2025年7月13日
労務・人事ニュース
令和7年5月の神奈川県有効求人倍率0.89倍
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「土日祝休み」/准看護師・正看護師/整形外科/リハビリテーション科/内科/病院
最終更新: 2025年7月12日 23:04
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「駅チカ」/准看護師・正看護師/内科/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年7月12日 23:04
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「夜勤のみOK」/正看護師/介護施設/夜勤バイト/車で通えます
最終更新: 2025年7月12日 23:04
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「土日祝休み」/准看護師・正看護師/デイケア/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年7月12日 23:04
労働市場速報(令和7年5月分)(神奈川労働局)
令和7年5月に神奈川県で公表された最新の労働市場データによると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は受理地別で0.89倍、就業地別で1.08倍と、いずれも前月より0.03ポイント低下しました。これは求職者1人に対して1件未満からやや上回る求人が存在している状況を示しており、採用市場が依然として厳しいことを反映しています。特に受理地別の倍率が1倍を下回っていることから、企業側にとっては求人を出してもなかなか人が集まらない実情が浮き彫りとなっています。採用担当者にとって、この数字は他人事ではなく、自社の人材戦略を見直すための極めて重要な指標です。
同時に注目すべきは新規求人倍率の動向です。受理地別で1.48倍、就業地別で1.85倍という数値が示されましたが、こちらもそれぞれ0.31ポイント、0.28ポイントの大幅な低下が見られました。特に受理地ベースで新規求人数は前月比で16.4%の減少となっており、新規採用活動自体が大幅に減速していることがわかります。この背景には物価上昇や景気の不透明感が企業の採用姿勢に影響していることが考えられ、労働市場の冷え込みに拍車をかけている状況がうかがえます。
こうした状況の中で、企業がどのように採用活動を進めるべきかが大きな課題となります。まず第一に考えるべきは、求人の質と訴求力をいかに高めるかという点です。有効求人倍率が下がっているということは、求職者側も慎重になっていることを意味し、企業の提示する労働条件や職場環境が選ばれるか否かを左右する重大な要素となります。したがって、賃金や労働時間といった基本的な条件はもちろんのこと、企業理念、成長機会、柔軟な働き方の制度設計など、求職者が求める情報を的確かつ具体的に伝えることが必要不可欠です。
また、正社員の有効求人倍率に注目すると、神奈川県では0.62倍と、前年同月から0.04ポイント下降しています。これは正社員として働きたいと考えている人が多くいるにも関わらず、それに応じた求人が不足していることを意味しています。裏を返せば、企業にとっては正社員を募集する絶好のタイミングであり、競争がそれほど激しくない今こそ、自社の中核人材を採用するチャンスともいえます。しかしながら、正社員の有効求人数が前年同月比で3.5%減少している一方で、求職者数は2.4%増加しており、このギャップをどのように埋めていくかが今後の採用の成否を分けるカギになります。
具体的な施策としては、正社員としての働き方を望む層に向けて、入社後のキャリアステップやスキルアップ支援体制を強調する情報発信が有効です。また、育児や介護との両立を支援する制度、あるいはワークライフバランスを重視した取り組みを可視化することも、応募意欲を高める要素となります。従来のように「とりあえず募集を出す」姿勢では、求職者の心をつかむことは難しくなっています。
加えて、新規求人の産業別動向にも目を向ける必要があります。神奈川県では、宿泊業や飲食サービス業は前年同月比で2.2%の増加を記録し、サービス業全体でも1.6%の増加が確認されました。これは人の移動や消費活動の回復が関連産業に波及している兆しとみられます。一方で、情報通信業は24.6%の減少、学術研究・専門技術サービス業では19.2%減、卸売業・小売業で16.5%減と、デジタル分野や流通業界での求人縮小が目立ちます。このように業種ごとの採用環境が大きく異なっていることから、自社が属する業界のトレンドを正しく把握し、競合との差別化を図ることが求められます。
さらに、求職者の動向についても注視すべき点があります。常用パートを除く新規求職者の構成を見ると、離職者が6.1%増加している一方で、在職者は5.0%、無業者は2.4%減少しています。離職理由としては、定年到達者が8.5%増、事業主都合による離職者が8.2%増、自己都合離職者が5.6%増と、さまざまな事情で職を離れる人が増えている現状があります。このような背景を持つ人材に対して、再就職への支援を強化し、社会的役割を再び担える場を提供することも、地域経済にとって重要な視点となります。
企業の採用担当者にとっては、今後ますます人材獲得競争が激化する中で、スピード感と柔軟性を兼ね備えた採用活動が不可欠です。求人の出し方ひとつとっても、紙媒体や従来型の求人広告に頼るだけでなく、SNSや自社サイトを活用した情報発信、また、地域の就職支援機関との連携など、多角的な採用チャネルの確保が求められます。そして何より、採用後の定着率を高めるための職場環境の整備や、メンター制度、社内コミュニケーションの促進といった社内施策の充実も不可欠です。
まとめとして、令和7年5月現在の神奈川県における有効求人倍率0.89倍という状況は、企業にとって人材確保の難易度が高まっている現実を示しています。こうした環境下で他社と差をつけるためには、採用の「入口」だけでなく、入社後の「育成」「定着」までを見据えた総合的な人材戦略が鍵となります。求職者のニーズが多様化し、企業が選ばれる時代になった今こそ、採用を経営の中核に据えた戦略的なアプローチが求められます。
⇒ 詳しくは神奈川労働局のWEBサイトへ