労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 令和7年5月三重県の有効求人倍率1.16倍

2025年7月14日

労務・人事ニュース

令和7年5月三重県の有効求人倍率1.16倍

Sponsored by 求人ボックス

一般職業紹介状況(令和7年5月内容)(三重労働局)

令和7年5月に三重労働局が発表した雇用統計によると、三重県の有効求人倍率(季節調整値)は1.16倍となり、前月より0.02ポイント上昇しました。この数字は全国平均の1.24倍をやや下回るものの、引き続き求職者1人に対して1件以上の求人があるという状態を維持しており、県内の企業にとっては人材確保が容易ではない状況が続いています。企業の採用担当者にとって、この数値は単なる統計ではなく、今後の採用活動を見直す上で重要な指標となります。なぜなら、求人倍率が1倍を超えるということは、供給よりも需要の方が高いことを示しており、より多くの企業が限られた人材を取り合う「人材獲得競争」が起こっているからです。

この背景にはさまざまな要因があります。まず、三重県の有効求人数は43,189人、有効求職者数は37,359人という構図があり、企業側が求める人材の絶対数が不足しているという実態があります。新規求人倍率も1.96倍となっており、前月からは0.07ポイントの上昇が見られました。これは新たに求職活動を始めた人1人に対して、ほぼ2件の新規求人がある状態であり、企業が新たな人材確保に向けて積極的に動いていることがうかがえます。ただし、新規求人数は13,373人、新規求職者数は6,814人と、求職者の増加が追いついていない状況が続いており、採用におけるミスマッチの解消が喫緊の課題となっています。

特に注目すべきは、正社員の有効求人倍率が前年同月比で上昇し、1.27倍に達していることです。正社員を求める企業が増加している一方で、それに応じる正社員希望者の数は横ばい、あるいは減少傾向にあり、長期雇用を前提とした採用が困難になっている現実があります。そのため企業は、これまで以上に求職者のニーズを深く理解し、柔軟な働き方やキャリアアップ支援などを提示して、求職者にとって魅力的な就労環境を整備することが不可欠です。

三重県の産業構造を見ると、製造業が地域経済を支える主軸となっており、その中でも自動車関連、電子部品、化学工業などの分野で高い求人需要があります。一方、宿泊・飲食業、医療福祉といったサービス分野でも人手不足が顕在化しており、特に地域によっては慢性的な人材不足が長年続いています。このような中で企業の採用担当者が考えるべきは、単なる「人を採る」ことではなく、どのように「人に選ばれる企業」になるかという視点です。特に若年層や転職層は、企業の成長性や社内文化、働きやすさを重視する傾向が強くなっており、企業の持つ魅力を正確に伝えるための採用広報のあり方が問われています。

また、求職者の行動様式にも変化が見られ、従来のハローワークや求人広告だけでなく、SNSや企業の公式サイト、動画による職場紹介など、多様な情報収集手段を活用する傾向が強まっています。採用担当者は、これまでの手法にとどまらず、デジタルを活用した情報発信にも積極的に取り組む必要があります。自社の魅力を短時間で効果的に伝えるためには、文章だけでなくビジュアルやストーリー性のあるコンテンツが重要であり、それによって応募者の関心を引き寄せ、ミスマッチの軽減にもつながります。

加えて、三重県では地域差も採用活動に大きな影響を与えています。都市部に比べて地方や山間部では求職者が少なく、交通アクセスの課題などから求人を出しても人が集まらないという声が多く聞かれます。こうした課題に対しては、在宅勤務の導入や社宅制度の整備、送迎支援といった地域特性に合わせた施策が有効です。また、Uターン・Iターン希望者に向けた採用キャンペーンや、移住支援と連携した求人情報の発信なども、新たな人材の流入を促す手段として注目されています。

さらに、三重労働局も指摘しているように、物価上昇や生活コストの増大が求職者の行動に影響を与えていることは見逃せません。実質賃金の低下によって生活の安定を求める傾向が強まり、特に転職を控える人が増える中で、企業は賃金水準だけでなく、長期的な雇用の安定性や福利厚生の充実といった点にも配慮が求められます。具体的には、住宅手当や交通費、子育て支援制度、リスキリング支援など、生活全体を支える取り組みが企業の魅力につながります。

このように、令和7年5月の三重県における有効求人倍率1.16倍という数値は、単なる統計的事実ではなく、地域経済の変化や働き方の多様化、採用に対する価値観の変化といった多くの社会的要素を内包しています。企業の採用担当者がこの現実を真摯に受け止め、採用戦略を柔軟かつ持続的に見直していくことが、これからの企業成長を支える鍵となるのです。

⇒ 詳しくは三重労働局のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ