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2025年7月15日

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令和7年5月の鹿児島県における有効求人倍率1.11倍

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鹿児島労働局定例記者会見資料 令和7年6月分(鹿児島労働局)

令和7年5月、鹿児島労働局が発表した雇用失業情勢によると、県内の有効求人倍率は1.11倍となり、前月より0.01ポイント上昇しました。この数値は、求職者1人に対して1.11件の求人があることを示しており、依然として企業側が人材を探す上で有利な状況が続いています。しかしながら、この1.11倍という倍率は、全国平均の1.24倍と比べると低く、九州地方でも7番目に位置しています。つまり、鹿児島県内では他県に比べてやや人手不足の状況が緩和されている可能性があり、企業の採用担当者はその地域特性を踏まえたうえで戦略を立てる必要があります。

この月の有効求人数は37,096人で、前月比1.1%の増加を見せました。これは2か月ぶりの増加となり、採用意欲が一部の企業で回復してきていることがうかがえます。一方、有効求職者数も33,446人と、前月比0.7%の増加で、こちらは4か月ぶりの増加となっています。つまり、求人と求職の両方が増加したことで、結果として有効求人倍率はほぼ横ばいながらわずかに上昇したという構図です。採用担当者にとって重要なのは、このように労働市場が一方向に偏るのではなく、複数の要因が複雑に絡み合って動いていることを理解することです。

就業地別に見ると、鹿児島県の有効求人倍率は1.21倍であり、受理地別の1.11倍より高い数値を示しています。これは、実際の就業場所ベースで見ると、求人数が多い地域が存在することを意味しています。採用担当者にとっては、自社の求人がどの地域で最も効果を発揮するのか、労働者の居住地とのマッチングがどうかを再確認することが必要です。単に「人がいない」と判断するのではなく、「どこに求人を出せば効果的なのか」を冷静に分析することが、採用成功への第一歩です。

しかし、問題は新規求人と新規求職の動向にあります。新規求人倍率は1.92倍で、前月より0.08ポイント低下し、2か月連続の減少となりました。新規求人数も12,281人と前年同月より8.2%減少し、7か月連続の減少という厳しい状況です。加えて、新規求職申込件数も7,082人で前年同月比6.4%減となっており、こちらも7か月連続の減少です。新しく労働市場に参入する人の数が減っているということは、今後さらに人材確保が困難になる可能性があることを示唆しています。

特に注目すべきは、主要産業すべてで新規求人数が前年同月比で減少している点です。建設業は11.4%の減少、製造業は0.4%、運輸業・郵便業は21.0%、卸売業・小売業は18.1%、宿泊業・飲食サービス業は6.3%、医療・福祉は0.5%、そしてサービス業では6.5%の減少が報告されています。どの産業においても人材不足の改善には至っておらず、むしろ求人を控える傾向が強まっていることが読み取れます。これは物価高騰や業績の先行き不透明感が背景にあり、企業が採用を慎重に行っている証左でもあります。

このような状況下で、企業の採用担当者は従来のやり方に固執せず、新しい採用戦略を模索すべきです。たとえば、求人媒体の選定においても、若年層に届くSNS広告や、地域特化型の求人サービスを活用することで効果的なターゲティングが可能になります。また、採用条件の見直しや柔軟な勤務形態の導入により、より広範な層にアプローチすることができます。特にリモートワークや短時間勤務制度の導入は、これまで採用が難しかった層に働きかける強力な手段となります。

さらに、鹿児島県のように地方都市で採用を行う場合には、移住支援策や地域活性化との連携も有効です。自治体によるUIJターン支援制度や、地方創生の一環としての就業支援策を活用することで、都市部からの人材誘致も現実的な選択肢となります。採用担当者は、こうした制度の情報を常にアップデートし、自社の採用活動に組み込むことが、今後の人材確保において重要な要素となるでしょう。

また、求職者の数が減少する中で、今働いている従業員の定着を図る取り組みも欠かせません。人材を採用することと同様に、既存社員が長く安心して働ける環境を整えることが、企業の持続的な成長に直結します。職場環境の改善、スキルアップの支援、キャリア形成の支援など、トータルで人を育てる視点が不可欠です。採用活動は単発のイベントではなく、会社の価値を伝え、人を惹きつけ、育てていく長期的なプロセスです。

鹿児島県の令和7年5月の有効求人倍率が1.11倍という数字は、確かに企業にとってある程度の採用余地を残した環境に見えるかもしれません。しかし、新規求人数と新規求職者数の同時減少という構造的な変化を見逃すべきではありません。採用担当者は、過去のデータとトレンドを踏まえて戦略を再構築し、変化に強い採用体制を築くことがこれからの時代に求められています。

⇒ 詳しくは鹿児島労働局のWEBサイトへ

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