2025年5月12日
労務・人事ニュース
令和7年6月施行、WBGT28度以上環境下の熱中症対策義務化で企業が取るべき対応とは
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最終更新: 2025年5月11日 22:32
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職場における熱中症対策が強化されます ~令和7年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行~(千葉労働局)
令和7年6月1日から、職場における熱中症対策が一層強化されることとなりました。これは、改正労働安全衛生規則が施行されることに伴うものであり、企業における労働環境の安全確保を図るため、具体的な取り組みが求められます。厚生労働省では、この施行を契機に、5月1日から9月30日までの間、全国で「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を展開し、熱中症による労働災害の撲滅を目指しています。特に千葉労働局においては、改正内容の周知徹底と「Cool Work Chiba」のロゴマークを用いた注意喚起活動を強化する方針を示しています。
改正労働安全衛生規則第612条の2では、熱中症リスクが高まる環境において、企業が講ずべき具体的な措置が規定されました。対象となる作業環境は、WBGT(暑さ指数)28度以上または気温31度以上の条件下で、連続して1時間以上、または1日4時間を超えて行われる作業とされています。このような過酷な環境下では、従来以上にきめ細やかな管理体制が求められることになります。
具体的な措置としては、まず第一に、熱中症の自覚症状を有する作業者、あるいは熱中症の疑いがある作業者を発見した場合に、その旨を速やかに報告させる体制を整備することが義務付けられました。この体制整備により、初期症状の段階で迅速に対応が可能となり、重症化を防ぐことが期待されています。第二に、熱中症のおそれがある労働者を把握した際に、迅速かつ的確な判断を下すための手順をあらかじめ作成し、必要な措置を実施できる体制を整える必要があります。これにより、現場における判断ミスや対応の遅れを防ぐとともに、組織的な対応力を高めることが可能となります。そして第三に、これらの体制および手順について関係者全員への周知を徹底することが求められています。周知徹底が不十分であると、いざという時に適切な対応が取れず、重大な労働災害につながるリスクがあるため、特に重要なポイントとなります。
さらに、千葉労働局では、作業者への意識付けを強化するために、「Cool Work Chiba」のロゴマークを作成し、そのステッカーをヘルメットなどに貼付する取り組みも進めています。視覚的な注意喚起は、作業者の日常的な意識改革に大きな効果をもたらすと考えられており、こうしたソフト面からの支援も併せて実施される予定です。
職場における熱中症は、単なる体調不良にとどまらず、重篤な労働災害に直結することが少なくありません。特に近年の猛暑傾向を背景に、熱中症による労働災害件数は全国的に増加傾向にあり、労働安全衛生管理の重要課題の一つと位置付けられています。厚生労働省の統計によると、2022年には熱中症に起因する労働災害による死傷者数が過去最高に達したことも報告されており、改めてそのリスクの深刻さが認識されています。
今回の規則改正により、事業者は単なる水分補給の呼びかけや休憩指導にとどまらず、リスク管理としての体制整備、マニュアル整備、教育訓練の実施を含めた総合的な対策を講じることが求められます。特に建設業、製造業、運輸業といった屋外作業が中心となる業種では、実際にWBGT28度以上または気温31度以上に達する場面が多いため、早急な対応が求められます。
また、企業規模にかかわらず、熱中症対策は労働災害防止だけでなく、従業員のモチベーション維持や企業イメージ向上にも直結します。従業員が安心して働ける環境づくりは、ひいては採用競争力の強化、離職防止にも寄与するため、長期的な人材戦略の一環としても重要視されるべきでしょう。
今後、企業は改正規則の趣旨を正確に理解し、具体的な行動計画を策定していくことが必要です。例えば、現場作業開始前の熱中症リスク評価、リアルタイムでのWBGT値モニタリング、適時適切な休憩指導の実施、そして異常兆候を察知した場合の速やかな応急対応マニュアルの整備といった取り組みが想定されます。また、教育訓練においては、単なる講義型のものにとどまらず、実践的な訓練やeラーニングツールの活用などにより、従業員一人ひとりのリテラシー向上を図ることも有効と考えられます。
これらの取り組みを通じて、企業は単なる法令遵守に留まらず、より積極的な安全文化の醸成に努めるべきです。今後、熱中症対策の充実度は企業の社会的責任(CSR)の一環としても注目されるようになるでしょう。職場における安全・健康管理の充実は、持続可能な企業経営の基盤そのものであり、今回の規則改正はその重要性を改めて浮き彫りにするものとなっています。
⇒ 詳しくは千葉労働局のWEBサイトへ