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2025年4月28日

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会員数1,024団体に拡大、「交通空白」解消プラットフォームが切り拓く人材戦略

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「交通空白」解消に向けたパイロット・プロジェクト第2弾を公表します! ~「交通空白」解消・官民連携プラットフォームの取組について~(国交省)

近年、地方部を中心に深刻化する交通手段の空白地帯、いわゆる「交通空白」問題は、少子高齢化や人口減少、そして運転手不足といった複合的な課題が絡み合い、地域社会の持続性そのものを脅かす状況にあります。このような現実に真正面から向き合い、国土交通省は官民連携によって持続可能な地域交通の新しい形を模索する「交通空白」解消・官民連携プラットフォームの枠組みをもとに、各地で先進的な実証事業を展開しています。今回発表されたパイロット・プロジェクト第2弾は、5つの重点分野に基づいて4つの具体的な取り組みを選定し、地域住民や観光客の移動支援を強化するものです。

まず注目すべきは、徳島県で展開される「ヘルスケアMaaSの社会実装プロジェクト」です。このプロジェクトでは、病院の診察予約システムと連動したデマンド交通の自動配車を実現し、高齢者など移動弱者が通院の際に感じていた「帰りの足がない」という不安を取り除くことを目的としています。診察終了時間を予測し、それに応じた復路のバス配車予約を往路予約時に自動で行う仕組みは、既存の交通サービスの枠を超えた先進的取り組みです。この仕組みにより、移動の心理的・物理的ハードルが大幅に軽減され、高齢者の外出機会が増加することが見込まれています。実証地域ではすでに病院と連携したシステム構築が進行中で、一定の成果が確認されれば、全国各地への横展開も視野に入れられています。

次に、香川県や北海道など複数の観光地で展開される「観光地におけるタクシーへのアクセス改善プロジェクト」では、特急列車や観光施設の内部に二次元コードを設置し、到着時刻に合わせてタクシーやAIオンデマンドバスをスムーズに手配できる仕組みが構築されています。これまで観光地では、到着してから移動手段が見つからない、タクシーの待機台数が少ないといった問題が散見されていました。この新たなシステムは、到着前の段階で事前配車の予約が可能となるため、観光客の利便性が飛躍的に向上するとともに、タクシー事業者にとっても高確度の予約情報を得られることで、配車効率や生産性の向上が期待されます。運用にかかるコストが比較的安価である点も導入しやすさの大きな魅力となっており、今後、他の鉄道駅や観光施設への拡大も見込まれています。

さらに、北海道旭川市では、空港から観光地への交通接続の強化を目的とした「空港から観光地への接続強化プロジェクト」が進行しています。この取り組みは、旭川空港における航空便のリアルタイム運行情報と公共交通(特にバス)の発車時刻を連携させ、到着が遅れた場合でも確実に乗り継げるよう運行スケジュールを柔軟に調整するものです。航空便の到着遅延が原因で観光客の移動が滞るという問題を、MaaS(Mobility as a Service)の実装によって解決しようとする先進的事例であり、観光地のアクセス性向上のみならず、運行の最適化や事業者間のデータ連携のモデルケースとしても注目されています。今後は、データ分析を通じた路線の再編や交通施策の改善にも貢献することが期待されており、空港MaaSの全国展開が現実味を帯びてきています。

加えて、富山県南砺市および石川県小松市では、「タクシーと公共ライドシェアの共同運営プロジェクト」が実施されています。この地域では、タクシー事業者が存在しているにもかかわらず、ドライバー不足によって夜間や特定時間帯に配車ができないという問題が深刻化しており、その対策として、タクシーと公共ライドシェアの連携によってサービス供給を補完する仕組みが導入されています。これにより、利用者が希望するタイミングでの移動が可能となり、地域住民や観光客の「足」を確保するとともに、地域交通の持続可能性も高まる結果が期待されています。また、この仕組みでは、配車システムを一元管理することで、ユーザーは一つのアプリや窓口でサービスの予約・利用ができるようになり、運営側も人員配置の効率化や稼働率向上につなげることができます。

これら4つのプロジェクトは、それぞれ異なる課題に向き合いながら、共通して地域の実情に応じた交通課題の解決を目指している点で高く評価されます。また、どのプロジェクトにおいても官民連携の姿勢が色濃く反映されており、自治体や交通事業者、IT企業、病院、観光施設など多様なプレーヤーが一体となって取り組むことで、実現性と持続可能性の高い交通モデルが構築されています。特に注目されるのは、「交通空白」解消・官民連携プラットフォームの会員数が既に1,024団体に達しており、今後2030年に向けた全国的な展開が本格化する見通しであるという点です。

企業の採用担当者にとっても、これらの実証事業は単なる行政施策の一環にとどまらず、今後の事業領域の拡張や、地域に根ざした新しい働き方の可能性を示す重要な材料となります。たとえば、MaaS開発に携わるITエンジニアや、地域交通を運営する現場管理職、公共交通と連動するデータ分析の専門人材など、これまで都市部中心だった職種にも地方発の活躍フィールドが広がっています。特に、配車システム構築や交通データ連携に関わるテクノロジー人材のニーズは年々高まっており、地方へのUターン・Iターン就職の促進にも寄与するでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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