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2025年7月12日

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令和7年5月佐賀県の有効求人倍率1.25倍に低下

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一般職業紹介状況<令和7年5月分>(佐賀労働局)

令和7年5月時点で佐賀県における有効求人倍率は1.25倍となり、前月から0.03ポイントの下落が見られました。このデータは、単なる統計値ではなく、企業の採用担当者にとって今後の採用戦略を見直す上で非常に重要な示唆を含んでいます。特に中小企業にとっては、限られた人材を確保するための的確な判断材料となるでしょう。

有効求人倍率とは、求職者1人あたりに対して何件の求人があるかを示す指標です。1.0を超えると求人が求職者を上回っている状態、すなわち企業側の人手不足を示します。佐賀県の1.25倍という数字は、求職者1人に対して1.25件の求人があるということであり、全体としては企業が人材を取り合う「売り手市場」にあることがわかります。これは全国平均の1.24倍よりわずかに高く、九州・沖縄地区全体の1.16倍と比較しても、佐賀県の労働市場はより逼迫していることを意味します。

採用活動にあたってまず注目すべきは、新規求人倍率の動きです。5月の佐賀県における新規求人倍率は1.82倍であり、前月よりも0.35ポイントの大幅な減少が見られました。この下落は新規求人数が12.7%減少する一方で、新規求職者数は4.4%増加したことが背景にあります。すなわち、新たに仕事を探し始めた人が増えている一方で、企業側の新規募集が縮小しているという構図です。この動向から考えられるのは、企業が一時的に採用を抑制している可能性です。経済状況や業績の見通しにより人件費を抑えたい企業が増えているとすれば、今後採用活動を再開する際には求職者の目線を意識した魅力づけが一層重要になるでしょう。

また、正社員有効求人倍率に目を向けると、佐賀県では1.12倍となっており、前年同月から0.02ポイント上昇しています。これは正社員を求める求人が依然として高い水準で維持されていることを示しており、安定した雇用を望む求職者と長期雇用を見込む企業とのマッチングが今後の鍵となります。正社員採用を行う企業にとっては、業種や職種によって倍率にばらつきがあることを意識し、ターゲットとなる人材に対して自社の強みを効果的に伝える工夫が必要です。

具体的には、佐賀県内で特に有効求人倍率が高い地域を挙げると、例えば鳥栖市が2.36倍と非常に高い数値を示しています。これは佐賀県内でも人材の確保が難しいエリアであり、採用難度が高いことを意味します。こうした地域では、他企業との差別化がますます求められます。例えば、柔軟な勤務体系や在宅勤務の導入、スキルアップ支援制度の充実など、働きやすさを訴求する取り組みが人材獲得の鍵になります。

一方で、有効求人倍率が相対的に低い地域、たとえば鹿島市の0.99倍のような地域では、労働力供給が需要に対してやや余裕があると見られます。このような地域では、比較的採用がしやすい環境にあるといえますが、それでも求職者のスキルと企業の求める人材像にミスマッチがあれば、採用活動は思うように進みません。したがって、地域ごとの労働市場の特性を把握したうえで、求める人材像を明確にし、求人内容を調整していくことが求められます。

また、業種別で見ると、建設業やサービス業では新規求人数が前年同月比で増加しており、特に建設業は9.9%の増加が見られました。これに対して、医療・福祉業界では17.4%の減少と顕著な落ち込みが観察されます。このように業界ごとの求人動向の違いを見極め、自社が属する業界の傾向を把握することも採用戦略において重要な視点となります。医療・福祉業界においては、今後人材確保がさらに困難になることが予測されるため、早期のアプローチや、資格取得支援制度などを導入することが差別化要素となりえます。

さらに注目すべきは、ハローワークによるマッチング機能の実績です。佐賀県全体での5月の就職件数は1,204件となっており、就職率は35.4%と前月より10ポイント上昇しています。これは求職者の就職活動がやや活発になっている可能性を示しており、企業にとっては今が求人情報を見直す好機といえます。自社の募集要項が他社と比べて魅力的であるか、待遇面で競争力があるか、応募者が応募しやすいように情報が整理されているかを今一度チェックすることが重要です。

今後、企業の採用担当者にとって特に重要となるのは、数値の変動を単なる増減として捉えるのではなく、それぞれの背景にある労働市場の構造的な変化や社会的要因を理解する力です。例えば、新規求人が減少する背景には、人件費高騰や業績不安、リモートワーク定着による雇用形態の変化などが影響しているかもしれません。こうした要因を多角的に分析することで、採用活動はより戦略的なものとなり、結果として適切な人材確保につながります。

採用は単なる人集めではなく、企業の中長期的な成長を支える根幹です。有効求人倍率という一つの指標から読み取れる情報は多岐にわたります。だからこそ、採用担当者は単にデータを見るのではなく、その意味を掘り下げ、今後の企業運営と密接にリンクさせた戦略を構築していくことが求められています。

⇒ 詳しくは佐賀労働局のWEBサイトへ

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