2025年7月14日
労務・人事ニュース
令和7年5月の奈良県有効求人倍率1.19倍
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介護職員/福岡市西区/JR筑肥線/九大学研都市駅福岡県
最終更新: 2025年7月16日 06:34
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診療放射線技師/黒崎駅/八幡西区/福岡県/クリニック
最終更新: 2025年7月16日 11:03
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看護師/舞松原駅/福岡市東区/福岡県
最終更新: 2025年7月16日 11:03
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「夜勤のみOK」/准看護師・正看護師/整形外科/リハビリテーション科/内科/病院
最終更新: 2025年7月15日 23:04
奈良県の一般職業紹介状況(令和7年5月分)について(奈良労働局)
令和7年5月に奈良労働局より公表された奈良県内の一般職業紹介状況によれば、有効求人倍率は1.19倍で前月と同水準となりました。これは、求職者1人に対して1.19件の求人がある状態を示しており、労働市場としては引き続き「売り手市場」の傾向にあります。求人が求職を上回る状態が継続している中で、企業の採用担当者には従来の採用手法を見直し、より的確かつ柔軟な戦略の構築が求められています。
今回の発表によれば、有効求人数は21,524人で、前月比1.5%の増加、有効求職者数は18,150人で、1.9%の増加となっています。両者とも増加している点は注目に値しますが、倍率が横ばいであるということは、求人と求職のバランスが保たれながらも、採用市場が競争の激しい状況にあることを意味しています。求職者がより良い条件を選びやすくなっている今、企業側は「選ばれる立場」であることを自覚し、採用活動の質を高める必要があります。
さらに、新規求人倍率は1.97倍となり、前月から0.06ポイント低下しました。この数値は新たに発生した求人に対する新規求職者の割合を示しており、企業が新規に求人を出しても、それに対する応募が減少している可能性があることを示唆しています。新規求人数は7,773人、前月比で2.2%の増加となっている一方、新規求職者数は3,937人で前月より4.9%増加しました。求人数の増加に対して求職者の増加幅が大きく、新規倍率が下がったと考えられますが、それでもなお2倍近い倍率であることから、新規採用における競争は依然として厳しいことがうかがえます。
産業別の新規求人動向にも目を向けると、医療・福祉分野は前年同月比で13.4%増と大幅な伸びを示しており、他にも運輸業・郵便業が16.1%の増加、宿泊業・飲食サービス業も7.0%増加しています。これらの業界では人材不足が顕著であり、景気や社会情勢の影響を受けながらも安定的な人材需要が続いています。一方で、卸売業・小売業が5.8%減少、建設業が7.8%減少、サービス業では9.9%の減少となっており、産業によって採用の難易度や人材ニーズに大きな差があることも読み取れます。
こうした状況を踏まえた上で、企業の採用担当者がとるべきアプローチは、まず自社の採用活動を「応募者視点」で見直すことです。求人票の文面においても、「誰に向けて」「どのような情報を」「どのような言葉で」届けるかが重要になります。たとえば、職場の雰囲気や働きやすさ、成長機会など、実際に働いた後のイメージが描けるような表現を取り入れることが、応募意欲の向上につながります。また、応募者の求める柔軟な働き方、リモート対応、子育て支援制度、福利厚生といった付加価値の訴求も採用成功の鍵となるでしょう。
求人チャネルについても、ハローワークに限らず、インターネット求人サイト、自社採用ページ、SNS、動画プラットフォームなど、デジタルメディアを活用した多角的な情報発信が求められます。特に若年層の多くがスマートフォンで仕事を探す時代においては、求人情報がスマートフォンで見やすく、内容も短時間で理解できる構成になっているかどうかもポイントです。
また、採用後の定着率を高める取り組みも見逃せません。研修制度やOJT、メンター制度など、入社後の支援体制を整えることで、早期離職を防ぎ、人材の活躍と成長を促す環境づくりが可能となります。採用活動は「人を採る」ことに終わらず、「人を活かす」フェーズまでを一体として考える必要があります。
さらに、就業地別の有効求人倍率が1.36倍と、全体の1.19倍を上回っていることにも注目すべきです。これは就業地での求人が特に多く、地域によって採用の難易度に差があることを示しています。地域性に配慮した採用戦略、例えば通勤の利便性向上や地域限定のキャンペーン実施なども有効な手段となるでしょう。
今回の統計では、離職理由別に見ると、自己都合離職が1,842人で前年同月比0.5%増、事業主都合による離職者は579人で13.8%減となっており、景気や企業側の安定性が改善されてきている様子もうかがえます。安定的な雇用の提供は求職者からの信頼にもつながるため、採用広報の中でも「働きやすさ」「長く続けられる環境」を明確に打ち出していくことが重要です。
奈良県全体としては、全国平均の有効求人倍率1.24倍よりもやや下回っているものの、近畿圏内では高い水準に位置しています。このため、他府県と比較しても一定の人材確保競争が生じており、企業側が独自性や柔軟性をどれだけ発揮できるかが採用成否の分かれ目となるでしょう。
⇒ 詳しくは奈良労働局のWEBサイトへ