27.5%減と、それぞれ大幅な減少が見られました。観光関連やサービス分野での求人減少は、物価上昇や消費マインドの変化が影響しているとみられ、特に宿泊・飲食業界においては人材確保の難しさが一段と厳しくなっている現状が浮き彫りとなっています。

求職者側の動向をみると、新規求職申込件数は前年同月比で1.7%増の8,324件となり、5か月ぶりの増加となりました。しかし常用フルタイム希望者は32人減少、事業主都合による離職者は20.9%増と、求職者の属性にも変化が見られます。有効求職者数全体は7か月連続で減少し、前年比で1.7%減少しました。こうした傾向は、求職活動そのものが慎重化していることや、既存の就労者が転職に慎重になっていることを示唆しています。

就職件数については、2,716件で前年同月比14.1%減少しました。これは2か月連続の減少であり、就職率も前年同月比6.0ポイント低下して32.6%に留まりました。新規求人数が増加しているにもかかわらず、就職件数が減少しているということは、求人側と求職者側との間にミスマッチが存在している可能性を示しています。企業が求めるスキルや条件と、求職者が希望する労働環境との間にズレが生じていることがうかがえ、今後の採用活動では求人内容の見直しや条件の柔軟化などが求められそうです。

正社員に限ったデータを見ると、正社員有効求人倍率は1.02倍と前年同月比で横ばいでした。新規正社員求人数は8,360人、前年同月比4.3%減、新規求職者数は5,422人、前年同月比0.6%減となりました。正社員希望者に対する求人の需要は安定している一方で、募集側が求める人材像と応募者側の希望条件のズレが影響している可能性も否めません。正社員求人の新規求人倍率は1.90倍と高水準を維持しており、特に専門的・技術的職業においては2.25倍という高倍率が見られました。

地域別の傾向としては、仙台市を中心に都市部での求人需要が高く、沿岸部や地方圏では有効求人倍率が1倍をやや上回る程度にとどまっています。この地域間格差を考慮した採用活動が重要であり、都市部における人材確保競争の激化と、地方部における採用難の二極化傾向は今後も続くと見られます。

このように、宮城県の労働市場は全体として求職者有利な環境にありつつも、業種間や地域間での格差が大きくなっている現状があります。企業側はこれらの状況を的確に把握し、必要な人材を確保するためには、求人情報の充実や職場環境の改善、リスキリング支援の強化など、多角的な施策が求められます。また、求人広告の表現方法や選考プロセスの見直しも有効な手段となるでしょう。今後も物価上昇や景気変動による影響が懸念されるため、より柔軟かつ機動的な人材戦略が欠かせない時代に突入しているといえます。

⇒ 詳しくは宮城労働局のWEBサイトへ

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