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2025年7月13日

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令和7年5月の栃木県における有効求人倍率1.19倍

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「労働市場のようす(令和7年5月の求人・求職の取扱状況)」を発表します。(栃木労働局)

令和7年5月、栃木県における有効求人倍率は季節調整値で1.19倍を記録し、前月と変わらない水準を維持しました。この倍率は全国平均と比較して29位という位置にあり、地域の労働市場の安定性を示しています。企業の採用担当者にとって、この数値は単なる統計データではなく、今後の人材確保戦略を見直すうえで極めて重要な情報源となります。

有効求人倍率とは、職を求める人1人に対して何件の求人があるかを示す指標であり、1倍を上回る場合には求職者より求人が多い、すなわち企業側が人材確保に苦労している状態を意味します。今回の1.19倍という結果は、労働市場がやや売り手市場に傾いていることを意味し、企業は優秀な人材を獲得するために一層の工夫が求められる状況にあります。

さらに詳細を見ると、新規求人倍率は1.98倍と、前月比で0.18ポイント減少しました。新規求人数は12,423人で前年同月と比較して3.8%の減少、新規求職者数は6,933人で前年同月より2.5%の減少という結果でした。これらの数値からは、企業側の求人意欲がやや減退しつつある一方で、求職者側の活動もわずかに低下していることが読み取れます。とりわけ、建設業では前年同月比で16.8%の新規求人減少、医療・福祉分野では3.1%の減少が見られ、分野によっては人材確保に向けた課題が一層深刻化していることが明らかです。

こうした中で採用担当者がまず着目すべきなのは、有効求人数と有効求職者数の推移です。今回の調査では有効求人数が36,591人で前年同月比2.0%の減少、有効求職者数は33,561人で5.7%の減少と報告されています。特に求職者数の減少幅が求人より大きいことは、競争が激化している証拠であり、求職者にとって魅力のある職場を提供することの重要性がますます高まっていることを示しています。

採用活動においては、単に求人を出すだけではなく、その内容や訴求ポイントの再構築が必要です。給与水準や福利厚生の充実、柔軟な働き方の提案、キャリアアップ支援の明確化といった具体的な魅力を打ち出すことが重要です。特に栃木県内では、運輸業や卸売業、小売業、宿泊・飲食サービス業において前年比で求人が増加傾向にあることから、これらの分野と人材が競合する業種では、より緻密な採用戦略が求められます。

例えば宿泊業・飲食サービス業では、前年同月比5.2%の新規求人増が確認され、12カ月ぶりのプラスとなりました。このような分野で人材を確保したい場合、採用広報のタイミングや手法が大きな差を生む可能性があります。他社との差別化を図るうえで、求人広告だけでなくSNSや地域イベントなど多様なチャネルを活用した情報発信が有効です。また、応募者の目線に立った職場紹介動画や社員インタビューを取り入れることも、応募率向上につながります。

一方、製造業や運輸・郵便業ではそれぞれ3.9%、9.3%の新規求人増加が見られており、今後の雇用動向にも注視が必要です。これらの業種では即戦力となる人材の確保が重要な課題となりやすく、採用後の教育体制やOJT制度の整備も含めて、求職者の不安を取り除くサポート体制が競争優位を左右します。

また、正社員求人倍率が1.04倍と前月からわずかに上昇していることにも注目すべきです。正社員として安定した雇用を求める人が依然として多い中で、非正規雇用を主とする求人では応募数が伸び悩むケースも少なくありません。長期的な視点で人材を育てることを重視する企業にとって、正社員雇用を前提とした採用方針は求職者にとって魅力的に映る可能性が高く、こうした戦略が採用の成果に直結します。

さらに、雇用保険受給者の動向にも目を向けると、受給資格決定件数は2,373件で前年同月比1.0%の増加、受給者実人数は6,392人で同じく0.6%の増加と報告されています。これは一定数の離職者が存在していることを示すものであり、中途採用のチャンスとしても捉えることができます。特に経験やスキルを持つ人材が離職するタイミングを見計らって積極的にアプローチすることが、企業の即戦力確保につながります。

採用担当者にとって、数字の裏にある労働市場の実態を読み解く力が今まで以上に求められています。有効求人倍率1.19倍という一見安定した数値の中にも、産業別・雇用形態別での温度差や地域特性が色濃く反映されており、それぞれの企業が抱える採用の課題やターゲットとする人材像に応じて戦略を練る必要があります。競合他社との違いを明確に打ち出すためにも、求人情報の「質」を高めること、そして求職者との信頼関係を築くための誠実なコミュニケーションが、今後ますます重要になるでしょう。

⇒ 詳しくは栃木労働局のWEBサイトへ

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