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2025年7月1日

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令和7年5月の取引価格が過去最高、全銘柄平均で27,649円を記録

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相対取引価格の推移(平成24年産~令和6年産)(農水省)

令和7年6月17日、農林水産省は「令和6年産米の相対取引価格および数量」に関する詳細な分析を公表しました。今回の報告は、令和7年5月までにおける米の相対取引動向を時系列で整理したもので、米の需給関係や市場価格の変動に注目が集まる中、農業従事者や卸売業者、さらには食品関連企業にとっても重要な参考資料となっています。とくに、近年の価格上昇傾向の中で、企業の調達戦略や経営判断に資する情報が多く含まれています。

報告によると、令和6年産米の令和7年5月における全銘柄の相対取引価格は、玄米60kgあたり27,649円に達し、これは前年同月比で12,052円、実に77%の大幅な上昇となっています。月間の前月比で見ても547円、約2%の上昇と、引き続き価格の高騰が見られる状況です。なお、同月の取扱数量は5.2万トンにのぼり、この月の取引は主に令和6年産の終盤にあたるものであるため、市場全体への影響は小さいとされています。

相対取引価格は、農家や出荷業者が卸売業者などと直接契約し取引を行う価格であり、市場取引よりも実態をより正確に反映していることから、実需者や経済関係者にとって重視されています。今回の価格上昇は、米価全体の高騰を象徴するものであり、とくに今後の調達計画や価格交渉に影響を及ぼすと見られます。

年産平均価格の推移にも注目すべき動きが見られます。令和6年産米の年産平均価格(速報値)は24,686円で、これは平成2年以降の比較可能な期間において最も高い水準となっています。ここまでの価格上昇は、近年の物価上昇や肥料・燃料費の高騰、加えて生産コストの上昇など複合的な要因が背景にあります。とくに2023年以降は天候不順による収量の減少もあり、需給バランスが市場価格を一層押し上げる構造となっています。

価格の時系列推移を見てみると、令和6年産米の取引価格は収穫期の令和6年10月時点で22,700円でしたが、その後11月には23,820円、12月に23,961円と着実に上昇を続けています。年明け以降もその傾向は継続し、令和7年1月には24,665円、2月には25,927円、3月には26,485円と推移し、5月には前述のとおり27,649円に達しています。これは、例年の価格曲線と比べても急な上昇であり、米市場が特異な状況にあることを示唆しています。

取引数量についても見逃せない動きがあります。令和6年産米の取引数量は、令和6年10月時点で252千トンと高水準を記録していましたが、その後は漸減傾向を見せ、令和7年3月には206千トン、4月には160千トン、5月には94千トンまで減少しました。これは米の取引が終盤に差し掛かっていることを示すものであり、数量の減少に対して価格はなお上昇しているという点で、供給不足の懸念も浮き彫りになっています。

また、参考値として公表された令和6年産の備蓄米を含めた取引価格は26,862円となっており、備蓄米の放出が市場価格にある程度の下押し効果を与えていることが見て取れます。それでもなお、相対取引における全体価格は高水準を維持しており、これは国内の食料自給体制や流通コストの見直しといった課題を改めて突きつける結果となっています。

月別の価格推移と数量を併せてみると、米の取引における季節的な動きや需給バランスの変化がより明確に浮かび上がります。特に11月から3月にかけての価格上昇幅が大きく、これは年末年始の需要増や、気象の影響を受けた流通の停滞などが複合的に影響していると考えられます。さらに、備蓄米の取引が本格化した3月以降でも価格の上昇が続いたことから、単なる需給の一時的変化ではなく、構造的な価格上昇が進行している可能性が示唆されます。

今回の結果は、企業の経営にも直接的な影響を及ぼします。たとえば、食品製造業や外食産業、小売業などにとって、米は主要な原材料であり、その価格変動は商品価格やメニュー設定、在庫管理などに波及します。とくに近年は価格転嫁が難しい状況が続いており、こうした高値が長期化する場合、企業は調達先の見直しや、代替素材の活用、契約条件の見直しなどを迫られる可能性もあります。

さらに、農業従事者にとっては収入の安定化が期待できる一方で、肥料や燃料のコスト高が依然として重くのしかかっており、価格上昇がそのまま利益増につながるわけではない点にも留意が必要です。加えて、契約価格には運賃や包装代、消費税も含まれており、こうした費用の上昇が全体価格を押し上げている実態も明らかです。

このように、令和6年産米の取引に関する一連のデータは、単なる価格や数量の記録を超えて、現在の農業経済や食品流通の課題を映し出す鏡とも言えます。経営判断の精度を高めるためには、こうした公的データを丁寧に分析し、自社の戦略に反映させる視点がますます求められています。

⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ

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