2025年7月11日
労務・人事ニュース
令和7年5月の福岡県有効求人倍率は1.14倍に低下、中小企業の採用戦略に見直しの必要性
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最終更新: 2025年7月10日 22:35
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最終更新: 2025年7月10日 22:35
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最終更新: 2025年7月10日 22:35
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最終更新: 2025年7月10日 22:35
雇用情勢(令和7年5月分)について(福岡労働局)
令和7年5月、福岡県における有効求人倍率は1.14倍となり、前月から0.03ポイント低下した。これは3か月連続での低下を意味しており、企業の採用活動に一定の影響を及ぼす変化と考えられる。特に福岡市周辺では、ここ数年高い求人倍率を維持してきたものの、今年に入り緩やかに下降傾向が見られる点は注目に値する。北九州地域では0.97倍、筑豊地域では0.99倍、筑後地域では1.06倍と、いずれのエリアでも前年同月比で減少している。これらの数字は地域によって差はあるものの、全体としての需給バランスが変わりつつある現状を示している。
採用担当者としてこのような数値をどう捉えるべきか。まず、有効求人倍率が下がるということは、求職者数が相対的に増加し、企業側の人材確保がやや容易になる可能性があるという一面を持つ。しかし、その裏には求職者が増えている理由、つまり離職者や無業者の増加、もしくは転職希望者が一時的に増えているといった要因も含まれている。したがって単に倍率の数字だけで判断するのではなく、その背後にある労働市場の動きを的確に読み解く必要がある。
令和7年5月における新規求人倍率は2.14倍と高水準を保っており、前月より0.02ポイント低下したものの、依然として企業からの新たな求人ニーズは強いことがうかがえる。一方で、新規求人数は前月に比べて1.5%増加したが、前年同月比では0.8%減少している点も無視できない。特に宿泊業や飲食サービス業、医療・福祉分野では10か月以上連続で求人数が減少しており、構造的な人材不足や職場環境の課題が影響していることが考えられる。これに対し、製造業や生活関連サービス業、金融・保険業などでは前年より増加傾向が見られ、採用活動が活発化している様子がうかがえる。
企業規模別に見ると、従業員5〜29人の中小規模事業所および500〜999人の中堅企業において新規求人が増加している一方で、1000人以上の大企業や30〜99人の小規模企業では減少傾向が続いている。この傾向から、規模による人材戦略の違いがより鮮明になっており、特に中堅層の企業が積極的な採用に乗り出していることが読み取れる。
新規求職者数は前年同月比で6.5%減となり、男性で4.8%、女性で7.8%の減少が見られた。年齢別に見ると、29歳以下の若年層から55歳以上の高齢層まで、すべての世代で新規求職者が減っている。これは転職市場全体に慎重な姿勢が広がっている兆候ともとれ、採用側としては即戦力よりも長期的に育成する人材を見極める力がより一層求められているといえる。特に55歳以上では唯一、有効求職者数が増加に転じており、シニア層の再就職支援や活用も重要なテーマとなってくる。
正社員の有効求人倍率は0.86倍で、前年同月比で0.01ポイント上昇した。これは企業が正社員雇用を維持しつつ、選別を強めていることを意味している。正社員志向の人材が増えている一方で、パートタイムや派遣を希望する求職者とのミスマッチが生じている可能性もあり、人材配置の最適化が採用担当者にとって重要な課題であることは間違いない。
企業がこのような雇用指標を採用戦略にどう生かすかが問われている今、まずは地域ごとの求人倍率や職種別の動向を精査し、どの分野で人材確保が困難なのか、または今後需要が高まるのかを冷静に見極める必要がある。例えば、福岡地域における医療・福祉分野では、求人はあるものの応募者数が減少しており、人手不足が深刻化する恐れがある。こうした分野では給与水準や労働環境の見直し、あるいは外国人労働者の活用といった戦略も検討すべきだろう。
一方、製造業など求人が増えている業種では、競合他社との差別化が重要となる。求職者が選べる立場にある中で、企業としては自社の魅力を的確に伝えるブランディング力が求められる。採用ページやSNSを活用した情報発信の強化、社員インタビューや職場の雰囲気を伝えるコンテンツ作成なども、採用成功のカギとなる。
さらに注目すべきは、今後の景気動向や物価上昇が雇用市場に与える影響である。物価上昇が続けば、生活費の増加によって副業を希望する層が増える可能性もあり、多様な雇用形態に対応できる柔軟な採用体制が必要となる。また、在宅勤務やフレックスタイム制の導入など、働き方そのものに対するニーズも変化しているため、求職者にとって魅力的な労働条件を提示することが、今後ますます重要になる。
採用担当者は、単に人手を補充するという視点ではなく、自社の将来を担う人材をどう確保し、どう育てていくかという中長期的な視点を持つことが求められる。今回の雇用統計に見られるように、数字の変化には市場全体の揺らぎが現れている。このような時こそ、データを冷静に分析し、戦略的に動ける企業こそが、今後の採用競争をリードしていくであろう。
⇒ 詳しくは福岡労働局のWEBサイトへ