2025年5月14日
労務・人事ニュース
令和7年3月 愛媛県の有効求人倍率1.36倍、採用活動に追い風となる市場動向を分析
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雇用失業情勢(令和7年3月分)(愛媛労働局)
令和7年5月2日、愛媛労働局より最新の雇用失業情勢が発表されました。令和7年3月時点における愛媛県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.36倍となり、前月と同水準を維持しました。この結果は、愛媛県における求職者一人に対して約1.36件の求人が存在していることを意味し、引き続き労働市場が求職者にとって有利な環境であることを示しています。全国平均の1.26倍と比較しても高い水準にあり、地域経済の底堅さがうかがえます。
正社員に限った有効求人倍率(原数値)は1.23倍となり、前年同月比で0.04ポイント上昇しました。これにより、正社員の求人も13か月連続で増加傾向にあり、雇用の質に対する企業側の積極的な姿勢が続いていることがわかります。特に若年層から中高年層に至るまで幅広い年齢層に対する正社員求人が着実に増えており、地元定着型の雇用促進が実を結びつつある状況です。
地域別に見ると、東予地域の有効求人倍率は1.45倍、中予地域は1.41倍、南予地域は1.46倍となりました。中予地域においては前年同月比で0.08ポイント上昇し、東予・南予地域ではそれぞれ0.09ポイントの減少が見られましたが、いずれの地域も全国平均を上回る水準を保っています。これは、地域経済の特性や産業構造の違いを反映した動きであり、特に建設業や医療・福祉分野での人手不足が続いていることが背景にあると考えられます。
産業別に見ると、新規求人数は前年同月比で1.6%減少しましたが、建設業では10.4%増、サービス業で7.9%増、医療・福祉業で5.2%増と、特定の分野では依然として高い需要が続いています。これに対して、宿泊業・飲食サービス業では15.2%減、卸売・小売業で10.5%減、製造業でも9.6%減と、コロナ禍以降の需要回復が鈍化している産業も見受けられます。特に宿泊・飲食関連は、インバウンド需要の回復や消費行動の変化に依存している側面が強いため、今後も注視が必要です。
新規求職者数に関しては、前年同月比で11.0%増加しており、3か月ぶりの増加となりました。特に若年層の求職活動が活発化しており、地域での就職を希望する若者の動きが強まっています。これに対応するため、愛媛労働局ではミスマッチ解消のための施策として、リスキリング支援や人材育成プログラムの拡充に取り組んでいます。少子高齢化の進展や若年人口の県外流出という長期的課題に対して、多様な人材の活躍を促進し、地域社会の持続可能性を高めることが喫緊の課題となっています。
就職件数は前年同月比で4.3%減少しましたが、就職率は39.0%となり、安定した水準を保っています。新規求人倍率は2.55倍と高い値を示しており、求人数が求職者数を大きく上回っている現状からも、引き続き労働市場が売り手優位であることがわかります。しかし、業種間での求人状況にはばらつきがあり、特に運輸業、郵便業、製造業などでは求人数の減少が続いています。企業にとっては、労働力確保のために職場環境の改善や柔軟な働き方の導入など、さらなる取り組みが求められています。
月末時点の雇用保険被保険者数は389,776人となり、前年同月比で0.9%減少しました。受給資格決定件数(一般)は1,073件で、前年同月比15.0%の大幅な減少となっています。これらの数値から、求職活動が活発化する一方で、安定した雇用に結びつくまでには時間を要している側面も見て取れます。特に自己都合離職者数が前年同月比で4.7%減少していることから、労働者側も安易な転職を控え、慎重に職場選びを行っている傾向がうかがえます。
愛媛労働局では、今後も雇用環境の安定化と人材の定着支援に重点を置き、多様な雇用ニーズに応じたマッチング強化策を推進していく方針です。これにより、地域経済のさらなる活性化と、働く人々の生活の質の向上が期待されています。企業にとっても、優秀な人材を確保するためには、積極的な採用活動とともに、職場環境や待遇面の見直しが不可欠な時代になっていることは間違いありません。
このように、愛媛県内の労働市場は堅調さを維持しながらも、産業間での二極化が進行している現状が浮き彫りになっています。企業が採用戦略を立てるにあたっては、地域別、業種別の動向を十分に把握した上で、柔軟な人材確保策を講じることが求められます。令和7年3月のデータは、今後の採用活動を考えるうえで非常に重要な示唆を与えてくれるものとなりました。
⇒ 詳しくは愛媛労働局のWEBサイトへ