2025年4月13日
労務・人事ニュース
全国の一般診療所が前月比156施設減、医療アクセスの地域差が企業立地選定に影響(医療施設動態調査 令和7年1月末概数)
- 「夜勤なし」/正看護師/オンコールなし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 「残業ゼロ」/正看護師/介護施設/住宅補助あり
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 「土日祝休み」/准看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 看護師/2025年5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 11:34
医療施設動態調査(令和7年1月末概数)(厚労省)
2024年1月末時点における「医療施設動態調査」の概数が公表され、病院や診療所の施設数および病床数の最新動向が明らかになりました。この調査は、全国の医療施設の変動状況を把握することで、地域医療の現状や課題を浮き彫りにし、政策立案や医療資源の最適化に役立てることを目的としています。企業の採用担当者にとっても、医療インフラの地域的な状況や病床数の変動は、従業員の健康管理体制や福利厚生の整備、地域拠点の立地判断などに影響する重要な指標です。
全体としてみると、令和7年1月末の時点で全国の医療施設数は前月と比較して308施設の減少となり、病床数は373床減少しました。内訳を見ると、病院の施設数は前月から3施設減少して8,052施設となり、病床数は逆に20床の微増で1,467,633床となりました。一方、一般診療所は前月比で156施設減の105,122施設、病床数は391床減少して71,061床となっています。歯科診療所も149施設減の65,997施設、病床数は2床減の59床とわずかながら減少傾向が見られました。これらの数字は、少子高齢化や医療ニーズの地域偏在、開業医の高齢化など複合的な要因が絡み合っている現状を反映していると考えられます。
医療施設の開設者別の状況を見ると、病院全体のうち医療法人が開設している施設が最多で、5,621施設・825,610床を占めています。これは病院全体の約70%を超える割合にあたり、民間による医療提供体制が地域に深く根付いていることを示しています。次いで地方自治体や公益法人などが一定の割合を占めていますが、都道府県が開設している病院は183施設で病床数は45,322床、市町村によるものは588施設・117,531床と、地方自治体の役割も依然として大きいことがわかります。特に市町村による一般診療所は2,913施設に上り、地域住民に身近な医療サービスとして機能している現状が読み取れます。
病床数の推移において注目すべきは、療養病床の変化です。病院と一般診療所をあわせた療養病床数は267,899床と前月比で51床の減少でした。中でも一般診療所における療養病床数は3,903床で、29床の減少となっており、入院機能を持たない無床診療所の割合が増加していることがうかがえます。これは、在宅医療や訪問診療などのアウトリーチ型医療への転換が進んでいることを示唆しており、企業としては従業員や家族が入院を必要としない場合でも、通院や在宅療養がしやすい環境かどうかを地域選定の際に重視する必要があると言えます。
都道府県別のデータを見ると、最も病院数が多いのは東京都で631施設、病床数は124,532床にのぼります。次いで大阪府が501施設・102,601床、愛知県が306施設・64,392床と、三大都市圏における医療資源の集中が明らかです。一方で、最も病院数が少ないのは鳥取県の43施設で、病床数は7,977床となっており、人口に比例した医療資源の配置がなされていることが見て取れます。ただし、療養病床の割合や診療所数を加味すると、必ずしも都市部が医療アクセスにおいて優れているとは言い切れず、むしろ地方においても十分な医療体制が構築されている地域も存在します。
歯科診療所については、全国で65,997施設が稼働しており、東京都が最多の10,573施設、次いで大阪府が5,356施設、神奈川県が4,886施設となっています。病床を有する歯科診療所はわずか59床にとどまり、ほとんどの施設が外来診療に特化していることが特徴です。これにより、従業員が日常的に受ける歯科医療サービスのアクセス性については、施設数の多さが一つの安心材料となります。
また、開設者別にみた一般診療所のうち、個人が開設している施設は38,443施設で、これは全体の約36.6%を占めています。このことからも、個人開業医が地域医療を支える大きな柱となっている現状がわかりますが、同時に今後の世代交代や経営継続の難しさも予見される要素でもあります。企業が拠点を置く地域において、医療機関の後継者不足や閉院リスクを事前に把握することは、社員の健康支援体制を維持するうえで欠かせない視点となるでしょう。
令和7年1月末時点におけるこの調査結果からは、全体として医療施設数が減少傾向にある一方で、病床数はほぼ横ばいまたは微増で推移しており、施設の集約化と効率化が進行していると考えられます。医療資源の再配分や機能分化が進む中、企業としても従業員の健康管理や福利厚生の観点から、地域医療体制の変化に対応できる柔軟な戦略が求められるでしょう。特に、企業内保健師の配置、産業医との連携体制の構築、または健康経営の推進にあたっては、こうした地域別医療資源の情報を踏まえた上での判断が重要になります。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ