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2025年5月12日

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令和7年3月東京都の有効求人倍率1.76倍、売り手市場を乗り切る採用戦略とは

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一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)(東京労働局)

令和7年5月2日に公表された東京労働局の資料によると、東京都における令和7年3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.76倍となり、前月比で0.02ポイント上昇しました。これにより、東京都の労働市場は引き続き堅調な動きを見せていることが明らかになりました。物価上昇などの外部要因には引き続き注意が必要とされながらも、雇用情勢は緩やかに持ち直しているとの総括が示されています。

有効求人数は362,779人で前年同月比0.9%増加し、6か月連続で前年を上回りました。有効求職者数は202,446人で前年同月比1.8%増加し、こちらは18か月連続で増加しています。この両者の増加によって、雇用の需給バランスが引き続き売り手市場に傾いていることがうかがえます。特に注目すべきは新規求人倍率で、季節調整値で3.75倍となり、前月から0.23ポイント上昇しました。これは新規求人数が123,144人(前年同月比3.0%増)となったことによるものであり、2か月ぶりに前年同月を上回った結果となっています。

産業別の新規求人動向をみると、情報通信業は前年同月比36.6%増と大幅な増加を示しました。続いて卸売業・小売業が16.2%増、宿泊業・飲食サービス業が8.7%増と続き、サービス業の堅調な需要拡大が確認できました。一方で、生活関連サービス業・娯楽業は13.5%減、製造業は4.4%減となり、特に製造分野での採用意欲に陰りが見られました。これらの動きから、業種によって採用ニーズに大きな差が生じていることがわかります。

求職者側の動きについては、新規求職者数が33,147人となり、前年同月比1.8%増加しました。内訳を見ると、在職者は0.9%減少しましたが、離職者は2.1%増加し、自己都合離職者に関しては3.1%増となっています。このデータから、転職希望者が徐々に増えていることが読み取れます。特に自己都合による離職が増加している背景には、働き方の多様化やキャリアアップ志向の高まりが影響していると考えられます。

就職件数は6,817件で前年同月比2.5%減少しました。一般職での就職件数は3,112件(前年同月比6.1%減)、パートタイムでは3,705件(前年同月比0.8%増)となり、一般職の就職が鈍化している一方で、パートタイムでは微増している点が特徴です。求人充足数についても9,938件で前年同月比2.7%減少しており、求人数に対する就職数の割合が低下していることから、企業と求職者との間でマッチングの難しさが続いている状況がうかがえます。

正社員に限ったデータを見ると、正社員有効求人倍率(原数値)は1.22倍で前年同月比0.04ポイント上昇しました。正社員の新規求人数も55,572人で前年同月比7.8%増となり、9か月連続で前年を上回りました。これは企業の正規雇用意欲が着実に高まっていることを示しており、特に安定した雇用形態を求める求職者にとっては好機と言えるでしょう。ただし、正社員就職件数は2,007件で前年同月比10.2%減となっており、依然としてマッチングの難易度が高いことも忘れてはなりません。

総じてみると、東京都内の雇用情勢は堅調な持ち直し基調にありますが、産業別や雇用形態別に大きな違いが存在していることが明確になっています。特にサービス業や情報通信業を中心とした分野では求人が増加している一方で、製造業や生活関連サービス業では減少しており、業界構造の変化が今後の採用活動に影響を与える可能性があります。また、正社員求人は増加傾向にあるものの、求職者との条件ミスマッチにより、実際の就職にはつながりにくい状況が続いています。

物価高騰や景気先行き不透明感も考慮すべきリスク要因として存在しており、企業の採用活動にも今後慎重さが求められる場面が増えてくるでしょう。採用担当者は、業種別、職種別、地域別の詳細な雇用データをしっかりと把握し、自社のニーズに応じたターゲット層へのアプローチを一層強化していく必要があります。特に正社員雇用を目指す場合には、待遇面やキャリアパスの提示を通じて、求職者に対する魅力訴求を徹底することが重要となるでしょう。

⇒ 詳しくは東京労働局のWEBサイトへ

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