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2025年7月12日

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令和7年5月の大分県で有効求人倍率1.31倍

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大分県の雇用情勢(令和7年5月分)(大分労働局)

令和7年5月の大分県における有効求人倍率は1.31倍となり、前月の1.32倍から0.01ポイント低下しました。全国平均の1.24倍、九州平均の1.16倍と比較しても依然として高い水準であり、大分県の労働市場が相対的に活発であることがうかがえます。これは124か月連続で1倍を超える状態が続いていることからも明らかで、企業側にとっては人材の確保が難しい状況が慢性化しているとも言えるでしょう。

まず注目したいのは、有効求人数と有効求職者数の両方が前月比で増加している点です。有効求人数は1.6%増加し23,973人、有効求職者数は2.8%増加して18,326人となりました。このように求人数と求職者数が同時に増える局面では、労働市場の需給バランスが微妙に変動する可能性があり、企業の採用活動においても柔軟性が求められます。特に、人手不足感が強まる中で求職者のニーズが多様化している現在、従来の採用方法だけでは応募を呼び込むのが難しくなる傾向があります。

さらに新規求人倍率は1.98倍と、前月の2.14倍から0.16ポイント低下しており、企業の新規採用意欲にやや陰りが見え始めています。新規求人数自体も前年同月比で3.0%減少して8,178人となっており、特に宿泊業・飲食サービス業では25.8%の大幅な減少が確認されました。これらの業種はコロナ禍後の回復局面で一時的に求人を増やしていたものの、今期に入り人員の最適化や生産性の見直しを背景に、新規採用の抑制に転じていると考えられます。

一方で、建設業や情報通信業、生活関連サービス業などでは新規求人数が前年同月比で増加しています。特に情報通信業は34.9%という大幅な増加を見せており、デジタル化の加速やIT人材の需要が背景にあると推測されます。このような業界間の温度差を把握し、企業の採用担当者としては自社が属する産業の労働需給動向を継続的に分析することが不可欠です。

正社員の有効求人倍率にも着目する必要があります。令和7年5月の大分県における正社員有効求人倍率は1.17倍と、前年同月から0.01ポイント上昇し、47か月連続で1倍を上回っています。これは、正社員として安定した雇用を求める求職者に対して、企業側が一定の雇用意欲を継続していることを意味しますが、同時にミスマッチの存在も無視できません。求職者は希望する条件での雇用を求めており、待遇や働き方の柔軟性が採用の可否を左右する要因になっているのです。

地域別に見ると、大分市に所在するハローワークでは有効求人倍率が1.44倍と最も高く、宇佐市や中津市では0.96倍と最低水準でした。つまり、大分県内でも地域によって求人・求職のバランスに大きな差があるということです。企業の採用担当者は自社が立地する地域の倍率を常に把握し、それに応じた採用戦略をとるべきです。例えば、倍率が高い地域では人材獲得競争が激しくなるため、求人票の見直しや採用チャネルの多様化、報酬体系の改善といった施策が必要となります。

求職者の属性にも変化が見られます。新規求職申込件数は前年同月比で2.0%減少しており、とりわけ常用フルタイム新規求職者数は2.8%減の2,409人となりました。在職者は2.5%減、離職者も2.7%減と、どの属性でも減少傾向が確認されており、特に無業者については6.2%もの減少がありました。これは潜在的な労働力人口が減少しつつあることを示しており、今後企業が採用対象とする人材層を広げていく必要があることを示唆しています。例えば、シニア人材や外国人労働者、育児や介護と両立しながら働きたい人など、多様な働き手へのアプローチが鍵となります。

さらに、業種別の分析を見ても明らかなように、求人の増減には業界ごとの構造的な課題が反映されています。製造業全体では3.5%の減少が見られましたが、例えば電子部品・デバイス製造業では19.7%増加する一方で、化学工業では54.2%の大幅な減少がありました。このようなデータをもとに、採用戦略を細分化し、職種ごとの採用市場の実情に応じた施策を講じることが必要です。

企業の採用担当者が今後の採用活動を成功させるためには、まず労働市場の動向を正確に把握することが第一歩です。そのうえで、自社の採用ニーズと市場の現状とのギャップを明らかにし、それを埋めるための制度設計や情報発信の工夫を重ねていくことが求められます。待遇の見直し、福利厚生の充実、キャリアパスの明確化など、求職者にとって魅力的な労働環境を提示できるかが、最終的な採用成果に直結します。

また、求職者の応募意欲を高めるためには、情報の透明性も重要です。仕事内容や勤務地、給与、就業時間などを明示し、入社後のキャリアステップや研修制度についても積極的に開示することで、企業に対する信頼感が高まります。特に若年層は、自分の将来像を描ける企業を選ぶ傾向が強く、情報の不足は応募率の低下に直結します。

企業の採用は単なる人手の確保ではなく、事業の持続性を支える中核的な活動です。労働市場の変化を的確に読み取り、戦略的な採用活動を展開することが、これからの時代における企業競争力の源泉となるでしょう。大分県という地域においても、このような視点を持つことが採用成功への鍵となるのです。

⇒ 詳しくは大分労働局のWEBサイトへ

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