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2025年7月14日

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令和7年5月の島根県有効求人倍率1.40倍

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「島根の雇用情勢(令和7年5月分)」について(島根労働局)

令和7年5月に島根労働局が発表した雇用統計によると、県内の有効求人倍率は1.40倍となり、前月の1.43倍から0.03ポイント低下しました。この指標は、1人の求職者に対して1.40件の求人があることを意味しており、依然として求人が求職を上回る「売り手市場」の傾向が継続しているものの、改善の勢いがやや弱まってきていることが読み取れます。特に採用活動に携わる企業の担当者にとって、このようなわずかな変動でも、その裏にある要因を的確に把握し、採用戦略に落とし込むことが重要です。

今回の統計では、月間有効求人数が16,532人で前月比1.0%減少した一方、月間有効求職者数は11,846人で前月比1.4%増加しました。この結果、有効求人倍率が低下したと分析されています。求人数の減少と求職者の増加が同時に起こったことで、採用活動における競争環境が一段と複雑化してきていることが見て取れます。これは一見すると、採用が容易になるように見えるかもしれませんが、実際にはそう単純ではありません。なぜなら、求職者の中には自らの条件や希望に合致する職場でなければ応募しないという選別傾向が強まりつつあり、企業が発信する求人の質が問われているからです。

このような状況下で、企業の採用担当者にとって最も重要なのは、求人票の内容を再検討し、自社が本当に求めている人材にとって魅力的な情報を的確に提供することです。賃金や勤務時間、休日数といった基本条件はもちろんのこと、職場の雰囲気、キャリア形成支援の体制、福利厚生の充実度など、応募者が自分の将来を想像できるような内容を明確に打ち出すことが必要です。特に島根県のように地元志向が強く、地域に根ざした働き方を求める求職者が多い地域では、地元で働くことの魅力を発信することが、他地域との人材獲得競争を勝ち抜く鍵となります。

また、今回の統計からは就職件数の減少も確認されています。5月の就職件数は1,027件で、前年同月比で3.5%の減少となりました。これは求職活動を行っている人がいても、実際に雇用に結びついている件数が減っているということを意味しており、採用活動においても「マッチングの質」が一段と重要になっていることを示しています。単に求人を出すだけでなく、求職者とのコミュニケーションを丁寧に取り、応募前後の不安を払拭する対応が求められます。

さらに、雇用保険被保険者数が前年同月比で2,057人(1.0%)減少している点も見逃せません。これは就業者の一部が離職または非正規化している可能性を示唆しており、企業にとっては人材の確保のみならず、定着・育成も含めた長期的な人材戦略が必要不可欠であることを物語っています。島根県は中小企業が多くを占める地域であり、一人ひとりの人材が担う業務のウエイトも大きいため、いかにして優秀な人材を惹きつけ、定着させるかが経営上の大きな課題となります。

現在の採用市場は、単に人を採るだけでなく、「いかにして企業に共感してもらえるか」「どのような未来を提供できるか」が問われる時代です。特に若年層においては、給与だけでなく、自己成長や働く目的、職場文化といった要素が応募動機に大きな影響を与える傾向があります。そのため、企業側は単なる労働力としての求人ではなく、「人と企業の価値観の接点」を意識した求人設計が求められます。

今後、島根県内で採用活動を展開する企業にとって重要なのは、地域内に留まらず、県外や都市部からのUターン・Iターン希望者も視野に入れた情報発信の強化です。地方移住やリモートワークといった働き方が注目される中で、島根の豊かな自然環境や生活の安定性、地域とのつながりといった「生活価値」を魅力として伝えることは、非常に効果的なブランディングになります。特に働き方の柔軟性や、家庭との両立支援、スキルアップの支援制度など、生活と仕事の両面で安心できる環境を整えている企業は、応募者から高く評価されやすくなっています。

また、デジタルツールの活用も不可欠です。求人情報を掲載する際には、スマートフォンに最適化されたフォーマット、動画や写真を使った視覚的訴求、従業員の声や企業の日常風景の紹介など、求職者がリアルに「働く姿」を想像できるような情報を提供することで、応募のハードルを下げることができます。特に若年層やITリテラシーの高い層をターゲットにする場合、SNSを活用した情報発信や採用説明会のオンライン化なども視野に入れるべきでしょう。

こうした多角的な視点を踏まえた採用戦略を立てることで、企業は単なる求人の数字に翻弄されることなく、自社に合った人材を計画的に獲得することが可能になります。島根県という地域特性を活かしながらも、全国的な採用トレンドを取り入れて柔軟に対応することで、今後の人材確保における持続可能なモデルを構築していくことが期待されます。

⇒ 詳しくは島根労働局のWEBサイトへ

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