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2025年5月11日

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令和7年3月熊本県の有効求人倍率1.21倍、上昇傾向を捉えた最新採用対策とは

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一般職業紹介状況 (令和7年3月分)(熊本労働局)

令和7年3月における熊本県の雇用情勢が公表されました。この発表によると、熊本県の有効求人倍率(季節調整値)は1.21倍となり、前月から0.02ポイント上昇しました。全国平均の1.26倍と比較するとやや低いものの、県内の労働市場は引き続き安定的な動きを見せています。熊本県内における有効求人数は33,907人で前月比1.3%増加、有効求職者数も28,092人で前月比0.2%増加しました。有効求人倍率の上昇は、有効求人数の増加幅が有効求職者数の増加幅を上回った結果であり、2か月ぶりに倍率が上昇した形となりました。

また、正社員の有効求人倍率(原数値)は1.13倍となり、前年同月を0.04ポイント上回りました。この動きは、企業側が正規雇用を重視する傾向を維持していることを示しており、安定した雇用ニーズが根強いことをうかがわせます。

一方で、新規求人の動向を見ると、新規求人数は11,767人で前年同月比5.8%減少しました。これにより新規求人数は2か月連続で減少傾向にあります。特に一般フルタイム求人は7,642人で前年同月比3.6%減、一般パートタイム求人は4,125人で9.6%減となっており、パートタイム求人の減少幅が大きいことが特徴的です。産業別では、建設業、宿泊業・飲食サービス業、サービス業(他に分類されないもの)で求人が増加した一方、製造業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、医療・福祉では減少が見られました。特に運輸業・郵便業では前年同月比13.8%減、卸売業・小売業では15.8%減と大幅な減少が確認されています。

求職者側の動向に目を向けると、新規求職申込件数は5,722人で前年同月比2.3%減少しました。新規求職申込件数の減少は5か月連続となっており、労働市場への新規参入者が減少傾向にあることを示しています。一般フルタイム求職者は3,296人で8.6%減少、一般パートタイム求職者は2,426人で7.7%増加しており、パートタイム勤務を希望する層が増えていることがうかがえます。

さらに、常用求職者(パートを含む)の態様別では、在職者は1,777人で前年同月比5.4%減、離職者は3,323人で0.8%減、無業者は604人で0.5%減となり、いずれも減少傾向が続いています。離職者の内訳を見ると、事業主都合による離職者は682人で0.6%増加しましたが、自己都合離職者は2,449人で1.2%減少しており、自己都合での退職は減少傾向にあります。なお、前職が自営業などであった者の離職は72人で18.0%増加しました。

就職件数は2,291件で前年同月比5.0%減となり、10か月連続で前年同月を下回る結果となりました。新規求職者に対する就職件数の割合(就職率)は40.0%で、前年同月比1.2ポイント減少しています。就職率の低下は、企業側の採用意欲の減退や、求職者側の希望条件の高度化など、さまざまな要因が絡んでいると考えられます。

このような雇用情勢の中で、企業にとっては採用活動の見直しが求められる局面に入っています。特に、パートタイム求人の減少傾向や、業種による求人動向のばらつき、地域別求人倍率の違いなどを踏まえ、柔軟かつ戦略的な人材確保施策を講じる必要があります。

地域別に見ると、熊本市の有効求人倍率は1.38倍、上益城地区は1.11倍、八代市は1.04倍、菊池市は1.18倍、玉名市は1.17倍、天草市は1.10倍、球磨地区は1.16倍、宇城市は1.10倍、阿蘇市は1.52倍、水俣市は1.37倍となっており、地域ごとの求人倍率に差が見られます。特に阿蘇市や水俣市では高い求人倍率が示されており、企業側の採用活動が活発であることが推察されます。

このため、企業の採用担当者は、県内全域の雇用データを細かく分析し、自社の採用エリアにおける求人倍率や求職者動向を把握したうえで、募集条件や採用方法の最適化を進めることが重要になります。また、若年層や中高年層それぞれに適した採用施策を展開することも、今後の人材確保においては不可欠といえます。

特に注目すべきは、正社員志向が引き続き強い中で、企業がいかに正社員求人を魅力的に打ち出すかが採用成功のカギを握る点です。給与面だけでなく、福利厚生やキャリア形成支援、柔軟な働き方の提案などを通じて、求職者に選ばれる企業となる取り組みが求められています。

熊本県の労働市場は、全体として堅調な推移を維持しているとはいえ、産業別・地域別でみると求人の減少や求職者数の減少など、さまざまな変化が起きています。採用担当者はこうした変化を機敏に察知し、今後の採用戦略を見直していくことが、より良い人材獲得につながるといえるでしょう。

⇒ 詳しくは熊本労働局のWEBサイトへ

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