2025年5月11日
労務・人事ニュース
令和7年3月山口県の有効求人倍率1.47倍、採用競争激化の兆しを徹底分析
- 介護職員/2025年5月10日更新
最終更新: 2025年5月10日 14:03
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山口県の雇用情勢(令和7年3月分及び令和6年度分)について(山口労働局)
令和7年3月における山口県の雇用情勢について、詳細な分析が発表されました。今回の報告によると、山口県の有効求人倍率は1.47倍となり、前月から0.02ポイント上昇しました。この数値は、県内の求人が求職者数を上回っている状況が続いていることを示しており、これで31か月連続の持ち直し基調が維持されていることになります。背景には、産業界全体での人材不足感が根強く存在していること、また一部業種では景気回復を見越した積極的な採用活動が行われていることが挙げられます。
月間の有効求人数は前年同月比で1.8%の減少となり、28,314人から27,882人へとやや後退しました。一方で、月間有効求職者数は前年同月比で1.0%減少し、19,464人から18,924人となりました。この動きは、求人数・求職者数ともに減少しているものの、求人の減少幅が求職者数より小さいため、結果として有効求人倍率がわずかに上昇したことを意味します。なお、正社員を対象とした有効求人倍率は1.38倍であり、こちらも前年同月比で若干の上昇が見られ、正社員志向の高まりとそれに応じた企業の採用意欲が一定程度高まっていることがうかがえます。
新規求人数に関しては、前年同月比で2.2%減少しました。特に注目すべき点は、業種別における動向です。建設業では9.5%の増加、製造業では13.5%の増加が見られ、これらの分野での人材需要は引き続き堅調に推移していることが確認されました。一方、宿泊業・飲食サービス業では15.7%の減少、医療・福祉分野でも8.2%の減少がみられ、これらサービス業の分野では求人意欲が縮小傾向にあることが示唆されています。とくに医療・福祉分野の求人減少は、少子高齢化社会において重要な課題であり、今後の動向には一層の注意が必要です。
地域別に見ると、県内主要ハローワーク別での有効求人倍率には若干のばらつきが見られます。たとえば、宇部市では1.74倍、下関市では1.24倍、山口市では1.57倍となっており、都市部において比較的高い倍率が維持されています。逆に、萩市では1.00倍、柳井市では1.29倍にとどまっており、地域による雇用機会の差が依然として存在していることがわかります。こうした地域間格差は、企業にとっては採用戦略を考える上で重要なファクターとなります。
就職件数に目を向けると、3月の月間就職件数は4,158件となり、前年同月と比較して3.6%減少しました。就職率は前年同月比で0.7ポイント低下し42.2%となっています。この背景には、求職者側の就業意欲低下やミスマッチの存在、または求人内容の厳格化が影響している可能性が考えられます。企業側にとっては、求職者のニーズを的確に捉えた求人内容の工夫や、働き方の柔軟性を訴求することがより重要になってきています。
また、ハローワークインターネットサービスの機能拡充に伴い、オンライン登録者数やネット応募者数のデータが反映されるようになった影響も見逃せません。令和3年9月以降、来所を伴わない求職登録が可能となったことで、求職活動のスタイルは大きく変化し、特に若年層を中心にネット活用型の求職行動が広がりを見せています。企業側も、この変化を的確に捉えた採用広報や募集活動が求められます。
年度単位で見ると、令和6年度の山口県における平均有効求人倍率は1.45倍となり、前年度比で0.04ポイント低下しました。この数字は一見すると大きな変化には見えないものの、全国平均の1.26倍を依然として上回っており、全国的に見ても山口県は比較的人材需要が高い地域であると言えます。正社員有効求人倍率も1.37倍となり、こちらもわずかながら上昇しました。安定雇用志向の高まりに応じて、企業側でも正社員採用の強化が進んでいることがうかがえる結果です。
採用担当者にとって注目すべきは、産業別の新規求人動向です。前年同月比で求人が大きく増加したのは、建設業と製造業です。建設業では大型インフラ整備案件や災害復旧工事の影響で人手不足が深刻化しており、製造業では自動車関連、機械部品、電子機器分野を中心に生産拡大を見越した採用が活発化しています。逆に、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業といった業種では求人減少が続いており、業界ごとに異なる雇用環境の変化をしっかり把握する必要があります。
以上のように、山口県の令和7年3月時点の雇用情勢は、全体としては持ち直し傾向が続いているものの、業種や地域による差が大きく、慎重な見極めが求められる状況です。採用活動においては、求人市場の変動を的確に読み解き、自社に必要な人材を確保するための柔軟な戦略が重要となります。特に、求人倍率が高い地域での積極的な採用展開や、製造業・建設業分野での人材確保策、またオンラインを活用した広範囲な募集活動が今後の鍵を握るでしょう。
企業がよりよい人材を獲得するためには、単に求人を出すだけでは不十分です。求職者が求める働き方や条件を的確に捉えた求人設計、魅力的な職場環境のアピール、キャリアパスの提示、スキルアップ支援など、多面的な取り組みが不可欠です。特に若年層やミドル層の獲得を狙う場合、柔軟な勤務形態やリモートワーク制度、福利厚生の充実などが大きな差別化ポイントとなります。山口県内においても、これら新しいニーズに応えた採用施策を実施していくことが求められています。
最後に、今後の見通しについてですが、景気回復の持続性やインフレ動向、労働市場の需給バランスの変化など、さまざまな要因が雇用環境に影響を及ぼすと予想されます。特に物価上昇に伴う生活コストの増加が消費マインドに与える影響や、企業の設備投資動向には引き続き注意が必要です。採用活動を成功させるためには、こうした外部環境の変化にも敏感に対応し、常に最新の情報に基づいた迅速な施策展開を心がけることが求められるでしょう。
⇒ 詳しくは山口労働局のWEBサイトへ