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2025年7月13日

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令和7年5月の長野県有効求人倍率1.27倍

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最近の雇用情勢(令和7年5月分)(長野労働局)

令和7年5月に長野労働局が公表した最新の雇用情勢によると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.27倍で、前月より0.02ポイント低下しました。この数字は全国平均の1.24倍をわずかに上回っているものの、連続した低下傾向にあり、企業にとっては採用の難しさが依然として継続していることを示しています。有効求人倍率とは、求職者1人に対してどれだけの求人数があるかを示す指標であり、1倍を超えると求人数の方が多い、すなわち企業の人手不足感が強い状態であることを意味します。長野県のこの1.27倍という数値は、単に数字としての高さだけでなく、その背景にある経済状況や社会動向を的確に読み取ることが必要です。

具体的には、有効求人数は前月比0.5%増の42,603人、有効求職者数は前月比2.2%増の33,616人となっています。この数字からは、企業が人材を求めている一方で、求職者の数も増えていることが読み取れますが、それでも依然として求人の方が多く、企業の採用活動が十分に結果に結びついていない実態があります。さらに、新規求人倍率も2.13倍となり、前月比で0.07ポイント低下しています。このことは、企業が新たに求人を出しても、そのニーズに対して応募者が追いついていない構図が続いていることを示しています。求人倍率が高くなることは、企業側の採用難を示す指標であり、採用担当者はこのデータを単なる参考値としてではなく、具体的な採用戦略の再構築に活かしていく必要があります。

令和7年5月の新規求人数は実数値で14,288人、前年同月比で6.2%の減少となりました。これまで堅調に推移してきた求人動向に変化が見られる兆しでもあり、特に産業別で見ると、前年同月比で増加したのは建設業のみであり、それ以外の業種ではすべて減少しています。このことは、特定の分野を除けば、多くの業種で採用活動の縮小が進んでいる現状を示しており、企業の採用担当者にとっては、今後の採用戦略を再考するうえで重要な判断材料となります。

また、同じく令和7年5月の新規求職者数は7,242人で、前年同月比で4.0%の減少でした。求職者側も慎重な姿勢を見せており、特に事業主都合離職者が464人で9.9%減、自己都合離職者が1,615人で8.3%減、在職者が1,483人で8.2%減となっており、全体として新規に職を探す人の数が減少傾向にあることが明らかです。つまり、求職者側が転職や再就職に対して慎重な姿勢をとるようになっているため、企業はこれまで以上に労働者側の動機や期待に寄り添ったアプローチを採用活動に取り入れる必要があると言えるでしょう。

就職件数の推移にも注目すべきポイントがあります。5月の就職件数は2,190件で前年同月比7.7%減、うち常用就職件数は975件と13.6%の減少、パートタイム就職件数は1,171件で2.6%の減少となっています。この結果から、労働市場全体として求職者の動きが鈍化し、企業が求める人材とのマッチングがうまくいっていない現実が浮かび上がってきます。採用担当者としては、自社が求める人物像やスキル要件を見直し、現実的な条件設定と選考基準の緩和、そして入社後の育成を視野に入れた長期的な人材確保戦略が求められています。

このような背景の中で、企業が今後の採用活動を成功させるためには、まず自社の労働条件や職場環境の魅力を的確に伝えることが重要です。給与や福利厚生といった基本的な条件はもちろん、職場の雰囲気や働きがい、地域貢献性といったソフト面にも力を入れることで、求職者に対する訴求力を高めることができます。また、求人票や採用広報においても、単なる業務内容の羅列にとどまらず、「なぜこの職場で働く意義があるのか」「どのような成長が見込めるのか」といったメッセージを盛り込むことが求められます。

さらに、採用に関わるスピードも大きな要素となります。高倍率の市場では、応募者が複数の企業に同時にアプローチしているケースが一般的であり、選考のスピードが遅い企業ほど、内定辞退のリスクが高まります。書類選考から面接、内定出しまでの一連のプロセスを迅速化し、候補者に対して丁寧かつスピーディな対応を心がけることが、採用の成否を分ける鍵となります。

また、昨今の物価上昇が雇用に与える影響についても、長野労働局は注意を促しています。実質賃金の低下や生活費の上昇は、求職者の企業選びに大きな影響を及ぼすため、企業は賃金水準の見直しだけでなく、従業員の生活支援策を講じることで、安定的な雇用を実現する必要があります。たとえば、交通費の支給範囲拡大、住宅手当の導入、子育て支援など、経済的な不安を軽減する制度が求職者からの評価に直結します。

このように、令和7年5月現在の長野県における有効求人倍率1.27倍という数値は、表面的な指標以上に多くのことを企業に問いかけています。単に求人を出すだけでは応募が来ないという状況下で、企業がどのように自社の魅力を発信し、求職者との信頼関係を築いていくかが、今後の採用活動における成否を大きく左右します。人材を「採る」から「共に働く仲間として迎える」へという意識の転換が、これからの企業経営において必要不可欠な視点となるでしょう。

⇒ 詳しくは長野労働局のWEBサイトへ

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