2025年5月14日
労務・人事ニュース
令和7年3月島根県の有効求人倍率1.40倍、求職者減少の中で進む企業間競争
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島根の雇用情勢(令和7年3月分及び令和6年度分)(島根労働局)
令和7年3月に島根労働局が発表した最新の雇用情勢によれば、島根県の有効求人倍率(季節調整値)は1.40倍となり、前月の1.36倍を0.04ポイント上回る結果となりました。この有効求人倍率とは、求職者1人に対してどれだけの求人があるかを示す指標であり、1.00倍を上回るということは求人数の方が多い状況を意味しています。全国平均の1.26倍と比較しても、島根県は高い水準にあることがわかり、労働市場は比較的安定しているといえるでしょう。
この月の月間有効求人数は16,489人で、前月に比べ400人、率にして2.5%増加しました。一方で、月間有効求職者数は11,783人と、前月より18人、0.2%減少しています。求人数の増加と求職者数の微減が重なった結果、有効求人倍率が上昇したと考えられます。しかし、就職件数は1,304件であり、前年同月と比べて56件、4.1%減少しており、実際に職に就いた人数は減少傾向にあることも見逃せないポイントです。
島根県内の労働市場をさらに詳しく見ると、令和6年度平均の有効求人倍率(原数値)は1.42倍であり、前年度の1.52倍から0.10ポイント低下しました。このように、年度単位で見るとわずかながら改善の動きが弱まっていることが読み取れます。また、雇用保険被保険者数は197,101人で、前年同月比で2,111人、1.1%減少しており、労働人口そのものにも変化が見られます。
新規求人の動向に目を向けると、3月の新規求人数(原数値)は6,206人で、前年同月比では220人、3.4%減少しました。産業別で見ると、建設業が9.9%増、情報通信業が49.4%増、宿泊業・飲食サービス業が16.7%増と、特定の分野で求人が活発化している一方、製造業は13.9%減、運輸業・郵便業は22.0%減、医療・福祉分野でも6.2%減と求人意欲が低下した産業もありました。特に情報通信業においては、デジタル化の進展により求人が大きく伸びたと考えられます。
正社員に関しては、正社員有効求人倍率(原数値)が1.28倍となり、前年同月より0.02ポイント低下しました。正社員の有効求人数は8,674人で、有効求人数全体の50.5%を占めており、半数以上が正規雇用を前提とした求人であることがわかります。正社員希望者にとっては、選択肢が豊富である一方、企業側はより優れた人材獲得のために待遇改善や働きやすい環境整備が求められている状況です。
地域別に見ると、隠岐の島では有効求人倍率が1.93倍と非常に高く、出雲市では1.45倍、浜田市では1.36倍と地域ごとにばらつきが見られます。県央地域では1.25倍とやや低めであり、県東部、県西部ではそれぞれ1.40倍、1.43倍と県全体の平均を上回る水準にあります。このような地域差を踏まえ、企業は勤務地に応じた採用戦略の見直しが求められるでしょう。
求職者の動きとしては、3月の新規求職者数が2,594人となり、前年同月比で66人、2.5%減少しました。態様別でみると、在職者が3.5%増加している一方、離職者が4.8%減少、無業者も10.2%減少しています。特に無業者の減少は、コロナ禍を経て労働市場への復帰が進んでいることを示唆しているといえるでしょう。
また、就職率については50.3%となり、前年同月比で0.8ポイント低下しました。就職件数の減少に加えて、求人側と求職側とのミスマッチが背景にあると考えられ、企業側にはより柔軟な採用基準や魅力的な労働条件の提示が求められる局面です。
さらに、雇用調整助成金に関連する休業等計画受理件数は26件、対象労働者数は609人となっており、前年同月比でほぼ横ばいでした。人員整理に関しては、32事業所で実施され、前年同月比で18.5%増加しましたが、解雇者数は80人と前年より65.5%減少しており、企業側ができるだけ人員削減を回避しようとしている姿勢がうかがえます。
以上のデータから、島根県における令和7年3月時点の雇用市場は、全国平均を上回る安定感を示しつつも、産業別・地域別に大きな差が生じていることがわかります。採用を担当する企業にとっては、自社に必要な人材確保のために、単なる求人情報の掲載だけでなく、職場環境の魅力を打ち出す戦略的な取り組みが重要になります。特にデジタル化が進む業種、観光業が回復基調にある分野、安定志向が強まる正社員希望層をターゲットに、採用活動を強化することが、今後の競争力維持に直結するでしょう。
⇒ 詳しくは島根労働局のWEBサイトへ